服部幸應さん、温かな笑顔と優しい言葉はプライベートでも変わらなかった

服部幸應さん

 料理学校「服部栄養専門学校」の校長で、フジテレビ系「料理の鉄人」、テレビ朝日系「愛のエプロン」などの出演でも知られる料理評論家の服部幸應(はっとり・ゆきお、本名・染谷幸彦=そめや・ゆきひこ)さんが4日に死去した。78歳だった。

 30代後半の私にとって、93年から放送された「料理の鉄人」での姿が強烈だった。解説者として勝者はもちろん、敗者にも寄り添ったコメントが今も記憶に刻まれている。

 その後、04年に服部さんのご子息と、私の親戚が結婚した。プライベートの場でも、あの温かなまなざしと優しい言葉は変わらず。披露宴当日、服部さんが円卓を回る際に当時大学生だった私にもほほ笑みながらジュースを注いでくれたことを覚えている。その一方で、代名詞ともいえるマオカラージャケットは自宅に数百着保管しているという話も聞き、日本国内に「食育」や「料理」を広めたこだわりも垣間見た気もした。

 最後に会ったのは、3年前。取材で訪れた現場の楽屋で“親戚話”を交わした。「じゃあ、これからも頑張って」。服部さんの誘いに満面の笑みで2ショットを撮ったが、足元はスリッパ姿。おちゃめで、誰からも慕われた“先生”が逝ってしまった。(田中 雄己)

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