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除毛、発毛、スキンケア… ジャニーズの“人間宣言”を歓迎する人、戸惑う人

 2021年初夏。ドラッグストアのメンズ化粧品コーナーで、Snow Manの目黒蓮さん(24)がまぶしく微笑んでいました。男性用除毛クリームの販促ヴィジュアルで、目黒さんはシャツの胸をはだけ、ハーフパンツからすべらかな脚をむき出しにして「極めろ、自己ベスト肌。」なるコピーと共に美しさを見せつけています。

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「あざとくて何が悪いの?」ならぬ、「男性が美肌を追求して何が悪いの?」とでも言いたげな表情に、「ジャニーズたるもの、美の天王山を制すべし!」という気迫がにじんでいます。

すべすべの脚を見せつけるSnow Manの目黒蓮 Veet Men公式CMより

 一昔前のアイドルなら「ボク何もやってませんが天然でキレイです」というのもアリでしょうが、“美をつかむプロセス”を隠し立てしないのが新時代のジャニーズらしさ。「目黒くんの美しい脚は除毛なの?」というところに引っかかるファンもほとんど見られません。

愛のパートナーだけでなく“同志”に

 アイドルの王道というイメージが強いジャニーズですが、6月2日にはついに公式Twitterを開設するなど、実はプロモーションの方向性を大きく変えているのです。

 男性も憧れる“美のアイコン”として旗を振るのも、そのひとつ。

 かつては「男なんてヒゲだけ剃れば十分」というマッチョなスタイルが幅をきかせていましたが、時代は令和。「男も女も、自分が気になる部位は好きにケアすればいい」という風潮が強くなりました。

 ここ数年は、“マスク荒れ”や運動不足による身体のたるみ、オンライン会議やTikTokでの映えっぷり問題など、男女で共有できる悩みが増えました。ジャニーズもそれに応える形で自分たちの弱さも披露して悩みを共有したうえで、それでも美しくあろうとする姿を表に出すケースが増えてきました。

 目黒さんと同じSnow Manの渡辺翔太さん(28)は“美容番長”の異名を取り、「入浴後に1時間かけてスキンケアしている」「美容クリニックでピーリングや毛穴ケア、イオン導入を受けている」等、美しさにかける努力を明かし、同性からも支持されています。

 肉体美・ボディメイクという視点では、関ジャニ∞の丸山隆平さん(37)が6月2日発売の「anan」の「カラダが変わる、筋膜リリース!」特集号の表紙に登場。白いシャツを脱ぎかけたソリッドなボディを披露しています。同誌でジャニーズのアイドルが肌見せ……というと、SEX特集の官能的なイメージが強いのですが、愛のパートナーとしてだけでなく“ヘルシーな身体づくりの同志”としての参戦は新鮮です。

わかりやすい「かっこいい」を離れて

  身体を調えて磨くという同じ切り口で、King & Princeの永瀬廉さん(22)は5月19日発売の「骨トレでカラダ調整。」特集、Hey! Say! JUMPの有岡大貴さん(30)は4月21日発売の「肌トレ&髪トレ2021」特集で表紙とグラビアを務めています。

「かっこいい」を目指す姿を見せるのは、メインターゲットの女性のみならずその向こうにいる彼氏や兄弟といった男性にもアピールできる有効な手法なのでしょう。

 実はジャニーズはこれまでも、わかりやすい「かっこいい」の枠から外れてもファンの悩みに寄り添うプロモーションを増やしてきました。以下に一部を紹介します(後にジャニーズを卒業した方も含みます)。

KinKi Kids 発毛促進薬「カロヤン プログレⓇ」2015年
堂本光一さん(42)と堂本剛さん(42)が“合体”し、黒々とした毛髪を思わせるキャラクターに変身。

滝沢秀明さん 白髪染め「メンズビゲン ワンタッチカラー」2017年
突然現れた白髪の化身“シラガー”に悩まされる滝沢秀明さん(39)が、片手でサクッと染められるワンタッチカラーを紹介。滝沢さんは本商品の発表会で「僕自身もそうですが、白髪染めを始める方のためにも“あなたのための商品なんだよ”と伝われば」と、寄り添う気持ちを見せてくれました。

KinKi Kids クレンジングバーム「DUO」2018年~現在
KinKi Kidsのふたりがコンビ歌手“デュオ本兄弟”に扮し、クレンジングバームの魅力を歌い上げています。サポート役としてKing & Princeの岸優太さん(25)も登場しています。

草彅剛さん・香取慎吾さん 頭皮ケア「スカルプD」2018年~現在
草彅剛さん(46)、香取慎吾さん(44)が薄毛・抜け毛の悩みを象徴したキャラクター“ミノキ兄弟”に扮した姿が話題に。髪の悩みを隠さず敵視せず、やさしく抱き寄せるような表現が素敵でした。

中島健人さん Sexy Zone 美容液ジェル「パーフェクトワン」2020年~現在
肌の悩みに合わせた美容液ジェルをエレガントに見立ててくれる中島健人さん(27)。ライブ中に“君”呼びで語りかけてくれるシチュエーションが、大人女性をメロメロに。

 完璧な“神”ではなく、薄毛や白髪、肌荒れのような年齢相応の人間らしい弱みも見せてくれるようになった最近のジャニーズは、「やおよろずのジャニジャニ(神々)」のようで親しみがわきます。

 森羅万象さまざまなところに神が宿るように、美容をはじめ、あらゆる分野にジャニが宿りはじめたのです。何でもできる万能な姿をアピールするのではなく、学問やスポーツなど特定のジャンルを強く打ち出して深い“沼”に引き入れる戦術が増えました。

