谷原章介さんが『A-Studio+』に出演。俳優と司会業の両立を語る「とくダネ!後継番組『めざまし8』の司会に。三男三女の子育てはどうする?」

「お昼過ぎに終わるなら幼稚園のお迎えには間に合う、土日も休みだから運動会は行けるなど、2人でそんな話をしました」(撮影:大河内禎)
2024年3月1日の『A-Studio+』にタレントの谷原章介さんが登場。『王様のブランチ』卒業から7年ぶりのTBSだという谷村さんが、俳優と司会業の両立を語ります。今回は『めざまし8』の司会就任が決まった当時、その意気込みや家族のことを語った2021年4月13日号の記事を再配信します。

******
2021年3月29日から始まる朝の情報番組『めざまし8』(フジテレビ系)の司会を務める谷原章介さん。ドラマや舞台、CMに司会業と、マルチに活躍中だ。一方で、高校生から幼稚園児まで三男三女の父として、料理や裁縫をこなす家庭人の顔も持っている(構成=岡宗真由子 撮影=大河内禎)

* * * * * * *

【写真】夕食は、子ども6人大人4人ですごく賑やか

「外面がいい」と妻に言われて

MC(司会)を務めることになった番組は、朝8時から9時50分の生放送。月曜から金曜日まで朝は4時起き、5時には局に入るというスケジュールに、戸惑いがなかったと言えば嘘になります。

オファーをいただいた際は、妻にも相談しましたが、反対はありませんでした。長い旅行には行けなくなる、子どもと過ごす時間は少なくなるかもしれない、と言われたくらい。お昼過ぎに終わるなら幼稚園のお迎えには間に合う、土日も休みだから運動会は行けるなど、2人でそんな話をしました。

朝の帯番組という性質上、「朝からこの顔はイヤだなぁ」と思われたら選ばれなかったと思うし、いろいろなふるいにかけられた末、選んでいただいたのかなと思うと本当に嬉しいです。その一方でプレッシャーも感じますね。

妻には「本当に外面がいいんだから!」って言われてます。なんせ家では、ジャイアンですから、僕は。時に白いものも黒と言って、曲げなかったりする。公の場所じゃできないので、せめて家では(笑)。

最近は子どものほうが僕のことをお見通しだったりして「ああ、お父さん、引くに引けなくなってるな」と察して、「ハイハイ」って流してくれたり。子どもたちが初めて出会う不条理が、僕(笑)。社会に出た時納得いかないことがあっても、「親父も理不尽だったし、矛盾してたからな」って免疫があるから驚かないと思います。でも僕も、言い過ぎたかな、とか、逆にこれはもっと注意すべきだったかな、とか、いまだ迷いの連続です。

「うっせえわ」を聞く娘たちには

自分では怖い父親のつもりでいますけど、結局みんなあんまり言うこと聞かない(笑)。だから、実は甘いのかもしれないです。

うちは大家族でお米の消費量がすごいので、宅配してもらってるんですけど、お米が届いても、玄関に置きっぱなし。「なんで自発的にやらないのかな~?」って毎度イライラします。「おい運ぶぞー!」って言ったら手伝ってくれますけど。

本インタビューは、発売中の『婦人公論』2021年4月13日号に掲載されている

僕が子どもたちに口うるさく言っているのは、「挨拶をする」「約束を守る」「嘘をつかない」ことくらい。あ、あと「電気消す」も。「嘘をつかない」は、「自分に対して」という意味です。嘘も方便で、時には嘘をつくことが優しさだったりする瞬間もありますよね。でも自分だけはだませないし、帳尻が合わなくなると思うので。

子どもたちとは、同じゲームをしたり、漫画を読んだり、音楽を聴いたりして、共通の話題を持つよう心掛けています。コミュニケーションの一環と言い訳しつつ、同じものに触れていたいというか。好きじゃなければ「どこがいいのこれ?」とか、つい言ってしまいますが。

