深川麻衣、音楽活動を糧に迎えた飛躍の年「思うようにいかないことを原動力に」

地上波連ドラ初主演となった『日本ボロ宿紀行』(テレビ東京ほか)(C)「日本ボロ宿紀行」製作委員会

 2016年に乃木坂46を卒業し、女優としてキャリアを積んできた深川麻衣。18年は、初主演映画『パンとバスと2度目のハツコイ』で『第10回TAMA映画賞』最優秀新進女優賞を受賞。19年は1月7日から連続テレビ小説『まんぷく』(NHK総合)に登場し、1月25日(深夜0時52分~)からスタートする『日本ボロ宿紀行』(テレビ東京ほか)では地上波連続ドラマ初主演。飛躍のときを迎えている新鋭女優に、現在の思いを聞いた。

■アイドル時代の不安もうれしさも思い出した地上波連ドラ初主演の新米マネージャー役

――19年は、地上波連ドラ初主演作となる『日本ボロ宿紀行』が1月からスタートしますね。撮影にはどんな気持ちで挑みましたか?
深川麻衣 やっぱり主演させていただくからには、自分の実力を精一杯出さなくては、という気持ちでした。ただ、“しっかりやらなきゃ”という気持ちにあまり翻弄されないようにしていました。ドラマの撮影はスピード感があり、セリフ量が多い作品でもあるので、監督のリクエストにその場で応えて、自分のなかにあるものを絞り出していかないといけない。そういう瞬発力を鍛えていただきました。

――深川さん演じる春子は、亡き父が経営していた芸能事務所を引き継いだ新米マネージャー。かつてヒットを飛ばした一発屋のポップス歌手・龍二(高橋和也)と地方営業の旅に出て、日本の古い宿を泊まり歩きます。撮影は、実際の宿で行われたそうですね。
深川麻衣 日本の古き良き宿で撮影したので、ハプニングが多くて楽しかったです。高橋さんがドアを開けたら外れてしまったり…(笑)。実際に約1ヶ月間、キャスト、スタッフの皆さんとバスで旅をしながらの撮影で、たくさんコミュニケーションを取ることができました。ほぼ高橋さんと二人芝居のドラマなので、最初はすごく緊張したのですが、回を重ねるごとに息が合ってくるのを実感できて。2人のシーンは、けっこうアドリブも入っています。エンディングで2人が歩いているシーンは、台本に「会話する2人」としか書いていなくて、セリフの内容を任せていただいたりしました。

――春子のキャラクターは、どんなふうに意識していましたか?
深川麻衣 春子はものすごく喜怒哀楽が激しくて、言いたいことをズバズバ言う女の子なので、龍二さんにキツイことを言うシーンも多いです(笑)。でも、根本には亡くなったお父さんへの愛情とか、龍二さんへの尊敬の思いがあるので、その気持ちは忘れないように心がけていました。龍二さんの歌が好きで、たくさんの人に聴いてほしいと思う気持ちを大事にしていました。

――ご自身はかつてアイドルとして音楽を届ける立場でしたが、今回のマネージャー役を演じて、感じたことはありましたか?
深川麻衣 龍二さんが不安になって弱音を吐くシーンは、その気持ちがすごく理解できました。高橋さんも私もグループ出身なので、空き時間に当時を思い出しながら「ちょっとわかりますよね」みたいな話をしたこともあります(笑)。私も音楽活動をしていた頃は、やっぱりうまくいくことばかりではなかったので。でも、少しでも“人に届いた”と思える瞬間があると、苦労も吹き飛ぶくらいうれしかったです。今回の現場では、そんな気持ちも思い出しました。

■不安や落ち込むことを乗り越えて、気にかけてくれる人の存在を励みに

――1月7日からは、『まんぷく』でヒロイン・福子(安藤サクラ)の姪・吉乃役で登場。こちらはどんなことを心がけて撮影していますか?
深川麻衣 最初に皆さんのリハーサルを見せていただいたとき、自分が想像していたよりテンポが早くて。前後のセリフがかぶるくらいでした。なので、そんな会話の間やテンポ感を大事にしたいと思っています。家族のシーンは、観ている方がクスッとなるようなシーンが多いので、私もそのなかに溶け込んで、視聴者の皆さんに楽しんでいただけるように演じていきたいです。

