松坂桃李、大島優子、戸田恵梨香…逸材すぎる「88年生まれ」俳優の“結婚ラッシュ”が続くワケ

 俳優の大島優子と松坂桃李はともに1988年10月17日生まれで、きょう33歳を迎えた。

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 大島は今年7月に2歳下の俳優の林遣都と結婚を発表したばかり。松坂も昨年12月、やはり俳優で、誕生日がちょうど2カ月早い同い年の戸田恵梨香と結婚している。そもそも大島と林が交際を始めたきっかけは、昨年3月まで半年間放送された戸田主演のNHKの朝ドラ『スカーレット』で共演したことだという。

松坂桃李 ©文藝春秋

 松坂と戸田は、2015年公開の映画『エイプリルフールズ』で共演したのが馴れ初めと伝えられる。松坂は一昨年に雑誌のインタビューで《30代のうちに結婚したいです》と宣言し、《結婚すると役者はダメになるとか、安定を求めてはダメだ、と考える方もいらっしゃいますが、僕は断然安定と平和を求めるタイプ。家族がいたら、家族の生活と幸せのために、安定した収入がほしいと願い、仕事にもさらに力が入ると思います》と語っていた(※1)。このときすでに戸田と交際していたはずで、結婚も真剣に考えていたのかもしれない。ちなみに戸田のほうは、30歳になった2018年のインタビューで理想の男性像を訊かれ、《何に対しても心豊かな人です》と答えている(※2)。

「俳優どうしの結婚」が集中する理由

 昭和が終わり平成と改元された1988年度(1988年4月2日~1989年4月1日)生まれには、大島・松坂・戸田のほかにも俳優が結構多く、瀬戸康史、黒木メイサ、三浦翔平、新垣結衣、森カンナ、濱田岳、中尾明慶、吉高由里子、窪田正孝、木村了、豊田エリー、多部未華子、永山絢斗、千葉雄大、佐藤健(以上、誕生日順)などがいる。

 このなかには既婚者も少なくないが、2011年にモデルの小泉深雪と結婚した濱田と、2019年に写真家の熊田貴樹と結婚した多部以外は、黒木は元KAT-TUNの赤西仁、豊田は柳楽優弥、中尾は仲里依紗、三浦は桐谷美玲、窪田は水川あさみ、木村は奥菜恵と、みな伴侶も俳優というのが興味深い。さらに昨年8月には瀬戸が山本美月と、今年5月には新垣が星野源と結婚をあいついで発表している。2組ともやはりドラマでの共演から交際に発展したカップルだ。

 俳優どうしの結婚は昔から珍しくないとはいえ、この世代にことさらに集中しているのはなぜなのか? その理由を探るべく、彼・彼女らの過去の発言を振り返ってみると、何となく共通するものが見えてくる。

 たとえば、いずれも仕事に対してどこまでも真摯であるということ。戸田恵梨香は、《私は立ち止まりたくないんですよね。泳ぐのをやめたら死んでしまうマグロみたいなところがあって(笑)。だから、たぶん…自分がこれ以上進化しない、前に進めないと思った時が引退なのかなって思っているんです》と話すほど(※3)、俳優という仕事に情熱を注いでいる。

松坂桃李と戸田恵梨香の「共通点」

 もっとも、だからといって人生のすべてを俳優業に賭けてしまうわけではない。先に引用したのは彼女が結婚する前年、2019年のインタビュー記事での発言だが、同じ記事では、若いときは《役者としてはすごく充実していたけど、私自身はすごく置いてけぼりだなって焦った時期が》あったものの、《でも、今はちゃんと1人の人間としての戸田恵梨香と、役者としての戸田恵梨香が同じレールの上に乗って進めている気がします》とも語っている。

 個人としての自分と役者である自分との切り替えに関しては、夫の松坂も同年のインタビューで、仕事中心の日々を送りながらも、役柄を引きずることはほとんどなく、現場をあとにしたとたんに気持ちを切り替えられると述べている(※1)。案外、両者はそういうところに互いに共通するものを感じ、引かれ合ったのかもしれない。

