堂本光一『SHOCK』大千穐楽、7万人以上のファンが見届ける中、24年の歴史に幕「専用劇場でも作ってやればいいかな。誰かに受け継いでもらえたら嬉しい」
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【写真】『SHOCK』仕様の帝劇入口。今の帝劇の姿を見られるのも残りわずか
ここまで2128回、今年だけで142回のステージに
24年続いた『Endless SHOCK』が大千穐楽を迎え、その歴史に幕を降ろした。最後となるステージを見届けたのは、プラチナチケットを手にした1800人と、全国の映画館でライブビューイングに参加した7万人のファン。まさに「大」千穐楽にふさわしい締めくくりとなった。
今年は4月の帝劇に始まり、大阪・梅田芸術劇場、福岡・博多座と全国を巡り142回を上演してきた同作。カーテンコールにはKAT-TUNの上田竜也さん、ふぉ~ゆ~(福田悠太さん、辰巳雄大さん、越岡裕貴さん、松崎祐介さん)、松尾龍さん、松浦銀志さん、中村麗乃さん、前田美波里さんらカンパニーの面々が登壇。
さらに今年出演したtimeleszの佐藤勝利さん、寺西拓人さん、高田翔さん、原嘉孝さん、林翔太さん、室龍太さん、Wキャストの綺咲愛里さん、島田歌穂さんも駆けつけた。
堂本さんは「2000年に幕をあけて、当時自分は21歳でただの若造でしたけども、そんな自分を信用してくださって、こうして帝劇のステージに立たせていただきました。24年間も毎年この景色を見せていただけたこと、心より感謝を申し上げたいと思います。ここまで2128回、今年だけで142回。もうわけがわからない数字ですよね(笑)」と挨拶し、笑顔を見せた。
ステージにはくす玉が用意され、堂本さんが紐を引くと「光ちゃん お疲れ様でした!」と書かれた垂れ幕が。また、公演数にちなんだ142本の薔薇の花束が渡され、会場から大きな拍手が贈られた。
「『SHOCK』専用劇場でも作ってやればいいかな(笑)」
ライバル役を演じた上田さんは昔、堂本さんに怒られた時のエピソードを披露。「2003年、ちょうどここですよね、光一君に『お前もう絶対このステージに立つな!』と言われました(笑)。まさかこうして『SHOCK』の大千穐楽のステージに一緒に立てるとは。感慨深いものがありますね」
また同じくライバル役を演じた佐藤さんは、「本当に『SHOCK』に育てていただきました。そういう後輩はたくさんいると思います。みんな光一くんの背中を追い続けてきました。今日でラストですが、思いは僕たちの胸に響き続けますし、そういう意味では『Endless SHOCK』は終わらないと思っています」とコメント。
劇場オーナー役を演じた前田美波里さんは、「『SHOCK』は私の人生の、いえ役者としての宝物です」と涙ながらに言葉を贈った。
『SHOCK』の聖地である帝劇は、来年2月より建て替えのため休館を予定している。堂本さんが「『SHOCK』専用劇場でも作ってやればいいかな(笑)」と冗談交じりに言うと、会場から割れんばかりの拍手が起きた。
「今のメンバーや(中山)優馬の『Endless SHOCK -Eternal-』も観たい。まだまだやれることはあると思う。ただ、帝劇がなくなる。どうしたらいいのか。もう自分がコウイチ役を演じることはないかもしれませんが、誰かに受け継いでもらえたら嬉しいなと思います」と堂本さん。
演じてきた<コウイチ>という役についても、「ステージに立つ人間としての究極形みたいなものを描いてきた。その究極体を演じるのが、まあつらい24年間でした。だって俺は究極じゃないんだもん、全然。そういう意味では自分自身が役に負けないよう、“気持ち”をずっと維持し続けるよう頑張りました」と思いを吐き出した。
年齢を重ねれば重ねるほど怖さが出てくる
さらに「パフォーマンスに関しては、21歳の時のほうが爆発させるエネルギーがあったかもしれないけど、総合的には心技体ともに今のほうが自信があるんですよ。だけど唯一自分の中で衰えたなと思ったのが、(舞台が)暗くなった瞬間にハケるという動作。これが本当に遅くなった。怖くてしょうがない(笑)」という堂本さんの告白に、カンパニーや会場から「ええーっ!?」と驚きの声が上っていた。
