木村拓哉&長澤まさみ、芸能界の経験から得たコミュニケーション術

映画『マスカレード・ナイト』木村拓哉×長澤まさみの最強タッグ再び!

(C)2021東野圭吾/集英社・映画「マスカレード・ナイト」製作委員会

 映画『マスカレード・ナイト』で前作『マスカレード・ホテル』以来2年ぶりに再タッグを組む木村拓哉長澤まさみ。今作でも、潜入捜査官とホテルマンとして、立場も性格も真逆なバディを好演している。劇中では、それぞれの立場からぶつかり合うシーンも多く描かれるが、2人に信念や価値観の違う相手と仕事する際、どんなコミュケーションをとるのかを聞くと、「自分の信念を大事にしつつ相手も否定しない」(木村)、「思っていることは相手に伝える」(長澤)など、それぞれの答えが。また、キャラクターの行動にちなみ、ルールを破ったことでよかったと思える経験を問うと、木村が「もうマイクは持たないと思っていたけど…」とある気付きを明かしてくれた。

 本作は、東野圭吾によるミステリー小説『マスカレード』シリーズ(集英社刊)の映画化第2弾。大みそ日のカウントダウン・パーティーが開かれる「ホテル・コルテシア東京」を舞台に、破天荒な刑事・新田浩介(木村)が潜入捜査を行い、相棒となる真面目過ぎるホテルマン・山岸尚美(長澤)と共に、事件の解決に挑む姿を描く。

■再びタッグを組む新田と山岸 2人の関係性は理想的

 今回、容疑者はパーティーに出席する500人の仮装した客たち。ミステリーや人間ドラマを壮大なスケールでテンポよく魅せるが、長澤は本作について「前作よりも、よりミステリー感が増していて。全員が怪しく見えてハラハラドキドキするし、スピード感がすごくてのめり込んで見ちゃいました。見応えがある分厚い作品になっています」と手応えを口にし、木村も「前作と場所は同じですが、向き合う人たちが全く違う。犯人が誰なのか疑っては切れを繰り返し、その切れた先にとんでもないものが見えてくる。前回より伏線の数が多いですね」と自信をのぞかせる。

 刑事として「客を疑う」新田とホテルマンとして「客を信じる」山岸は、水と油のように正反対。それぞれの職業の正義によって衝突しつつもお互いを高め合っていき、困難を解決する最高のバディとなる。長澤はそんな2人の関係性について、「ライバルっていつも最高のパートナーな気がするんです。2人のように自分の仕事に誠実に向き合えたら一番いい。それを全うするのは容易くないと思うので理想です」と持論。木村もそれに同意し、「ホテルマンと刑事、それぞれの芯やプライドは常備してないといけないんですけど、それを常備するにあたっての覚悟は絶対あるし、そこは自分たちにも必要なこと。2人はすごくすてきな関係性だと思う」と語る。

■芸能界での経験から得た学び

 木村と長澤は、新田と山岸のように自分と信念が違う人物と仕事をする際、どのようなコミュニケーションをとるのだろうか? 長澤は「違う人しかいないですよね」と苦笑いしつつ、「昔の自分だったら相手の様子をうかがっていたと思いますが、そういう遠慮はもうしたくないと今は思いますね。必要がない気がするので。思っていることは相手に伝えることが大事。言わないと伝わらないし、これからは言わないことが負を招く気がするんです。その時、我慢しても結局思う方向に進めずいずれ苦しくなると思うので、ちゃんと言葉にしたいです」とニッコリ。さまざまな作品を経て考えが変わっていったそうで、「この仕事をしてなかったら、絶対にコミュニケーションはもっと下手だったと思います」と苦笑いする。

 一方、木村は「そういう方とそのタイミングでご一緒するのも縁」と言い、「自分は自分のルールでやらせてもらっていますが、相手から見たら自分がしていることが正解ではないかもしれないので、相手を否定することも違う。僕らは表現者。みんなピースの一つなので、まずは監督を信じることが必要。その中で自分の信念を大事にしつつ、相手とコミュニケーションをとりながら一緒に作品を作っています」と回答。また、「本当にいろいろな人がいますよね。僕らはいろんな角度でたくさんの方と会い、さまざまな経験を通して、いろんなものを見てきたからこそ、そう思うのかもしれません」と長澤と同じく芸能界での経験から学びを得たという。

■ルールを破ってよかったと思えた経験は?

 劇中では、新田と山岸がそれぞれの業務のルールのもと職務を全うしようと奮闘するが、今回、山岸は「人を守りたい」という新田の信念に影響を受け、ホテルマンとしてのルールを破ることで新たな“気付き”も得る。2人にルールを破ってよかったと思える経験を聞くと、長澤は撮影で行った台湾で現地のスタッフに行きたいワンタン麵のお店への案内をリクエストした際、別のワンタン麺屋に連れて行かれたというエピソードを披露し、「その人は店が違ってもおいしいワンタン麵だからいいじゃないかというスタンスで。その時に、あまりこだわらず細かいところを気にしないことが大切だと気付き、固定概念のルールを考えなくなりました。固定概念は自分の育ってきた環境や教わってきた自分だけのルールかもしれないと、目から鱗で。人によって感覚が違うことを受け入れてからは、どこに行ってもなるべくフラットに物事を捉えられるようにしていますし、ちょっとしたことでイライラしなくなりました」とほほ笑む。

 木村は、「10代の頃、格好悪いおっさんのやることだからと、麻雀とゴルフだけは絶対にやらないと思っていましたが、ある人に『これやったらお前に絶対負けへんわ』と言われて、『はい?』となって。やってみたらこんなコミュニケーションがとれるんだと、今に至りますね(笑)。あと、『もうマイクは絶対持たない』と思っていましたが、友人や中国の『Weibo』などで海外の方々から『待ってるんだけど』という声を頂いて。いざマイクを持ってみたら、あぁ…やっぱりすげーことなんだなと感じました」と言葉をかみしめながら明かしていた。

 お互い「こうだったらいいなと思うことを全てセッションした時に出してくださる人」(木村)、「単純ななれ合いにならない集中力と緊張感あふれる環境を作ってくれる人」(長澤)と、役柄同様、役者としても信頼を見せる木村と長澤。2人の“最高のバディ”ぶりは、多くの人の心を震わすに違いないだろう。(取材・文:高山美穂)

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