蘭寿とむ&壮一帆、宝塚100周年トップの再集結に驚き 出会いから30年の同期生は「お互い何も変わらない」

(左から)壮一帆、蘭寿とむ

 クランクイン! 写真:高野広美

 2014年宝塚歌劇100周年をトップスターとして華々しく飾った、蘭寿とむ、龍真咲、壮一帆、柚希礼音、凰稀かなめ。あれから10年が経ち、それぞれの道で活躍を続ける5人が一堂に会するSPECIAL ENTERTAINMENT STAGE『RUNWAY』が大阪、神奈川で開催される。82期の同期として100周年をけん引した蘭寿と壮に話を聞くと、同期生ならではの笑顔あふれるトークが繰り広げられた。

◆100周年伝説のトップ5人の集結に蘭寿&壮も驚き

 宝塚歌劇110周年となる2024年に100周年時のトップが大集結する本公演。10年の時を経て、その輝きを引き継いできた北翔海莉、柚香光も加わり、夢の競演が実現する。さらには夢咲ねね、朝月希和と元トップ娘役を筆頭に、男役スターとして活躍した瀬戸かずや、愛月ひかる。そして、光月るう、沙月愛奈、響れおな、天寿光希、音波みのり、笙乃茅桜、夢妃杏瑠、和海しょう、風馬翔、晴音アキ、秋音光、希峰かなた、大原万由子、帆純まひろ、花束ゆめら個性豊かなメンバーが顔をそろえる。

 構成・演出には宝塚歌劇団の稲葉太地を迎え、宝塚歌劇110周年を振り返るばかりではなく、現在、各方面で活躍するキャストのスペックを生かした新たなショーを構成する。“今”だから実現できる、バラエティー豊かな歌やダンスを中心としたショーを1幕ノンストップで届ける。

――100周年の伝説のトップ5人がそろう本作。コロナ禍もあって近年はタカラヅカスペシャルも開催されず、ファンにとっては待ちに待った夢のようなイベントです。情報解禁時には興奮が止まらなかったのですが、お話を聞かれた時のお気持ちはいかがでしたか?

蘭寿:「100周年のメンバー、みんな集まるって本当ですか?」と驚きました。

壮:ほんと、そう。

蘭寿:奇跡だよね。

壮:集まっちゃった!って(笑)。よく集めましたよね。私たち、今年退団10年なんです。そんな節目の年にね。

蘭寿:ありがたいよね。

――開催が決まって、5人で連絡を取ったりは…

蘭寿&壮:ないね(笑)。

蘭寿:それぞれがそれぞれで楽しみにしているという感じです。

――キラキラでオラオラなメインビジュアルにファンはかなりどよめきました。

壮:まぶしかった~(笑)。

蘭寿:後ろのキラキラもCGではなくセットだったんです。久々のキラキラでまばゆかった~。

壮:私はちょいちょいOG公演とかで元男役として舞台に立つことがあったんですけど、それにしてもキラキラだった(笑)。制作さんの気合いをすごく感じたので、これは心してやらなければと。

蘭寿:私は本当に久しぶりすぎて、日常との違いにまず「私、今、どこにいるんだろう?」と迷子になっちゃったみたいな感覚でした(笑)。

壮:泣いちゃうね、蘭寿さんファン。もう泣いてると思う。

蘭寿:ほんと? こういう機会をいただけたからには、頑張りたいなと思っています。

――蘭寿さんにとっては、8年ぶりのステージとなります。その間にプライベートで歌われたり、ボイトレなどは…

壮:それどころじゃなかったもんね。

蘭寿:そうだね。只今、絶賛頑張っております。

壮:このチラシをまじまじと見たんですけど、私たち同期2人の白目の効き方がはんぱない。結構みんな穏やかな目元なんだけど、私たちすごい圧じゃない?(笑)

蘭寿:ほんとだ!(笑) 

――お2人は本公演の“長の期”ですから。やる気の表れではないでしょうか。

蘭寿:“長の期”! 久々に聞きました(笑)。

◆100周年トップ5人が紡いだ絆


――2014年は100周年記念式典などいろいろなイベントがありましたが、特に印象に残っていることはありますか?

