「Aぇ!group」正門良規、舞台は「生涯やっていきたいエンターテインメント」…8日に主演舞台開幕

 「Aぇ!group」の正門良規(27)が主演を務める舞台「Touching the Void タッチング・ザ・ヴォイド~虚空に触れて~」(11月4日まで・PARCO劇場など)が8日に開幕する。インタビュー前編は、2年ぶりの主演舞台、そして「舞台」に秘める思いを語った。

 午後10時になろうとしていた。開幕直前の舞台稽古を終えた正門は「遅くに、申し訳ありません」と入室と同時に頭を下げた。分刻みのスケジュールの疲れを一切見せずに。言葉は、外見と同様に、爽やかで律義だった。

 「今は、道具の扱い方ですとか、細かいところを詰めていて。メチャクチャ、ハードですね。ジムも行っていますし。負荷が大きいシーンも多くて、稽古中にも体が大きくなる感じですね」

 2年ぶりの主演舞台。若い登山家の実話を基にした作品で、標高6400メートルのペルーのアンデス山脈に登頂した際に起きた遭難事故の回想録。

 「これが本当にあったお話なんやと、信じられないくらいに奇跡のストーリーだと思います」。そう言い、ほほ笑んだ。「度肝を抜かれると思います。実話を舞台でやるという魔法もあるので、幻想的なお話なんですよね」

 ゴソゴソとバッグをあさり始めた。取り出したのは、舞台の台本。「ほら、このタイトルのところに、登山を描いた幻想的な作品と書いてありまして。どのように幻想的かは、見ている人の想像に委ねるところはありますけどね」。流れるように、言葉が止まらない。充実した時間を過ごしていることが伝わってきた。

 「日本ではなじみ深くないかもしれないですけど、英国や米国では小説もヒットしていますし、映画化もされていて。それだけの作品に、登山経験もない僕がクライマーとして命の話をするのは、覚悟がいること。ファンの方が多い分、真摯(しんし)に向き合わないとガッカリされてしまう。ハードルは高いですけど、その分やりがいもあります」

 今年5月にデビューした。以降、ライブを始めとした音楽活動に加え、映画やバラエティーなど活動は多岐にわたる。その中で「舞台」は「生涯やっていきたいエンターテインメント」と言う。

 「善しあしではなくて、人間なのでキャストもスタッフも観客も日によって違う。天候も気温もそう。そんな中で、その日の100点を120点、150点に上げようと目指していく。人としての作業も好きだし、エンターテインメントに関わる人間として見るのも好きで」。そう言うと、後方のマネジャーに視線を送り、「理想は、年に1本くらいできたらなって思っているんですけどねぇ」。イタズラな笑みを浮かべた。

 髪をかき上げて、再び正対した正門に、デビュー後の「景色」を聞いた。「まだ僕も漠然としていて」。11年の入所以来夢に見ていたデビュー。だが、それまでの長い下積みに加え、昨年は社名や環境が変わる中で、昨年の12月30日には、メンバーが1人減った。「今もよく分かっていない」。姿勢を変え、視線を上下させ、仲間、そしてグループへの感情を吐露した。=後編に続く=

(田中 雄己)

 ◆正門 良規(まさかど・よしのり)1996年11月28日、大阪府出身。27歳。2011年に入所。19年に「Aぇ!group」のメンバーに選出。21年に舞台「染、色」で単独初主演を務める。22年大阪松竹座でソロコンサートを開催。今年5月にCDデビュー。血液型AB。

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