最近では中1の長女が、今流行っている「うっせえわ」って曲や、びっくりするタイトルの曲を聴いてるんですよ。初めは、おいおい、と思いましたが、僕も海外のヘビメタ好きでしたから、あれを翻訳したらすごく病んだ歌詞だっただろうな、と。だから「こんな音楽聴くな」とかは絶対に言わないですね。末の幼稚園の娘が「うっせえわ」を口ずさんでいるのは悩ましいですが。

夫婦間で特に約束はしていませんが、どちらかが叱ってる時はどちらかがフォローに回る。一番下の娘をベタ可愛がりしてたら、わがまま放題になっちゃって、妻が最近よく叱るんですけど、そんな時は僕がかばってみたり。

中1の長女はまだ思春期も反抗期も来ないんですが、小5の次女が追い越したみたいで、「あーもうっ! 私、思春期っ」とか不機嫌そうに言ってくる。思春期の人、自分で思春期って言う? って、ツッコミたい気持ちになりますよ。そんな調子で、大変ですが面白い。

父との同居を受け入れてくれた妻に感謝

結婚した時、生まれ育った横浜に住みたい気持ちはありましたが、妻の実家のある都内に暮らすことに決めました。そのほうが、妻が楽。妻が楽ということは家族みんなが楽、ということですから。

家事は、買い物、料理、子どもを風呂に入れるなど、できる範囲でしています。出産も代われないし、子どもの心に寄り添う細かいケアも僕にはできない。得意なことを得意なほうがやる、というのが僕ら夫婦の役割分担ですね。

家を建てるとなった時、一人暮らしだった父を呼び寄せたいと思い、妻に相談したら、快諾してくれました。妻が受け入れてくれたことを、今でも感謝していますね。やっぱり相手の親との同居は簡単なことじゃないと思いますから。

父は柔和な人で、あまり叱られた記憶がない。それでも僕は父に「大丈夫?」なんて優しく声をかけられなかったり、なかなか素直になれない。家族って、一筋縄ではいかないですよね。

妻のお義母さんは、子どもたちを送り出すために、近所の自宅から毎朝うちに来てくれます。おかげで僕は朝ゆっくり寝かせてもらって、助かっています。夜も一緒に食事をとるので子ども6人大人4人ですごく賑やか。とはいえたまには気になることもあったり。

ちょっとだけになっている食材のあまりや残り物とかがいっぱいあって、「お義母さん、これぐらいの量、残して冷蔵庫にしまうくらいなら、使っちゃいません?」とか。遠慮して言えずにいると、溜まって爆発したら嫌なんで、思ったことは言うようにしています。

舞台からエネルギーをもらって

今回朝の帯番組の司会を引き受けるにあたって、舞台はできなくなるのかなという不安はありました。50歳になったら何らかの帯番組に携われたらなと漠然と思っていましたが、2年早くお話をいただいた感じです。

でも慣れてきたら、9時50分に番組が終わって、反省会をしたらその後、12時くらいの稽古と昼公演には間に合うかも? と考えたりしていて。もちろん、しばらくは新番組に集中し、精一杯やりたいと思っています。

10年間務めた『王様のブランチ』の司会を卒業した時は、40代は舞台ができると思って嬉しかった。舞台は一つの演技を繰り返しできて、毎回客席の反応もいただけるから引き出しが増える。そこで貯め込んだものを映画やドラマの役作りに活かすことができます。

2020年12月から21年1月は宮本亞門さん演出の『チョコレートドーナツ』に出演させていただきました。東山紀之さんの演じるルディがとにかくぴったりで素晴らしくて、本当にいい舞台になったんです。子どもたちは僕のテレビの仕事は観ていないみたいですけど、長男、長女、次女が舞台を観に来てくれました。

そう言えば、家族が来てくれた日に、劇場の出演者出口で車に乗り込もうとしたんです。そうしたらちょうど観劇終わりのお客様とすれ違って、「今日、谷原章介めっちゃセリフ噛んでたね」って言ってるのが聞こえたんですよ。思わず「確かに噛んでた、ごめん」って(笑)。