 仕事をこなしつつも、個人としてもきちんとした生活を送るため、その拠点として家庭を持とうと考えるのは、ごく自然だろう。ましてやこの1年あまり、コロナ禍のなかでドラマも映画も撮影が一時休止され、舞台の公演の中止もあいついだ。今後仕事が続けられるかどうかという不安から、改めて生活や人生と向き合った俳優は少なくないはずだ。俳優たちの結婚ラッシュの背景には、そうした事情もあるのだろう。

 実際、瀬戸康史と山本美月は連名による結婚発表のなかで、《現在、このような状況で自分と向き合う時間が増え、その中でお互いに失いたくない、大切な存在なのだと確信しました》とつづっていた(※4)。

 1988年度生まれは、「ゆとり世代」と呼ばれる一連の世代の走りでもある。ただし、この世代が育ったのは、従来のいわゆる日本型経営の特徴であった終身雇用や年功序列などの制度が崩壊し、「ゆとり」どころか個人間の実力による競争が激しさを増していった時代だった。

 大島優子が2006年から8年間所属したAKB48は、まさに競争社会の縮図でもあった。グループ卒業を前にしたインタビューで彼女は《AKB48は競争社会で、その渦の中に身を置きながらも、自分の個性を発揮して、他の子たちよりも前に出ないといけない。(中略)メンバーは何事にも意欲的に取り組んでいましたね》と振り返りつつ、《ただ、今は年下の世代に『そんなに欲がないんだ』とは感じています。若くなっていくにつれて欲がなくなってきてると思うんです》と、あとから入ってきた世代との違いも指摘していた(※5)。

 そもそも大島は子役出身である。AKBを卒業後、2017年より1年間、アメリカに留学した理由の一つには、《ちょっと仕事が嫌いになりそうだったので(笑)。子役からずっとこの世界にいるから「ほかにいい人、いるんじゃないか?」》と別の道を探そうという思いもあったという(※6)。

 しかし留学中に自分が「何者でもない」ということがわかり、《役が「すん」と自分のなかに入って、体の底でポンッと跳ね返って自然に外に出す感覚がつかめてきた》らしい(※6)。こうして帰国後も俳優業を続けることになる。

 競争社会のなかでがむしゃらに生きながらも、ときにはそれを一歩引いて見つめ直し、あくまで自分の人生を歩もうとする。「ゆとり世代」という呼び方には揶揄的なニュアンスがつきまとうが、上記のような人生の捉え方は、ポジティブな意味での「ゆとり」のなせる業ではないだろうか。

 戸田恵梨香や大島優子は、20歳のときから早く30歳になりたいと思っていたという。女性たちのあいだでも、年齢を重ねることがポジティブに捉えられる傾向が目立ちつつあるのは、一つの時代の変化の表れだろう。

濱田岳の「サポーター宣言」

 大島の夫である林遣都は2歳下で、窪田正孝の妻の水川あさみは5歳上と、この世代の俳優の夫婦には、妻のほうが夫より年上という組み合わせも目立つ。濱田岳にいたっては、結婚が発表された際、相手の小泉深雪と9歳という年齢差に加え、20センチ近い身長差も話題を呼んだ。本人たちは出会ったばかりの頃、初めてお互いの年齢を知ったときこそ驚いたものの、その後はとくに気にすることもなく交際を続け、結婚にいたったという。

 濱田は結婚2年目の2012年(当時すでに1児を儲けていた)、小泉とそろって応えた女性誌のインタビューで、40代になってもランウェイを歩き続けたいと話す妻に対し、《モデルという仕事を、僕は、スポーツ選手と同じだと思っているんです。(中略)彼女は、外で勝負してくるわけだから、オフの面で、僕がどうケアできるかを考えます。スポーツ選手の世界は、寿命が短いのが当たり前。だけど、ケア次第で、いくらものばすことはできると思うんです》と、“サポーター宣言”してみせた(※7)。

 1988年度生まれの俳優たちは、多様な夫婦像を提示するという意味でも、時代を先取りしているようである。

※1 『婦人公論』2019年7月9日号
※2 『女性自身』2018年10月30日号
※3 『テレビブロス』2019年3月号
※4 「ORICON NEWS」2020年8月7日配信
※5  MBS『情熱大陸』著『“情熱大陸”800回記念 ぼくらは、1988年生まれ』(双葉社、2014年)
※6 『AERA』2020年10月12日号
※7 『グラツィア』2012年7月号

(近藤 正高)

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