BLドラマでW主演の金子隼也と野村康太。「料理を一緒に作るのが楽しそうです」

漫画家・鶴亀まよによるBLマンガの『パーフェクトプロポーズ』がドラマ化され、FODで2月2日から配信される。W主演を務めるのは、これが初めてのドラマ主演となるフレッシュなコンビ、金子隼也と野村康太。仕事でパワハラ上司にプレッシャーをかけられ、疲れの取れないハードな毎日を送る渡浩国。その疲弊した心身を幼馴染だった家事能力抜群のクールな年下男子・深谷甲斐が、家庭的な手料理で癒やす同居生活が描かれる。

金子は2021年『ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』で俳優デビューし脚光を集めた注目株。一方の野村は、2022年の『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』でドラマデビュー、メンズノンノモデルオーディション2023で準グランプリを受賞したことが話題を呼んだ。

浩国役の金子は24歳、彼を慕う甲斐を演じる野村は20歳。年齢こそ原作に近い関係性だが、実際に料理上手なのは金子であり、野村は料理未経験。さらにどちらかというと金子は慎重に言葉を選ぶタイプで、野村は人懐っこさ全開の愛らしさ。演じる役どころと素顔のギャップが大きい二人による対談は、意外な本音が飛び出す楽しいものとなった。

▲左:野村康太 右:金子隼也

プレッシャーを感じつつも楽しみながら演じた

――主演と聞いたとき、最初に報告したのは誰でしたか?

金子:僕は『HORIPRO ACTORS LIVE』の会場に歩いて向かっていたときに、マネージャーさんから聞きました。オーディションを受けていたので、何度もマネージャーさんに合否を聞いていて、そのときに「あ!」みたいな感じで教えてくれたんです。合間にすぐ母に電話をして「決まったよ」と伝えました。もちろん喜んでくれたんですけど、自分としてはプレッシャーとか喜びとか、いろんな感情が渦巻きました。

野村:僕は母です。その場に一緒にいたので「決まった!」って話したら、「主演なんてすごい。頑張って!」と言ってくれました。

金子:オーディションで台本読みをしたあと、「次はもうちょっとコミカルにやってみて」と言われてコメディ寄りにしたんですが、帰り道で「もうちょっと振り切ってコメディ感を出せばよかった」とマネージャーさんと意見が一致して。そんなこともあって、個人的には“落ちたな……”と思いこんでいたんです。

それから中々結果が出なかったので、確実に落ちたと思っていました。だから、結果を聞いたときはビックリしたというのが本音です。その後、繊細な心情の変化をどう表現していけば良いのかというプレッシャーや悩みもありましたが、初めて主演をやらせていただくことには楽しみだなという気持ちが大きかったです。

野村:W主演というのには本当にびっくりしましたし、僕はデビューしてまだ1年ちょっとしか経っていないので、“僕で大丈夫なのかな”という不安もありました。それでも主演ならば出番が多いかな? という期待も膨らんで、次第に楽しみになっていきました。

――撮影に入ってからはどうだったのでしょう?

金子:撮影に入る前はプレッシャーや緊張がありましたが、いざクランクインしてみたら、温かいスタッフさんばかりで、監督もとても優しかったです。監督は優しいだけじゃなく、「ココはこうしたほうがいい」と的確なアドバイスをくださって。すごく伸び伸びと撮影できました。

野村:僕は普段からすごく緊張してしまうタイプで、いつも現場に行くとガチガチになっちゃうんです。だけど今回、金子さんがおっしゃったように、本当に現場が温かくて。伸び伸びとお芝居をさせていただけて、ほどよい緊張感でお芝居に臨めたと思っています。特に金子さん演じる浩国と、僕が演じる甲斐の空気感がすごく心地良くて、自分でも本当にリラックスして演じられたと思います。

――主演として心がけていたことはありますか?