壮:さっきも話していたんですけど、私たち80周年の時は音楽学校の予科生だったんです。そこから、100周年の記念式典では一番前列にいて、ここまで来たんだなぁと。しかも、隣には同期がいて。

蘭寿:心強かったです。

――82期生のお2人は、音楽学校時代から100周年というのは意識されていたのでしょうか?

壮:80周年の入場行進前の待機場所で同期と、「100周年、誰が残っているんだろうね?」という話をしたのを覚えています。みんな、「私もうお嫁に行って、子どもを連れて観に行くから。みんな頑張ってね」「えー、私だって」って言い合って。私はその時なんて言ったか覚えていないんですけど、100周年の時には「あぁ、残ってたなぁ。バリバリやってるわ」と思いました。

――100周年から10年経ちましたが、同期生(花組組長・美風舞良)が現役として活躍されているのもすごいですよね。

蘭寿&壮:(声をそろえて)頑張ってるよね~!

壮:同期の間で誰が最後まで残るかという話もよくしていたんです。「あなたじゃない?」「あなただよ」といろいろ言っていたのですが、だいたいはずれました。何がどうなるか分からないなと思います。

――蘭寿さん、龍さん、壮さん、柚希さん、凰稀さんと、それぞれ個性豊かなトップさんでしたが、5人の中で、お2人は最上級生でした。

壮:あの頃はもう先輩後輩というのはなかったです。みんな組を背負って、その責任感のもとに立っているから、組に恥をかかせるわけにはいかないという気持ちでいました。

蘭寿:確かに先輩後輩という感じではなかったです。

壮:強く覚えているのが、記念式典で歌う祝典歌『虹の橋 渡りつづけて』(編集部注:瀬戸内寂聴さんが宝塚歌劇100周年記念式典のために作詞、千住明さんが作曲し、式典で在団生による合唱で披露された)に、印象的な歌詞があったんです。♪三代の女の絆・・・

蘭寿:ひとすじに、ね。

壮:そう、そう!(笑) おばあちゃん、娘、孫と三代にわたり楽しんでいただいたということなんですが、そこを誰が歌うんだろう?とみんなで話していて。蓋を開けてみたら蘭寿さんだったんです。

蘭寿:私、歌いたいですって立候補して・・・。

壮:え!? そうだったの?

蘭寿:最後だからいいよって歌わせていただきました。

壮:そこから、当時のトップ5人のLINEグループのタイトルが「三代の女の絆」になったんです。

――“五人の女の絆”ですね。

蘭寿:5人で一緒になるイベントも多かったんですよね。

壮:当時NHKスペシャル(『宝塚トップ伝説~熱狂の100年~』)も放送していただいたのですが、そのポスターに、辞めていく順番に、1抜け、2抜けとサインしていきました。

蘭寿:龍真咲さんが「最後になりました」と、写真を送ってくれたね。

◆音楽学校の出会いから30年 2人とも根っこの部分は今も変わらない


――お2人は、1994年宝塚音楽学校入学ですので、今年で出会いから30周年です。それぞれの第一印象は覚えていますか?

蘭寿:なんてスタイルのいい人だろうと。

壮:(笑)。待機ルームの座る位置が真逆だったんですよ。

蘭寿:遠かったんだよね。

壮:2人とも寮外生で帰る方向も真逆で。いろんな意味で真逆なんだけど、ずっとつるんでる。

蘭寿:組配属が同じ花組になってからは濃いですね。

――30年経って、ここは変わらないなというところはどこでしょう?

壮:根っこの部分は変わらないです。穏やかな空気が流れて、それにみんなが癒やされる。

蘭寿:いいのか悪いのか、分からないですけどね。えりたん(壮の愛称)も変わらない。このまんまです、ずっと。面白くて。でもね、結構繊細なんです。

壮:えへへへ。

蘭寿:隠すんですよ(笑)。

――退団から10年が経ち、柚香光さん、月城かなとさん、彩風咲奈さんと、お2人のトップ時代に新人公演で主演をされた後輩の皆さんが、トップになられ、立派に務めを果たされ卒業されました。皆さんの活躍をどのようにご覧になられましたか?

