死は「永遠の別れじゃない」 西田敏行さん、「いのちの停車場」出演で変わった死生観「また別の命で生きる」

西田敏行さん

 17日に亡くなったことが分かった西田敏行さん(享年76)は、2021年に出演した映画「いのちの停車場」(吉永小百合主演、成島出監督)で死生観について語っていた。死を「永遠の別れじゃない」とし、「別の命でこの世に存在する」と考えていたという。

 在宅医療をテーマにした「いのち―」で、「この映画を通じて死について考えさせられた」という西田さん。公開時のスポーツ報知のインタビューで、同作に出演したことで死生観が変わったと話していた。

 それまでは「明るく楽しく笑って最期を迎えたいけど、そうはいかないだろう」と思っていたが、完成した作品を見て、考え直したという。「どこかすがすがしく、死んでも『またね』と言えるような希望が見えてきた気がしました。命が終わっても、輪廻(りんね)のように自分の意識はどこかにあるんじゃないかな。また別の命で生き返るというか、この世に存在するんじゃないか。永遠の別れじゃない」と語っていた。

 同作では、安楽死に対する問題提起もされた。これに対し西田さんは「安楽死については十分に議論する必要があるでしょうね。僕ら団塊の世代から『若い世代に迷惑をかけたくない』という思いも出てくるだろう。いずれ尊厳死(を認める)法案が国会に出るのではと、自然死を求める私としては危惧しています」と明かしていた。

 西田さんは、死後の世界について“研究”していた丹波哲郎さん(2006年死去、享年84)と「釣りバカ日誌13」で共演した際、死後の世界について聞かされたという。「人は亡くなると、反転して自分の亡きがらを見る。悲しんでいる家族を見る。ぐーっと引っ張られて空に上がっていく。すると草原のような地平線が広がっている。果てに白い光が見える。その光に向かって走るんだけど、走っても走っても息切れしない」。いま、西田さんは、どのような世界を見ているのだろうか。

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