ムロツヨシ、恋愛ドラマ好演で評価一転?今期連ドラ2作で示した“話題になる俳優”の存在感

戸田恵梨香とムロツヨシの熱演が話題の『大恋愛~僕を忘れる君と』(C)TBS

 今期の連ドラシーンを見ると、『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)と『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の2作が人気の話題作となっている。両作品ともに平均視聴率9.0%超えで推移。コンフィデンス誌のドラマ満足度調査「オリコンドラマバリュー」でもそろって満足度90Pt超えの高い評価を受けている。そんな両作に共通するのが、俳優・ムロツヨシの出演だ。かたや主演、かたや味を出す脇役と、それぞれ唯一無二の存在感と安定感を放つムロの今期の活躍はドラマシーンの台風の目のような存在ともいえる。深夜枠だけではなく、いつのまにかプライムタイムでも注目される存在となっていたムロ。なぜ今、ムロツヨシなのか。

■関係者の信頼を得ている、演技の引き出しが多い役者

 76年生まれ、現在42歳のムロツヨシ。99年に作・演出・出演を行った独り舞台から役者人生を歩み始める。下積み時代は長かったが、05年の本広克行監督映画『サマータイムマシン・ブルース』をきっかけに映像にも活動を広げ、映画、ドラマ、舞台とジャンルを問わず幅広く活躍中。今期の『今日から俺は!!』の監督を務める福田雄一作品にも数多く出演しているが、なかでも『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)のメレブ役は、ムロの存在を世間に広く知らしめる作品になったと言っていいだろう。

 これまでは主に深夜ドラマの端役や演劇で頭角を現していたが、いまやテレビドラマの本命であるファミリー層が視聴する時間帯でも数字を持つ存在であることを証明している。そんなムロの活躍ぶりに関係者からも注目が集まる。『大恋愛~僕を忘れる君と』のTBS宮崎真佐子プロデューサーは以前、コンフィデンス誌のインタビューでムロの起用の理由をこのように説明している。

「ムロさんと初めてご一緒したのは、ADをやっていたときのドラマ『空飛ぶ広報室』。同作でムロさんは、コミカルな役柄でしたが、あるシーンで見せた切ない表情がとても印象的で、いつかコメディではないドラマでお仕事したいと思っていました。とくに今作は病気というモチーフから暗くなりがちなので、ムロさんのどこか達観した明るさに委ねたいという思いがあり、今回はご縁があってムロさんに真司をやっていただけることになりました」

 演技の引き出しが多い役者として、信頼を得ていることがうかがえる。また同作品の脚本を担当する大石静氏もこの起用に賛成だったという。「大石さんは役者さんの新境地を引き出すことにとてもやりがいを感じるとおっしゃっていて、それが役者さんたちの力量もあって、見事にハマったと感じています」

■『大恋愛』のムロツヨシに「近くにいたら絶対に惚れる」の声

 ムロにとって本格ラブストーリーは初挑戦だったが、若年性アルツハイマーを患う医師の北澤尚(戸田恵梨香)を支える元小説家・間宮真司役を嫌味なく自然体で演じ、その印象的な優しさ溢れる表現力は見事にハマっている。ドラマバリューに寄せられた視聴者からの声をみると、序盤こそ「ムロツヨシのキスシーンが見慣れない」などの声もあったが、回を重ねるに連れて「ムロツヨシがイケメンにみえてきた」など、好意的なコメントが圧倒的に多くなっている。

「ムロツヨシがとにかく素敵です。恋愛ものはどのような演技をするのか心配だったが、リアル感があり良かった」(女性40代・埼玉)「ベタなお涙頂戴ものの恋愛ドラマだと思って最初は期待していなかったが、主役の2人の演技が良くて見入ってしまった」(女性30代・東京)「ムロツヨシが最高!今までおもしろい人でしか無かったのに、こんなに恋愛ドラマにも合うなんて驚いた」(女性40代・大阪)「ムロさんにこんなにキュンキュンさせられる日が来るとは…素敵すぎる」(女性30代・北海道)「ムロさん優しくてかっこいい。近くにいたら絶対惚れます」(男性40代・神奈川)など好感度は高い。

■2作の比較も話題 しっかりと爪あとを残した演技

 一方、『今日から俺は!!』では、ムロは原作にないオリジナルキャラタクーで高校教師・椋木先生を演じている。主役の三橋貴志(賀来賢人)とコンビを組む伊藤真司(伊藤健太郎)が通う高校の担任役。教壇に立つ姿は長髪、赤いネクタイ、グレーのジャケットの「金八先生」ふうのビジュアルで「お前らは腐ったみかんだ」といった台詞まで飛ばす。バイプレイヤーとしての存在感と唯一無二の個性を余すことなく発揮しているわけだが、『大恋愛』との比較を楽しむ声も目立つ。

「ドラマ2作をセットで観るのが正しい視聴法だと感じます」(男性50代・大阪)という意見や「どうでもいいのがすばらしいです。『大恋愛』と本作のムロさんを比べるのが楽しい」(男性50代・大阪)「こちらのムロさんの通常運転ぶりと佐藤二朗さんのシーンでいつも爆笑しています」(女性40代・神奈川)など、両作におけるムロのインパクトの強さがうかがえ、しっかりと爪あとを残していることがわかる。

■『今日俺!』バイプレーヤーの真骨頂、ムロの引き出しはまだ6分の1

今日から俺は!!』は、ムロをはじめ主役から脇役まで期待を裏切らない福田監督作品らしい演出がSNSや配信等でも話題を集め、さらに80年代のツッパリ漫画原作の実写版が意外にも日曜の夜に家族で楽しめるドラマとして人気になり、リアルタイムの数字も申し分ない。同作第8話までの平均視聴率は9.4%。神回と言われている第7話では二桁超えを達成した。

「主演の2人に加え、佐藤さんムロさんのアドリブがすごい」(男性20代・埼玉)「ムロツヨシのキャラクターがいい」(男性40代・東京)「福田組の良さが存分に発揮されていると思います。主役の賀来賢人さんだけでなく、脇を固める若手俳優さんたち、ムロツヨシさん、佐藤二朗さんは安定しておもしろい」(女性40代・埼玉)など満足度の高さを表す声が多く届いている。

 偶然にも総合的に評価されているドラマ2作のなかで対照的な役柄を好演し、視聴者に印象を残していることが、改めてムロが注目された理由にあるだろう。演技力においても、ムロ自身が持つ魅力においても、これまでと変わりはないのかもしれないが、こうしたチャンスが巡ってきたときにしっかりとものにすることができるのは、彼の人間力の証拠とも言える。

 メインストリームからサブカルまで、シーンを問わず変わらぬスタンスで自らのキャラクターをぶつけていき、そんな作品と演技に真摯に向き合う姿勢が、今の時代の空気感になじむとともに視聴者の好感を得ているムロ。彼のどこか支えたくなる、応援したくなる愛らしさのあるキャラクターそのものも、世代を超えて愛されるのだろう。

 ムロは今年春のORICON NEWSのインタビューで、まだ自身の6分の1くらいしか知られていないと語っている。この先、これまでとは異なるどうのような顔を見せてくれるのか楽しみだ。
(文:長谷川朋子)

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