「上方落語の爆笑王」桂雀々さん死去、高座復帰叶わず…公式サイトで発表「幸せな落語家人生であったと存じます」

死去した桂雀々さん

 落語家の桂雀々(かつら・じゃくじゃく、本名・松本貢一=まつもと・こういち)さんが20日、糖尿病からの肝不全のため死去した。64歳だった。所属事務所が22日、公式サイトで発表した。葬儀・告別式は遺族の意向により、近親者のみで執り行った。後日、お別れの会を予定しているという。

 雀々さんは先月26日、体調不良のため落語会を当面の間休演すると所属事務所の公式Xで発表。今月15日には持病の糖尿病で入院したことを公表したうえで、年内の落語会を休演することを明かしていた。この日、サイトでは「入院中も最後まで高座復帰を目指し療養に努めてまいりましたが、残念ながらその願いは叶(かな)いませんでした。これまで多くのお客様、また関係者の皆様に愛され親しまれ、幸せな落語家人生であったと存じます」とつづった。

 大阪府出身。1977年に16歳で2代目桂枝雀さんに入門。体をダイナミックに使った明るい高座で知られ、師匠の異名を引き継ぎ「上方落語の爆笑王」と呼ばれた。芸歴35年を迎えた2011年に東京に拠点を移し、主にホール落語や独演会、上野広小路亭の寄席出演など勢力的に活動。市川猿翁さんが考案した「スーパー歌舞伎」ならぬ芝居さながらの「スーパー落語」の口演など、現代性に富んだ企画も多く生み出した。

 交友関係も幅広く、俳優の伊原剛志(61)を「雀々や剛々」として弟子に迎えたほか、17年の40周年公演では桑田佳祐(68)がサプライズ出演を快諾するなど、朗らかな人柄で愛された。

 ◆桂 雀々(かつら・じゃくじゃく)本名・松本貢一。1960年8月9日、大阪府出身。75年、TBS系「ぎんざNOW!」でチャンピオンになった後、77年10月に初高座。81年のABC漫才落語新人コンクール最優秀賞、87年のNHK新人演芸コンクール落語部門最優秀賞などを受賞。俳優としても、2017年のTBS系ドラマ「陸王」などに出演。20年のNHK連ドラ「贋作 男はつらいよ」で主人公の車寅次郎を演じた。6月に死去した桂ざこばさんは妻同士が姉妹の“義兄弟”。

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