「記録を更新していきたい」84歳の加藤一二三九段、詰将棋連載ギネス記録“不滅化”意欲

ギネス認定証を手にする加藤一二三九段(カメラ・瀬戸 花音)

 将棋の加藤一二三九段(84)が、「同一雑誌におけるボードゲームパズル作者としての最長キャリア」のギネス世界記録に認定され21日、東京・千駄ケ谷で行われた認定証授与式と会見に出席した。加藤は19歳だった1959年から月刊誌「家の光」で詰将棋を出題し続け、今年10月1日で65年62日のギネス世界記録に認定された。

 加藤は車いすで登場したが、舞台上では自らの足でしっかり立ち上がって認定証を受け取り「ギネス世界記録達成を大変喜んでおります」。長年にわたり、詰将棋作りを続けられたのは「健康に恵まれたから」と振り返った。ギネス世界記録認定の知らせは、メールで届いたという。

 詰将棋を作るのは、旅行中の飛行機や新幹線の中など、場所を問わず。「一般の将棋ファンへ向けておりますので、だいたい7手詰めか9手詰めを目標としており、目が覚めるような良い手、感心してもらえる手を2手は入れております」と、こだわりも明かした。日本将棋連盟の常務理事・森下卓九段(58)は「棋士として、また同郷の後輩として、こんなにうれしいことはありません。加藤一二三先生には、ますますお元気でご活躍され、将棋界を大いに盛り上げていただきたいと思うばかりです」と祝福のコメントを寄せた。

 当時史上最年少の14歳でプロデビューし、17年に現役最高齢で引退。今年は棋士デビューから70周年の節目を迎えた“ひふみん”。「これからもこのギネス世界記録は破られないのでは?」との問いには、「そう思います。これからも記録を更新していきたい」。“神武以来(じんむこのかた)の天才”の異名にふさわしい力強さで言い切った。(瀬戸 花音)

 ◆家の光編集長「欠かせない」

 加藤の詰将棋が連載されている雑誌「家の光」は、JAグループの出版文化団体が発行する農家・地域の人々に役立つ情報を掲載する月刊誌。1925年に創刊され、来年5月号で100周年を迎える。発行部数は約34万部。

 編集部によると、故・渡辺東一名誉九段が連載していた詰将棋コーナーを引き継ぐ形で加藤の連載が開始。編集長の山本樹氏は「詰将棋のコーナーは男性を中心に根強い支持のある記事で、欠かせない連載である」と語った。編集部としては、加藤が続けられる限りは連載を続け、記録を伸ばしていく方針だという。

 〇…将棋に関連するギネス世界記録では、他に「1会場で同時に行った将棋の最多対局数」がある。2012年に東京ビッグサイト(東京都江東区)で行われた将棋日本シリーズのこども大会で1574局が一斉に行われ、ギネスに認定。その後、18年に将棋駒の生産量日本一で知られる山形県天童市で行われたイベント「二千局盤来2018」で2362局が指され、記録が更新された。

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