片岡鶴太郎さんが『徹子の部屋』に登場、一日一食生活を語る。「ヨガ離婚」と騒がれた自分が熟年離婚を決意した本当の理由。還暦を控え、死へのゴールが近づいたことで湧き上がってきた気持ちとは

片岡さん「出会い探しは金輪際しない」(写真:片岡鶴太郎さんのインスタグラムより)
8月22日、片岡鶴太郎さんが『徹子の部屋』に登場、一日一食生活を明かし、書も披露する。熟年離婚などを語った片岡さんのインタビューを再配信します。

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定年退職などをきっかけに生きがいを失い「何をしたらいいのかわからない」「やりたいことがない」と悩む方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そのようななか「いくつになったって、誰だって、やりたいことや好きなことは見つかります」と語るのは、役者や芸術家など多方面で活躍している片岡鶴太郎さん。その片岡さんいわく「出会い探しは金輪際しない」のだそうで――。

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【写真】全身黒!クールなスタイルの鶴太郎さん

熟年離婚した本当の理由

離婚した当初はちょうど私がヨガにハマっていた時期で、「ヨガ離婚」などと騒がれたりもしました。確かにルーティーンが増えていってはいましたが、離婚する前からほぼひとり暮らしですから、そこはあまり関係ないかと思います。

そもそも、この時期に何かがあって、別れたわけではありません。ずっと何年も別居状態を続ける中で、妻と何かを共にすることもなく、生き方の方向性は確実に違ってきていました。

これまで一つの道を進んでいたふたりが、時間の経過と共に別々の道を歩み出し、距離が広がっていったような感じでしょうか。お互いのペースがありますから、そこを埋めようと、今から一緒に暮らすのも難しい。

ふたりで歩んできた人生の旅はもう終わり、と感じていました。何も離婚しなくても別居状態でいいのでは、と思う人もいるでしょう。でも、私はけじめをつけたかった。

還暦を控えて死へのゴールが近づくと、自分に正直に生きたいという気持ちが湧き上がってきました。それなのに人生の中で「本当じゃないこと」があるのはイヤだったんです。

決意を固めてから、妻に伝える前に、最初に3人の息子たちに告げました。彼らには子供の頃からなんでもオープンに話してきましたから、きちんと自分の気持ちを伝えたかったのです。

「離婚しようと思ってるんだ……。俺の60歳からの生き方があるし、ママにはママの生き方がある。だから、夫婦生活を卒業という形でね。ママの生活のことは今までと変わりなくちゃんと見るし、義理の両親のこともちゃんとやるから、今までと何も変わらない。ただ、書類上のことだけ。それでどうだ?」

「ああ、わかった」「親父の気持ちもわかるよ」「いいんじゃないの」と彼らはすんなり納得してくれました。

元々、両親が離れて暮らしているのを見ていましたし、3人とも自立し、それぞれ家庭も持っていましたから、それほど大きな衝撃はなかったのでしょう。「君たちの了解を得たから、ママに話してくる」私はその足で妻を訪ねました。

「さっき子供たちに話したけど、俺も若い頃と生き方が変わってきて還暦を迎えた。君にも君のこれからの生き方があるだろう。君のお母さん、お父さんのことは今まで通りちゃんとしていくので、お互い新たな道を歩むということでどうでしょうか」

「鶴さんがそういう思いだったら……」

妻は、私の勝手な言い分を受け止めてくれました。そして妻から「書類は、長男に渡しておくから、サインしてください」と言われ、35年間の結婚生活は終わったんです。

今も後悔はなく、子供たちとも相変わらず仲が良いです。元妻には「食事会とかあったらいつでも誘ってね」と言ってあります。お声はかかったことがないのですが……。

出会い探しは金輪際しない

今は離婚していますから、完全なフリー。なのに、60歳で生活をすべてリセットし、完全なひとり暮らしをスタートさせてから68歳までの8年間、ガールフレンドはひとりもいないんです。

離婚したのだから、正々堂々つきあってもいいはずなのに、です。それには私のルーティーンや、人づきあいの変化など、還暦からの生き方が関係しているのでしょう。

『老いては「好き」にしたがえ! 』(著:片岡鶴太郎/幻冬舎)

「鶴太郎さんは自分の世界を作っているから、モテるんじゃないですか」と聞かれることがありますが、いいえ、まったくモテません。

そもそも外を出歩くことがなくなっていますから、出会いそのものがないんです。女性との出会いを拒否しているのではなく、出会いのために行動することに興味がないんですね。

私は、恋愛はご縁だと考えます。恋愛は自然に始まるものだと思うので、出会う時には出会うし、出会わなければ縁がなかっただけ

私と縁がある人なら、ある日フッと出会う、そういうものだと思っています。セックスに関しても同じ。若い頃とは違ってやりたいなと思うことも全然ないので、こちらも“縁”に期待です。

この先もひとりで生きていくスタイルを保つのか、いつかは縁があって女性とおつきあいしたり、生活を共にしたりする時が来るのか、こればかりは自分でもわかりません。

モテる男は“かさばらない男”

今の生活には、女性に頼る場面が特にないんです。仕事はもちろん、食事をはじめ家事全般、絵やヨガや三線などすべてひとりの世界で完結していますから。

これも、恋愛を自分から求めない理由かもしれません。では、もし何かの縁で出会い、つきあえた場合、どんな人なら理想か。

何より、自立している人がいいですね。もちろんある程度の大人であれば自立はしているでしょうが、この場合は「自分を持っている」という意味です。

だから若くても30代、主に40代からが対象だと思いますが、私も年をとって50代の女性の良さもわかるようになりました。といっても、惹かれるものがあれば年齢にこだわりはないんです。

相手の年齢も自分の年齢も関係なく、人間性や自立性を大切にしたい。

理想としては、何度かデートを重ねた頃にお年を聞いて「50歳なんです」と言われて初めて年齢を知るくらいがいいですね。

年にとらわれず好きなことをやり、自立している人だと最高です。私も自分の年齢を気にせず、何にでも挑戦していますから。また、できれば私と同じ趣味を持っている人が理想ですから、料理を楽しんでいる女性がいいですね。

でも、もしその女性が料理をしなくても、私がやります。そういう作業はまったく苦ではありません。誰かと生活を共にすることがあっても、私は“かさばらない”男でいたいんです。

自分の好きなことを持つことが大切

「かさばった男」っているでしょ。ゴロゴロしていて、邪魔なお父さんとかお祖父(じい)さん。

寝転がったまま「メシは?」と奥さんに聞いたりする。それよりも、サッと自分で料理できる身軽さを持っていたい。なんなら、「ついでに君の分も作ったよ」と言える男でありたい。

そしたら女性のほうも、「あなたは手がかからないし、何でもやってくれるから、あとは自分の好きなことをやっていればいいわよ」と言ってくれるのではないでしょうか。

しつこいようですが、かさばった男はダメですよ。モテないですよ。かさばらないためにも、自分の好きなことを持つことが大切なんです。好きなことがあれば、少なくともゴロゴロする時間はなくなりますから

※本稿は、『老いては「好き」にしたがえ!』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

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