金子:現場の雰囲気に関して言うと、あえてこうしようと思って臨んでいなかったと思います。と言うのも、現場の雰囲気がとても温かくて、僕のほうから特に何かしなきゃと思うことはありませんでした。

野村:僕も特に意識していたことはなかったんですが、主演として「この作品を必ずいいものにしよう」と心がけていました。甲斐という役を愛して、甲斐という一人の人間として生きていくんだと強く意識してました。

――お互いの印象を教えてください。

金子:まさに「甲斐にぴったりだな」というのが最初の印象でした。もちろん、ビジュアルもそうですが、凛とした雰囲気が原作を読んだときの甲斐のイメージに近かったんです。リハーサルで初めてお会いしたんですが、こんなにスタイルのいい19歳がいるんだ! と驚きました。これまで見上げるくらい自分より背の高い人と一緒にお仕事することはあまりなかったので、かっこいいなと思っていました。

野村:最初にお会いしたときは、すごく静かな方だと思いました。お互い人見知りなこともあり、最初は全く会話がなくて、“大丈夫かな?”と思っていたぐらいです。でも、リハーサルを重ねていくうちに、意外と言ったら失礼ですが、明るくておちゃめな方だとわかって。おかげですごく仲良くなれたんですけど、初対面のとき、じつは家に帰って母に「静かで会話が無いんだけど、どうすればいいと思う?」と相談したほどです(笑)。

金子:全然話せてない。やばい、話さなきゃ。でもどうしよう……とは思っていたんですけど、自分のことで精いっぱいで。でも、撮影に入ったら、すぐに打ち解けられたので安心しました。

人見知り同士だった二人が徐々に打ち解けて

――最初に声をかけたのはどちらですか?

野村:僕からLINEを聞きましたよね。LINEをしたのも僕からです(笑)。

金子:ごめん(笑)。うん。送ってくれたね。僕、そういうことが苦手で、聞いていいのかなとか迷ってしまうので、聞いてもらえてとてもありがたかったです。

――金子さんのほうが年上ですよね(笑)。

金子:はい(笑)。そういえばスタイリストさんと一緒に昔のドラマの話をしていたときに、野村くんから「見てない」「知らない」っていう反応があって。4歳差なんですが「うわ〜、自分、歳をとってきたんだな」とショックでした。「このドラマを通ってないんだ!」って。なんのドラマで一番そう感じたんだっけ? 

金子・野村:(同時に)イケメン♂パラダイスだ!

金子:そうだった。僕が見ていたのが、(『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』の)1期で……。

野村:僕は2期だったんです(笑)。僕はいい意味で、金子さんは年上で頼りになるなと思ってました。

金子:本当に?(笑)  お互い自然だったので、特に自分がリードしなきゃとはあんまり思っていなかったです。

――金子さんのほうが無口な印象、一方の野村さんは明るくて、逆のキャスティングもありな気がしてきます(笑)。

野村:最初、正直に言うと甲斐役が難しくて自信がありませんでした。クールで淡々としながら、ズバッとはっきり言うところもある。普段の僕は淡々というより、見ての通りホワンホワンしている感じなので(笑)。自分の性格とは違うなと思いました。

金子:僕は浩国となんか似ているところがあるなと思っていたので、逆だったかもとは思ったことがなかったです。

野村:金子さんも浩国も雰囲気がすごく柔らかいんです。そういう部分はすごく似ていると思います。撮影中もいろいろリードしてくださって、優しいところも似ています。

金子:最初、野村くんは地ビジュアルと雰囲気が甲斐に似ていてピッタリな方かもと思ってましたが、撮影が始まって確信に変わりました。台詞の言い回しだったり、雰囲気や空気感もそうですけど、甲斐にぴったりだなと思いました。

 

オムライスにチャレンジしてみたい

――甲斐は料理上手ですが、野村さんは実際に料理はしますか?

野村:それが全然したことがなくて。演じるにあたって練習はしたんですけど、上手にできなくて。撮影中もぎこちなくなって、何度か撮り直ししました。最終手段として、フードコーディネーターの方に、上手に見せるにはどういう動きをすればいいのか教えていただいて撮影しました(笑)。

――そんな野村さんが、もし金子さんに手料理を振る舞うなら、どんな料理を?