――今後は吉乃の恋のお話も展開していくそうでね。お相手は“塩メンバー”の誰か…?
深川麻衣 そうなんです! でも、吉乃の恋のお話は、感動する愛の物語というよりは、おもしろく楽しんでいただけるパートになると思います。台本を読みながら、いつも笑ってしまって…。相手も含めてぜひ楽しみにしてほしいです(笑)。

――朝ドラ出演で、女優としてさらに注目されそうですね。次への1つのステップになるのではないでしょうか。
深川麻衣 お芝居を始めたときから朝ドラ出演が目標だったので、それがかなって本当にうれしいです! 幅広い年齢層の方々が観ていて全国各地で放送しているので、親孝行もできるかなって思います(笑)。

――昨年は『TAMA映画賞』最優秀新進女優賞を受賞し、今年も連ドラ初主演、朝ドラ出演に加え、映画も2本公開が決まっています。お芝居を始めてから2年半ほどが経ちましたが、現在の立ち位置をどう捉えていますか?
深川麻衣 まだまだ不安や落ち込むことはありますが、そんななかでも気にかけてくださる方がいると、とても励みになります。『日本ボロ宿紀行』では、監督さんたちが今後の女優業についてアドバイスをくださったり、『パンとバスと2度目のハツコイ』の今泉力哉監督は『愛がなんだ』(19年公開)で、また声をかけてくださいました。最初は役柄が私のイメージに合わないと思ったそうなのですが、ジュエリー「アイプリモ」のCMを観てくださって、「演じられる」と思ったそうで…。いろいろなところにきっかけがあるので、一つひとつのお仕事をしっかりがんばらなくてはと思います。昨年は映画賞をいただいて、やはり「より気を引き締めなきゃ」という気持ちになったので、それを原動力に2019年もがんばりたいです。

■メンタルが鍛えられた乃木坂46時代 これから何があっても大丈夫(笑)

――乃木坂46時代の経験が、お芝居に活きていると思うことはありますか?
深川麻衣 メンタルとか、気持ちの切り替えという部分では、ものすごく鍛えられました。乃木坂は総選挙はなかったんですが、曲ごとに選抜メンバーが選ばれたり、投票で配役を決定する舞台『16人のプリンシバル』に出たりしていたので…。そこで選ばれなかったからといって、毎回落ち込んでいては身が持たないので、立ち直るまでの時間はかなり早いです(笑)。その経験があるので、これから何があっても大丈夫かなと。自分の思うようにいかなくても、そこであきらめるのではなくて、原動力につなげていけると思います。

――先駆者として、グループ卒業後の道を切り開きたいという気持ちもあったりしたのでしょうか?
深川麻衣 それはあまり考えていないんですが…乃木坂時代がなければ今の私はないので、感謝の気持ちはすごくあります。今でも、時間があればメンバーの舞台を観に行きますし、ふとテレビをつけると誰かしらが出ていることが多くなって、みんな本当にがんばっているなってうれしくなります。違う場所ですが、私もがんばらなきゃと改めて思います。

――女優を続けていく上での今の課題はありますか?
深川麻衣 『日本ボロ宿紀行』の春子は、感情の振り幅がすごく大きい役でした。極端に振り切っているときはいいのですが、その中間の微妙な気持ちは、自分自身がもっともっと日常でいろいろなことを感じていかないと取り出せないなと思います。なので、普段からいろいろなものにアンテナを張って、能動的に、敏感に毎日を過ごしたいと考えるようになりました。お芝居にはその人自身の魅力がにじみ出ると思うので、まずは人として、ひとりの女性として、丁寧に生活したいです。

――19年は、どんなことを能動的にやりたいですか?
深川麻衣 料理のレパートリーを増やしたいです。バタバタしていると外食になってしまいがちですが、そういうときこそ、しっかり自己管理して必要な栄養を摂らなくてと。それと、朝ドラの撮影が終わったら、日本舞踊を習いたいと思っています。趣味としての興味もありますし、いつか時代劇に出たいという目標を持っていて、お仕事にも活かせたらいいなと思っています。
(文/加藤恵)

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