本田翼、大学受験が大きな転機に 「私は失敗から始まっているんです」

本田翼

 写真:上野留加

 本田翼が、4月13日よりスタートしたドラマ『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱』(テレビ朝日系)に出演。彼女が演じるのは、花火師の望月星太郎(高橋一生)に弟子入りして、シーズン1から引き続き望月煙火店(=花火店)で住み込みで働いている水森ひかりだ。好テンポで繰り広げられる会話劇は「私にとっても新たな挑戦となりそうです」と語る本田に、新しいチャレンジへの苦悩や葛藤はないか聞くと、自分は「柔軟に受け入れていこうとするタイプ」だと笑顔で答えてくれた。

■星太郎&ひかりの関係の変化に注目

――『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱』は、2023年に放送されたドラマ『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱』の続編で、星太郎たちの1年後の姿が描かれています。続編が決まった時の気持ちを教えてください。

本田:前作からどんな話に続くんだろうというのが率直な感想でした。最終回がちょっと面白い終わり方だったので(望月煙火店や望月家の撮影セット全体が映し出されて終わる)、そこからどうやって次のストーリーに繋いでいくのかなという思いがありました。

あとは、最近のドラマではあまり見ないようなホームドラマで、台詞の量が普通のドラマの3クール分ぐらいあるので、続編をやると決まってからすごく気合が入りました。

――本作では、主人公の星太郎と、星太郎の父で幽霊となって現れる航(橋爪功)、そして本田さん演じるひかりといったおなじみのキャラクターに加えて、望月煙火店にやってきた謎の女性・野口ふみか(宮本茉由)が新メンバーとして登場します。台本を読んでいかがでしたか?

本田:ふみかの存在がすごく面白かったです。ふみかが入ったことによって、ひかりが突っ込み役に回ることが増えたりもして。ただ、そこは自分の中で小さな苦労がありました。突っ込むって大変なんだなって…鋭く行き過ぎるとダメな時もあるし、緩急をすごく考えました。

――一方で、今まで築き上げてきた星太郎、航、ひかりの関係性などもあるかと思います。役作りや演じる上でのポイントについて、前作から引き継いだ部分はあるのでしょうか。

本田:続編は、一緒に暮らしはじめてから1年後の設定なので、かなり近くなっているという意味で距離感はすごく意識しました。ひかりという女の子は、距離感が近くなるとどういう性格になるのか、(言いたいことを)ズバズバ言うのではないかな?とか考えて…私が最終的にたどり着いたのは、星太郎のためにわざと強い言葉を言うのだろうなと。星太郎は人の話を一筋縄では聞いてくれないから、聞いてもらえるように結構強く言ったり、そういう面で深い関係性を表現できたらと臨みました。

――なるほど。1話で、ひかりのスルースキルが上がっている気がしたのはそういう意図があったからですね(笑)。

本田:ひかりって柔軟な子なんですよ。私も演じていて思うのですが、たぶん面白いことがすごく好きなんです。だから、ひかり目線で見ていると「うわ、ひかりこれ面白がってやっているんだろうな」って感じることがたくさんあるので、そこを見つけてもらえたらと思います。

――キャラクター同士の仲が深まるとともにキャスト同士の関係や立ち位置も前作と変わってくるのかなと思いますが、現場はどんな雰囲気なのでしょう?

本田:和やかな雰囲気で、役の関係性にどんどん近づいている気がします。待ち時間にキャスト同士で話したりとか。

――前作の撮影の時、本田さんが緊張して最初は楽屋にも近づこうとしなかったと橋爪さんがおっしゃっていましたが、今回は…?

