『虎に翼』寅子が「女性の真の社会進出とは!」と熱弁するラジオをそっと消す花江。言っちゃダメな「こっちは家族のために必死に働いているのに!」を言っちゃう寅子…演出と脚本の巧みさに視聴者夢中

(『虎に翼』/(c)NHK)

7月9日の『虎に翼』

現在放送中の伊藤沙莉さん主演・連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合/毎週月曜~土曜8時ほか)。第15週「女房は山の神百石の位?」の72回が7月9日に放送され、話題になっています。

*以下、7月9日放送内容のネタバレを含みます。

帰国後の寅子は大忙し。

多岐川(滝藤賢一さん)、山本長官(矢島健一さん)と共にラジオ番組に出演し、女性の社会進出についてはっきりと考えを述べる。

「家庭裁判所の母」と呼ばれ、後輩も出来て順風満帆。

そんな中、寅子は新しい調停を担当することに。不貞行為を理由に夫から離婚の訴えを起こされた女性・瞳(美山加恋さん)をいさめた寅子は、瞳から「女の味方ではないのか」と非難されーーといった話が描かれました。

あらためてあらすじ

本日の回で、寅子は最高裁長官らとラジオに出演。そこで長官の山本から「家庭裁判所の母」などと称賛されるも、「家庭裁判所は女性に相応しい場所」という発言に対し、寅子は「性別ではなく個々の特性で決めるべき」と反論しました。

このやり取りを食事をとりながら聞いていた花江。

「私は、女性の真の社会進出とは、女性の特別枠があてがわれることではなく、男女平等に同じ機会を与えられることだと思いま…」と寅子が話している途中でラジオを消すと、部屋にはお漬物をぱりぱりと食べる音だけが響くのでした。

その後、ドラマ後半で寅子に新潟地裁への異動の内示が。花江と直明に説明すると、花江は「お仕事なら仕方がないわよ」「引っ越しの準備をしなくちゃね」と一定の理解を示します。

一方で寅子は、新潟へは娘の優未と二人で行くと言います。対して直明が「申し訳ないけど、それには賛成できない」と反対するも、寅子が「優未は私の子だもの。置いていくわけにはいかないわ」と言い、直明は言葉に詰まる。

すると「寅ちゃんは何も見えてない。何も分かってない」とつぶやく花江。続けて「(優未は)私が責任をもって面倒を見ますから、どうぞ寅ちゃんは新潟で仕事に専念なさってちょうだい」と怒り気味で発言。

なぜ花江が怒っているのか理解できない寅子が「何を怒っているの? 言いたいことがあるなら言ってよ」と言うと、花江は「言ったって仕方がないでしょ!」「この家の主は寅ちゃんなんだから」と反論。対して寅子が「何? その言い方」と言うと、直明が仲裁に入ります。

さらに寅子が「こっちは家族のために、毎日必死に休まず働いているのに!」と言うと花江は「そういう態度よ!」とついに怒りを爆発。

「家族に目を向けられないくらいまで頑張ってくれなんて私、頼んでない」「優未はあなたに甘えたくても必死に我慢して、いい子をがんばってる。あなたに喜んでもらおうと、いい子のフリをしている。わかる?」「寅ちゃんが見ているのはね、本当の優未じゃないの」と涙ながらに訴えます。泣き崩れる花江を前に、寅子が動揺をしたところで、この回は幕を閉じました。

ネットの声

こうした内容を前に視聴者は「前は花江もスゴイと言っていたラジオ出演。そのラジオを花江が消し、漬物をパリポリする音だけ響く。ここだけでいろいろなものを表現する演出がもう」「職場で女性活躍の星と言われていながら、家庭はメチャクチャ。考えさせられる…」「こっちは毎日必死に働いているのに! は頑張っている花江さんの前で言っちゃダメなやつ」「世の中と同様、家庭内労働が寅子の目から見えていない事実をくっきりと浮かび上がらせた。すごい脚本」「先週はなぜ寅子が怒っているのか、穂高先生には分からなかった。今週はなぜ花江が怒っているのか、寅子には分からない、なんて状況に早速陥るとは」といった声が見られています。

朝ドラ通算110作目となる『虎に翼』は、日本初の女性弁護士で後に裁判官となった三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんがモデル。昭和の法曹界を舞台に、激動の時代を描いたリーガル・エンターテインメントです。

仲野太賀さんや石田ゆり子さん、松山ケンイチさんらが出演し、尾野真千子さんが語りを、脚本は吉田恵里香さんが担当。

主題歌『さよーならまたいつか!』は米津玄師さんが手掛けています。

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