土屋太鳳さんが『A-Studio+』に出演。家族とのエピソードを披露「限界を超えない無理、を常に心がけて」
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夏木マリさんのプロデュースで6月に開幕する舞台『ピノキオの偉烈』で主演を務める女優の土屋太鳳さん。3歳の頃から日本舞踊やクラシックバレエを習い、日本女子体育大学へ進学。その後、朝ドラ『まれ』のヒロイン役を演じて注目を集めました。2016年、オーストラリアの歌手siaが歌う、世界的ヒット曲『Alive』の日本版ミュージックビデオに出演。約4分半の動画で披露したコンテンポラリーダンスが、今回のオファーにつながったといいます。今年でデビュー15周年を迎える土屋さんが語った、表現者としての意気込みや葛藤とは。(構成◎岡宗真由子 撮影◎本社・奥西義和)
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【写真】土屋さん「〈自分の限界〉というものを知り、〈限界を超えない無理〉を常に心掛けることができました」
ここ数年は限界ギリギリでした
私は幼い頃からバレエや日本舞踊を習っていたので、さまざまなルーティーンを試しながら、いつも身体を動かすことで心身を調整してきました。
ラッキーだったのは、子どもの時からスポーツに親しませてもらったことと、高校の部活が厳しかったこと。そのおかげで「自分の限界」というものを知り、「限界を超えない無理」を常に心掛けることができました。
ただ、限界ギリギリという状況を数年続けてしまったので、結果的にここのところ身体をいじめ過ぎていたと思います。
今は、動けない時期だからこそ「これくらいで間に合うかも」と、引き算をしながらルーティーンを組むようにしています。そして、欠かせないものとして残ったのは「ストレッチ」と「呼吸法」と「水分を摂ること」。この3つは動ける時も動けない時も、身体にとって最強の習慣です。
感覚が研ぎ澄まされて
一生続けていきたいのは走ること。「走るって本当に凄い」と身を持って感じてきましたね。2019年、コロナ禍でしたが、24時間テレビの募金ランに参加させていただきました。練習期間がほとんどなく、正直不安もありましたが、いざ走ってみたら…これまでの日々のトレーニングのおかげで怪我をすることも不調になることもなくゴールすることができました。
実はその時、本番の数日前からヘアスプレーで頬がかぶれてしまい、薬をつけても治らずにいたのですが、24時間走り続けた後には嘘のように治っていました。この時にも有酸素運動で汗を流すということが、どれだけデトックスになるか思い知りましたね。
そして今年から『ピノキオの偉烈』の稽古が始まって、今までよりさらに、研ぎ澄まされていく感覚に出会えました。ひとつひとつの動作に今まで以上に心を込めたり、細部まで神経を持っていこうとしたりすることができるようになったのです。
自分の変化を通して「あ、人って奇跡なんだな」と思いました。自分も奇跡だし、みんなも奇跡。奇跡の塊が時間になって、時代になって、歴史になっていく。人間の素晴らしさに感動を覚える日々を送っています。
「土屋太鳳に恋してる!」
1993年に夏木マリさん主催で上演された「印象派NEO」。ひとり舞台から始まり、30年を迎える今年『ピノキオの偉烈』が上演されます。主演女優として感じた、演出家のマリさんの印象とは。
俳優であり、演出家でもいらっしゃる夏木マリさんと初めて一緒にお仕事をしたのはアニメーション映画『フェリシーと夢のトゥシューズ』の吹き替えをさせていただいた時です。吹き替えは別々に収録したので、舞台挨拶の席で初めてお会いすることができました。
マリさんは本当に美しくて…うまく表現するのは難しいのですが、中から発光していらっしゃいました!その時にマリさんから、「土屋太鳳に恋してる!」という夢のようなお言葉をいただきました。
私がデビューした頃から私のダンスを好きで見ていてくださっていたそうなんです。私の方こそマリさんに魅了されてしまい、そこからマリさんが主催なさっているワークショップや「印象派NEO」のイベントに伺ったり、ライブを拝見したりして、ご縁が深まっていきました。
続けることが大切
マリさんは、お会いすればするほど未知の魅力を感じる憧れの方です。私と同年代の方々はマリさんと言えば『千と千尋の神隠し』の「湯婆婆」の怖いイメージを持っている方も多いと思いますが、実際のマリさんはとんでもなく優しい方でした。
ただ優しいのではなく、その優しさの中に他者への思いやりが詰まっていて、常に全体を見通すことができる方。だから私にとって現実の厳しさを教えてくださる人生の先輩でもあります。
マリさんは、バラの購入を通じて途上国の子どもたちを支援する「One of Love」プロジェクトという社会貢献活動を立ち上げ、中心メンバーとして活動しています。そのことを伺った際に、人を支援するということには責任が生じるから、その場限りの支援するのではなく「続けること」がとても大切なのだとおっしゃって。
その姿勢はマリさんが主宰される舞台「印象派NEO」の取り組みにも繋がっていると感じます。『ピノキオの偉烈』は、2020年の上演予定でしたが、コロナでやむなく延期になってしまいました。海外公演も直前で中止となり、その痛手は相当なものだったと思います。それでもマリさんはその火を絶やすことなく、今年いよいよ舞台を上演することとなったのです。
11/15 20:00
婦人公論.jp