クイズ、スポーツ、YouTubeにマグロ解体師まで

 たとえば“ジャニーズクイズ部”には、気象予報士資格を持つ部長・阿部亮平さん(27・Snow Man)、宅地建物取引士資格を持つ副部長・川島如恵留さん(26・Travis Japan)を中心に、那須雄登さん(19)、浮所飛貴さん(19、ともに美 少年)、本髙克樹さん(22・7MEN侍)、福本大晴さん(21・Aぇ! Group)らインテリジャニーズが集結。名前を聞くと驚くような大学の出身者も多く、クイズ番組に出演するなど“知のアイドル”としてファミリー層にも支持を広げています。

 スポーツ系なら、KAT-TUNの上田竜也さん(37)率いる“上田ジャニーズ陸上部”の菅田琳寧さん(23・7MEN侍)、鈴木舜映さん(23・ジャニーズJr.)、松井奏さん(20)、椿泰我さん(23・ともにIMPACTors)らが『炎の体育会TV』(TBS系)で活躍。

 嵐の二宮和也さん(37)が、中丸雄一さん(37・KAT-TUN)、菊池風磨さん(26・Sexy Zone)、山田涼介(28・Hey! Say! JUMP)とともに4月8日に開設したYouTubeチャンネル「ジャにのちゃんねる」も、2カ月でチャンネル登録者が250万人を超える躍進ぶりです。

 さらに一芸特化になると、横尾渉さん(35・Kis-My-Ft2)は一級マグロ解体師の有資格者であると同時に俳句の名人として知られ、なんと横尾さんの句は中学の教科書にも掲載されています。

 また、温泉ソムリエの資格を持つ河合郁人さん(33・A.B.C-Z)、髙地優吾さん(27・SixTONES)の2人も『所JAPAN』(フジテレビ系)の「命がけ温泉」コーナーでおなじみです。ちなみに、この「命がけ温泉」コーナーは河合さんによる持ち込み企画だそう。

 ジャニーズは2023年3月から“ジュニアの22歳定年制”を採用すると発表しており、これによると“満22歳到達後の最初の3月31日までに、ジャニーズJr.としての活動継続についてジャニーズ事務所との合意に至らない場合は、ジャニーズjr.の活動としては同日をもって終了とする”ということです。デッドラインが決まったことで、「より早くから自分の強みや個性をアピールして、自分の手で居場所をつかみとる」という方針も広まっているようです。

キムタクのような“神”から一芸を持つ“人”へ

 とあるジャニーズファンのAさんは、自身は木村拓哉さん(48)を“万能の神”のように崇める一方で、最近のジャニーズの変化も歓迎していると言います。

「このごろのジャニーズは、木村さんのように突出した“神”でなく、一芸を持つ“人”として下界へ降りてきてくれているな、と感じます。テレビ番組の作り方も、特定のグループや個人を絶対視するよりも“箱推し”的にいろんなジャニーズの魅力を味わえるようになっていますよね。たとえば『VS魂』(フジテレビ系)もそうです。『VS嵐』のときは嵐さんというひとつのグループを楽しんでいましたが、“魂”は嵐の相葉雅紀さん(38)、風間俊介さん(37)、Sexy Zoneの佐藤勝利さん(24)、ジャニーズWESTの藤井流星さん(27)、King & Princeの岸優太さん、美 少年の浮所飛貴さんたちがバラエティパックになっている。結果的に、それぞれが個性を発揮してより人間的な魅力が伝わるようになったような気がします」

個性のアピールとイジリは紙一重

 違うグループとコラボすることでよい化学反応を起こしたり、SNSに進出したり、美容やゲームなどこれまでジャニーズが手を出してこなかったジャンルに進出すること自体は歓迎するファンが多い模様。ただし、そのさじ加減はデリケートです。ちょっぴり複雑な思いを抱えるファンの声も届きました。

「Hey! Say! JUMPの伊野尾慧さん(30)のファンです。彼はよくおでこの広さをいじられるし、『メレンゲの気持ち』(3月6日放送)でも、自分で“ハゲ隠しで(前髪を下ろした)この髪型!”と言っていました。もはや鉄板ネタになりつつありますが、たとえば身長が低いことや髪が薄いことをネタにされても、おどけて引き受けなくちゃいけないんでしょうか。そういう様子を見るのはちょっと切ないし、それでCMが決まったとしても、個人的にはあんまり喜べません……」(Bさん)

「自担のKis-My-Ft2の宮田俊哉さん(32)は“ヲタク”として有名です。それももちろん魅力のひとつではありますが、私にとっては三枚目でもお笑い担当でもなく、かっこよくて大事な人なんです。それをわかってもらえず、番組の中でヲタクとしてだけイジられたり、そのイメージばかりが強くなってしまうのは残念です」(Cさん)

「少数派かもしれませんが、YouTubeとかインスタライブとか、私はやらなくてもいいのになって思っています。近くに来てくれて嬉しい、身近になった気がするっていう声もわかるんですが、ジャニーズのアイドルなら他と一線を画して、手の届かない存在でいてほしいんです」(Dさん)

 私個人としては、美容や除毛の問題をファンと共有してくれるのはアリですが、たとえばヘアウィッグを広告する姿は「見せてくれなくて大丈夫!」と思っています。もちろん素敵に表現してくれれば、新たな魅力にひれ伏してしまう気もしますが……。

 ファンによっても「理想のフィット感」は違うので、何が正解ということではないのでしょう。そうしたなかでも、ジャニーズはこれまでより距離をつめて、ファンと新たな関係性を築くために様々な方面に進出を続けています。もしかしたら、今後はさらに多様な価値観を体現するアイドルが現れる可能性もあります。

 はたしてどんなタクティクスが控えているのか? ジャニーズの次の一手が、楽しみでなりません。

(みきーる/Webオリジナル(特集班))

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