蘭寿:感慨深いですね。退団公演の新人公演で主演を務めてくれると、やっぱり印象に残っているんですよね。これからきっと宝塚を背負っていくんだろうなという気持ちになって。退団後、観劇に行くと、あの時あんな感じだったけれど、もう本当に立派な男役さんになられて!と、毎回感動しています。

壮:私は頼もしいなと思うのと同時に、ちょっと身内感覚でも見ちゃって。「うわ、オラオラしてる!」「うわぁ、カッコつけてる!」って(笑)。

蘭寿:それ、もうお母さん(笑)。

壮:「かっこいい!!!」「すてき!!!」というファン目線もありつつね(笑)。

そう言えば私、辞めてしばらくは、「壮さんが男役の燕尾を見ている時の顔がすごく怖い」って言われてた(笑)。燕尾じゃないフィナーレナンバーはそれぞれ衣裳も違うけど、燕尾の男役ナンバーはどの組も一緒じゃない。だからこそ組のカラーが如実に出る気がして。別にダメ出しをしようと思って見ているわけじゃないんだけど、そこだけ真剣に見ていたんだろうね。

蘭寿:みんなも気合いを入れているシーンだから、こっちも真剣な見方になっちゃうんだろうね。

――今回の『RUNWAY』ですが、ここに注目してほしい!というポイントはどこでしょう?

蘭寿:きっと、男役娘役に戻るという意味じゃなく、みんな、今それぞれが歩んできた道を表現すると思うんです。それが一体化したときにどういうものが生まれるのか、すごく楽しみですね。私自身でいうと、どういうものになるのか全然想像がついていないんです(笑)。でも、100周年のメンバーだけじゃなく、はじめましての方もいらっしゃるので、皆さんと一緒に創り出し、生まれるものを自分も楽しみにして、お客様にも楽しんでいただけたらなと思っています。

壮:予想なんだけど、けっこうみんなバチバチに来ると思う。お互いすごく意識してくるんじゃないかな。いい意味でのバチバチで、宝塚時代とは違った、それぞれみんな今歩んでいる道に誇りを持って歩んでいるわけですから、その誇りを胸に、同じ板の上でいい意味で競い合いみたいなものを面白い感じで表現できたらなと思っています。

――今回、お2人の相手役さんは残念ながら不参加となりますが、その分、新鮮な組み合わせも見られそうです。

壮:(夢咲)ねねちゃんはみんなと組みたい!って言ってたよ。

蘭寿:かわいい!(笑)

――意外な組み合わせとして、それぞれ娘役さんになってデュエットなどは…

壮:やれと言われればやりますけど、それが吉と出るかは…。

蘭寿:(笑)。

壮:初舞台の衣裳を着せるとかはやめてほしい!(笑)

蘭寿:それはなしで!(笑)

――最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

蘭寿:楽しみにしてくださっているという声をたくさん聞くので、それだけでも励みになりますし、10年経って、それまでを継承してきた人たちみんなで、今だからこそできる想像もつかないステージが生まれるんじゃないかと思います。ぜひ期待して観に来ていただければと思います。

壮:私はいろいろなOG公演に出させていただいてきて、今回はかなり大きな改革だと思うんです。演出家さんも変わりますし、いつもと違ったOG公演になるのではないかと思います。その分お客さんの期待値も高いと思うので、その期待を上回るものをちゃんとお見せしないといけないと気を引き締めて臨みたいと思っています。ご期待ください!

(取材・文:田中ハルマ 写真:高野広美)

 SPECIAL ENTERTAINMENT STAGE『RUNWAY』は、12月4日~15日大阪・梅田芸術劇場メインホールにて、12月21日~29日神奈川・KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉にて上演。

 追加公演(12月26日17時/KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉)が決定。梅田芸術劇場ネット会員限定の先行抽選は11月15日11時~11月17日11時に申込受付。一般発売は11月23日10時~。

 12月28日17時公演、12月29日13時公演<大千穐楽>の配信も決定(いずれもアーカイブなし)。通常視聴券4500円、プログラム付き視聴券7000円(各税込)は12月3日10時より発売。

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