本田:(笑)。前回は台本を読んだ時に「星太郎と航に最初は(ひかりが)なじんでいない方がいいな」って思ったんです。なので、最初は高橋さんと橋爪さんの世界に入らないようにしようと考えていたのですが、橋爪さんがすごく引っ張ってくれて。結局すぐなじむことができました。今回は、最初から最後までずっとみなさんと同じ場所にいさせていただいています! 続編は食べるシーンが多いので、高橋さんとは台本に書かれている“食べる”について「今日のあのシーンの食べるってやつ何かな」って話したり、健康についての話をしたりしていますね。

■演じる側になって気づいた“俳優業の苦労”とは

――本作について本田さんは、会話劇の応酬が見どころの一つであり、自分にとっての新たな挑戦になりそうとおっしゃっていました。高橋さん、橋爪さんと改めて共演して、俳優としてなにか刺激を受けたことはありますか?

本田:お二人は、とにかく面白い発想をされるクリエイティブな方々で。特に今回は星太郎と絡むシーンがすごく多いのですが、高橋さんがアドリブと言いますか、言葉ではなく目で何か訴えてくるようなお芝居をされているのが印象的です。

あとは、演技やセリフについて自分が想像していた動きや言い回しと全然違うことをされるので、自分の小さな想像をはるかに超えて。どんなことが起きても慌てずに受け入れられるように、しっかり準備だけはしておこうと思いました。

――クリエイティブなお二人と撮影していると、新たな学びなども多そうです。

本田:1話で橋爪さんが「その通り」という台詞があったんですけれど、英語で急に「Exactly」って言い出したんですよ。もちろん台本には書かれていなかったので、そういうところが本当にすごいなと感化されました。自分の中には絶対にないものなので…急に英語を話せる設定にされたりとか、「すごい、頭の中が宇宙なんだな」と思いました。

――本田さんは、前作の撮影で学んだことは「失敗を恐れるな」という気持ちだとおっしゃっていました。具体的に、どのような出来事があったのでしょう。

本田:前作は、とにかく台詞の量が多いので「間違えないようにしておこう」と慎重になる部分があったんです。でも、今回はそこを乗り越えて、今までとは違う台詞の言い方をしてみようとか、新しい扉を頑張って開こうという意識を持って撮影に挑んでいます。

――新しいことへの挑戦は、葛藤や苦悩もあるのではないかと思います。本田さんご自身は、新しいことに挑戦する時は不安などありませんか?

本田:私は意外と柔軟に受け入れていこうとするタイプだと思います。

――不安がらず、新しいことにどんどんチャレンジしていきたい。

本田:不安になることがあるとしたら、何が不安かをちゃんと見極めて、どうしたらクリアになるかを考えた上で挑戦したいです。

――考えを変えたことで、成功に導くことができたエピソードなどありますか?

本田:成功のエピソードとは少し違うかもしれませんが、実は、私は失敗から始まっているんです。大学の受験に落ちた時にマネージャーさんが「1年間芸能のお仕事をやってみない?」って言ってくれて。それがきっかけで現在に至っています。 だから私は、言ってしまえば最初は失敗から入っているんです。でも、その失敗をどうすれば自分的に納得できる方向に持っていけるかを今も常に考えながら物事に向き合っています。

――モデル業から俳優業への挑戦は、分からないことだらけだったかと。

本田:挑戦しようと決めたら想像より早くチャンスが来て…あまり分からない状況で飛び込んだ状態でした。俳優さんってこんなに大変なんだって思う瞬間が何度もありました。

――台詞を覚えるのに苦労されたり。

本田:そうですね。普通にドラマとか見ていたけれど、この量を皆さん覚えてやられていたんだなって、演じる側になって改めて思いました。

――俳優業をスタートして今年で14年目となりましたが、仕事やプライベートでこれから挑戦したいことはありますか?

本田:挑戦したいことって意外となかったりするもので。料理もしているし、ゲームや漫画を読むことも好きでそれもやっていて。 新しいことと言ったら、アウトドアになることですかね。…でも、今はそれを絶対にしたいとも思わなくて(笑)。新しく挑戦したいことは、これから探そうと思います!

(取材・文:杉崎絵奈 写真:上野留加)

 土曜ナイトドラマ『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱』は、テレビ朝日系にて毎週土曜23時30分放送。

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