野村:願望でいいですか?  作れなくても大丈夫ですか?(笑)。

金子:作れない前提になってる……頑張って(笑)。

野村:(少し考えて)オムライスですかね。

金子:大丈夫? 目玉焼きでもいいんだよ。

野村:でも、オムライスのほうが可愛くないですか?

金子:可愛いけど、難易度高いよ。

野村:やっぱりオムライスにチャレンジしてみたいです。実際、劇中にも出てくるんです。自分でも頑張って作って、家にお招きして振る舞えたらと思います。

――金子さんは料理をするんですか?

金子:たまにします。僕はお酒を飲むのが好きで、家で飲むときにおつまみが欲しくて作り始めたのがきっかけです。本を買ってきて自分で作っているうちに、料理って面白いなと思うようになって。YouTubeや料理本などを参考にして、いろいろ作ってます。野村くんはハンバーグが好きと聞いたので、今度作ってあげたいです。ハンバーグは実際に作ったこともあるので!

野村:料理、教えてもらいたいです。一緒に作るのが一番楽しそうですけど。

――ちなみに、食べたら幸せになれる食べ物はなんですか?

金子:僕はキュウリです。この作品に入っていた頃は、食べながら現場に向かっていたんです。コンビニでキュウリの一本漬けを買って食べていました(笑)。すごく好きなんです。

野村:僕は焼肉が本当に大好きで、夜、焼肉に行くとわかっていたら、その日は朝からずっとハイテンションになります。それぐらいお肉が好きですし、甘いものも大好きです。

――すでに撮影は終わっているそうですが、何か自分のためにご褒美はしましたか?

野村:撮影が終わったあと、ご褒美として我慢していたポテトチップスとロールケーキを食べました。一度だけ、撮影途中にも挟んだんですけど(笑)。

金子:挟んだんかい(笑)。

野村:ダイエットの気持ちもあったし、僕は肌に出てしまうタイプなので、なるべく食べずにいたんですが……(笑)。撮影が連日続いて、次の日お休みだったときに我慢できなくなって衝動的に食べました。

金子:僕も撮影が終わってからラーメンを食べました。それから気分転換も兼ねてディズニーランドとシーに行きました。ここのところ毎年、ランドとシーの両方に行っているんです。オンとオフの切り替えは特に心がけなくてもできているほうだと思いますし、時間が許す限り、自分でやりたいことをして過ごせています。

お互いが手応えを感じた最終回を見てほしい

――プライベートで今、ハマっていることは?

金子:僕は『呪術廻戦』にハマっています。ジャンプ本誌を追っているぐらい好きですし、YouTubeに上がっている考察も見ています。最近は一番くじを引いたりしてグッズも集めたり、携帯ゲームもずっとやっています(笑)。

野村:僕は以前からずっと変わらず、韓国ドラマを見ることが好きです。休みの日はずっと見てしまうぐらい。最近、見終わったのは『ムービング』。すっごく面白かったです。今まではキュンキュン系の王道ラブストーリーが多かったんですが、母の勧めで見てみたら、ラブストーリーにサスペンス要素もアクションもあってハマりました。

――このドラマも人気コミックが原作ですが、どのくらい原作を意識しましたか。そして自分らしさはどのように盛り込みましたか?

金子:撮影前は原作を何回も読んでいました。今回はドラマということで台本もあるので、原作を読んだ中でつかんだものを大切にしながら台本と向き合い、ドラマとしての『パーフェクトプロポーズ』と浩国を作っていこうと思っていました。

自分らしさは特に意識しませんでしたが、原作を読んだときに自分はなんとなく浩国と似ているところがあると思っていたので、浩国を作っていくうえで、自然と自分らしさが入っていったように感じています。

野村:僕は原作のキャラクターはもちろん、自分が台本を読んだときに甲斐から感じたものを大事にして演じることを心がけていました。ドラマと原作、どちらの甲斐もクールだけど優しさや温かさもあふれていると感じたので、そこを意識しつつ、ドラマ『パーフェクトプロポーズ』を作ろうと現場に臨んでいました。

自分の性格は甲斐とはだいぶ違うと思っていたんですけど、感情をストレートに伝えるという面に関しては僕も同じなので、そういったシーンでは自分らしさを出しつつ、甲斐の良さも生かしたいと考えていました。

――一番、手応えのあったのはどの場面でしょうか?