生の声に、時に傷つくこともありますが、やっぱり舞台はいい。拍手や熱気がダイレクトにこちら側に伝わりますから。エネルギーはすごく出ていきますが、同時にもらえるものがとてもたくさんあるんです。

忙しく働き続けることが性に合っている

僕は外見上からか、何でもスマートにこなしているように見えるのかもしれませんが、水の下では水鳥のごとく、足をバタバタさせています。

昔、ある女優さんとご一緒した時に、「谷原さん、これ終わったらどんなお仕事するの?」って聞かれたことがありました。若い頃に仕事がもらえなくて悩んだ時期もあるので、「またすぐに撮影があります」とお話ししたら「そんなに働かされてかわいそう! 私はこの仕事が終わったら絶対休むよ」って同情されたんです。

僕はびっくりして、そんな考え方もあるのか、と。忙しく働き続けることが性に合っているのでしょうね。

なんせ僕は1972年生まれの団塊ジュニア世代で、中学の時は14クラス、高校の時は11クラスもあって、とにかく競争にさらされてきましたから。どうしたら抜きん出ることができるか? と考える癖がついているのかもしれません。

ゆとり世代の人たちって、和気あいあいとしていて仲間思い。それを昔は「甘いんじゃない?」なんて思ってたんですけど、世代から来る生き方の違いだと最近は感じますね。競争! 競争! とやりすぎると、勝ったはいいけど最後は一人になってた、てことになりかねないので、彼らの生き方も尊重すべきものがあるなあと。

テレビならではの良さを伝えたい

司会に関しては、あまり自分が前に出ることは考えてないんです。MCというのはマスターオブセレモニーのこと。会を滞りなく進めるための存在で、僕が盛り上げるのではなくて、会が盛り上がればいい、と思っています。新番組の主役はあくまで「情報」と「視聴者」。僕は一番前にいる裏方、と自分のことを捉えているので、スタッフの方が集めてくださった「情報」と、コメンテーターの方々の意見、それらと視聴者の方の架け橋になるのが僕の役目です。

番組ではSNSでリアルタイムに視聴者のみなさんの意見も飛び込んできます。それをコメンテーターの方々と取り上げていくという生放送ならではのしくみも含めて楽しみですね。でも番組を通して公平性は保たれるようにしたい。テレビならではの良さを再認識していただけるよう頑張りたいです。

例えば今流行りの「サブスク」は、音楽でいうと毎月定額を支払い、自分が好きなものを選ぶ。そして選んだ曲と似通ったものを勧められ、簡単に好みのものと出会える。昔は、ないお金の中からやっとアルバムを買い、ライナーノーツを読み込んでいたから曲への愛着が全然違う。

今はAIが分析し「あなた、こんなの好きでしょ?」って提案してくるものをサッとダウンロードして。確かに好きな曲に簡単に出会えるんですけど、僕は雑誌で育った世代だからなのか、なんだかこの流れに疑問を持ってしまうんです。雑誌って、何人もの編集者さんたちの渾身のアイデアが詰まっていて、自分が知らない、好きじゃなかったジャンルのものに出会える。

自分の好きなものの統計からはじき出されるAIの提案ばかりを聞き入れていると、深くはあるけど狭い自分の井戸の中だけでずっと泳いでる状態になるんじゃないかな? と。

僕は、テレビは雑誌と同じく、AIの提案ではないごった煮の出会いを提供してくれる貴重な場だと、希望を持っています。ネットの漠とした情報と違って、事実確認を厳しく行っている点でも、まだまだネットは敵わないところがある。

今、テレビは旗色が悪いと言われていますが、揺り戻しで、その良さが再認識される時が来ると考えています。そしてそのために、テレビ業界も自己改革をしなければなりません。僕も、観てくださる方が1日を気持ちよく始められるような番組作りをすることで、そのお手伝いができたらと思っています。

ジャンルで探す