また「年齢を重ねれば重ねるほど怖さって出てきますよね、いろんなことに」と言う堂本さんに、前田さんは「わたくしはないですけど?(笑)まあ確かに怖いですけどね、それでも舞台に立たなければ、他に生きる道がないので。舞台が一番好きです」と返す。そうですよねと強く頷く堂本さんだった。
共演者、オーケストラ奏者、スタッフに感謝の気持ちを述べた後、「ライブビューイングの皆さんはこの後もうちょっと見られる部分があるかも。ごめんなさいね、帝劇の皆さん(笑)!ところで(セットの)飛ぶ車とか撤去されちゃうんですけど、欲しい人いますか? セットもほぼ全部ガシャーンとなりますから。タツヤと俺がケンカするシーンの、鏡台とかいります?(笑)」と、いつもの調子に戻った堂本さん。この時点でカーテンコールは1時間超という異例の長さに。
最後に「カンパニーは今日で解散となりますが、これからも皆さんの応援をよろしくお願いします。24年間、本当にありがとうございました!」と締めくくり、舞台の幕を降ろした。
「『SHOCK』は永遠であってほしい」
舞台上でセットの撤収作業が進む中、堂本さん単独の囲み会見がスタートした。
「撤収って早いです。みんな早く『レ・ミゼラブル』(帝劇での次回公演)にいきたいんですよ(笑)。ここまで本当にやりきったので、背負ったものを下ろせるかなと思ったんです。思ったんですが、余計にまた重たいものが乗っかった気がしています。
新しい舞台の構想はないです。『SHOCK』のような舞台の構想までには至ってないですね。(後継者については)現れないですかね? 僕自身も見たいし、夢ではありますよね。自分が積み上げてきたものを表から見るというのは。記録にしても破られるためにあるものですから、もちろん破ってほしいです。
帝劇が改装に入らなかったら、たぶん来年もやらせていただきたいと思っていたはず。でも数年前に工事の話を聞いた時に、ああ2024年がラストになるなあと思ったんですね。なので自分の中では突然というわけじゃないんです。専用劇場があったら、1日2回公演がなければ毎日でもやりたい。1日2回公演はめちゃくちゃしんどいです。(笑)
今45歳。人生の半分いったわけですけど、これから先『SHOCK』より刺激的なことが起こるのだろうかと考えると、多分ないと思うんです。すべてを経験させていただきました。
(24年の間には)あってはならない事故も、天災もありました。地震もあったし、コロナ禍もありました。誇らしげに言うことではないかもしれないですが、そんななか自分の体調では一度もストップさせなかった。ケガとかしんどいこともたくさんありましたが、強行突破でやれたことが幸せでした」
最後に訊かれた「『SHOCK』とは?」との問いに、「永遠であってほしいです」と答え、堂本さんは会見を終えた。
セットを壊し、撤収する作業音が響く中で
観客が帰り、誰もいなくなった客席の中央に立った堂本さんを囲んでの会見。緞帳の向こうからは、セットを壊し、撤収する作業音が響いていた。その音を堂本さんはどんな気持ちで聞いていたのだろう?
『婦人公論』2024年12月号のインタビューで、「僕自身、新しくなった舞台に立ちたい思いはありますが、完成時に自分が何をやっているか、どうなっているか、その時の状況次第でしょうね」と語っていた堂本さん。
数年後に新しい帝劇が完成して、仮に再び『SHOCK』の幕が上がったとしても、それはまた別の舞台だ。ここまで続いた歴史に区切りがつくのは寂しいが、まずは「24年間、本当にお疲れ様でした」と心からの言葉を贈りたい。
筆者自身、現在の形の帝劇に足を踏み入れるのはおそらくこの日が最後。これまで『SHOCK』や『DREAM BOYS』の取材で幾度となく訪れた、思い出深い場所とも今回でお別れとなる。空間を華やかに彩るステンドグラス、2階に上がる大階段、ワインレッドの絨毯――。観客に混じって終演後のロビーと外観の写真を何枚も撮り、劇場を後にした。
12/02 15:45
婦人公論.jp