野村:最終回にお互いが伝えたい思いを伝えるシーンがあるのですが、甲斐と浩国それぞれの感情があふれ出てきて、演じている僕自身の感情も、ものすごく揺れ動きました。

台本に「泣く」とは書いていなかったんですけど、実際に金子さんの演技を受けとめて演じているうちに、だんだんと涙が勝手にあふれ出てきて。カットがかかったあとは、嗚咽するぐらい泣いてしまったのですが、そこはいいシーンになっていると思います。

金子:僕も同じシーンです。全部、野村くんが見どころを言ってくれました(笑)。台本には「甲斐が泣く」と書いてなかったですが、野村くんが涙を流していて、それを浩国として受けたときに「相手を受け入れられた」という感覚になりました。そこに甲斐として野村くんがいてくれたからこそ感じられたものだと思います。

野村:その場その場で感じるものを大切にしようと思っていたのですが、浩国がストレートに台詞で感情を伝えてくるので、心が自然と動いていました。相手の演技を受けて、自分の感情も含めて一番心が動いたのが最終回です。

二人にとっても思い出深い作品となった

――役を演じるうえで心掛けていたことはありますか?

金子:同居している家の中での浩国と、会社で上司にプレッシャーをかけられて、押しつぶされそうになりながらも頑張って働いている浩国とは、テンションや纏う雰囲気にギャップがあると思っていたので、それぞれ違った姿を見せいと思っていました。また、回を追っていくごとに、少しずつ甲斐に魅かれていくので、甲斐に対する思いが今どのくらいなのか、数値にして段階分けしていました。

現場に入ってからは監督と相談しながら、その場面での目安となるように「ここぐらいまでにしておかなきゃいけない」という感情や思いの大きさを、台本を見たときにわかるようにしていました。

野村:表情が変わらないように見えますが、甲斐なりに心の中は感情が上下している部分があるんです。監督が特にそういったところを大事にしていて「ここのシーンはこうだから、こういったことを意識して」と具体的なアドバイスをくださって。

言われたことをしっかりと心に持ちながら、クールのなかにも優しさと温かさ、甲斐なりの強さを持つように意識していました。特にわかりやすい動きはしなくても、心で思っていれば、目の奥などから自然に伝わってくるのではないかと思っていました。わかりやすく感情を見せるようにするのではなくて、“見えたらいいな”と思っていました。

 

――最後に視聴者に見てほしいポイントをお願いします。

金子:一番見てほしいのは、甲斐に対して浩国が魅かれていく繊細な心情の変化です。そして、テーマのひとつでもあるご飯が、映像としても美味しそうに映っています。実際に食べてもめちゃくちゃ美味しくて、休憩のときに「もうちょっと食べてもいいですか」と言って、食べていたぐらいでした(笑)。そこも楽しみに見ていただけたらうれしいです。

野村:浩国と甲斐の徐々に変化していく心情や関係性を温かく見守っていただけたらと思います。僕自身、この作品を通して人の温かさ、愛し愛されることの尊さをすごく感じたので、皆さまにも癒しを届けられたらと思っています。

金子:浩国を演じて思ったのは、会社でプレッシャーをかけられて、押しつぶされそうになったときに支えてくれたのが甲斐であったように、そして甲斐に支えられながら本来の浩国を取り戻したように、やっぱり人と人って、支えて、支えられないと生きていけないんだなって、すごく感じました。

――今後の俳優人生において、大切な作品になりましたね。

野村:初めての主演作ですので、必ず思い出深い作品にはなると思います。俳優人生において、大きな分岐点のひとつになるんじゃないかと思ってます。

金子:また新たなスタートを切れたと思っています。初めて主演をやらせていただいて思い出深い作品になりましたし、たぶん、これから先、何かつまづくことがあったら見返す作品になったと思います。

(取材:髙山 亜紀)


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