「リアルな現代社会を描くアニメはもっと増えてもいいと思う」 内山昂輝が語るアニメ「池袋ウエストゲートパーク」

「素直に人を好きになれるところは僕に近い」 熊谷健太郎が語る“「IWGP」マコトとの共通点” から続く

 TVアニメ「池袋ウエストゲートパーク」(10月6日放送開始)メインキャストインタビュー。続いて登場するのはマコトと数々の事件を解決してきたGボーイズのリーダー・タカシ役の内山昂輝さん。

 役に対する姿勢から、新しい収録スタイルへの対応まで、メインキャスト随一のキャリアを持つ内山さんはどのように考えているのか。(全3回の2回目。#1#3を読む)

タカシ役の内山昂輝さん

◆ ◆ ◆

ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」の思い出

――キャストに決定したときの気持ちをお聞かせください。

 いま「池袋ウエストゲートパーク」をアニメ化するという企画に一視聴者として驚きましたし、それから自分が出演者としてかかわることになり、今度はどのようなアニメになるのだろうというワクワクを感じています。

――前から「池袋ウエストゲートパーク」のことはご存知でしたか?

 もちろん知っていました。小さいころに見たドラマのインパクトが強かったです。

――内山さんの世代だと「池袋ウエストゲートパーク」は年上の人たちが観るドラマだったと思いますが、どのようにご覧になったのでしょうか。

 家族で見ていたと思います。

――それはすごいですね。このシリーズが様々なコンテンツに形を変えて広がっていくのは、なぜだと思いますか?

 今回原作を読み始めて初めて知ったのですが、ドラマ版はアレンジが加わっていて、原作小説とはかなり違った雰囲気だったんですね。さらに舞台版はミュージカルだったそうで、小説を読んで読者が自由に想像を膨らませるように、土台となる原作のエッセンスを大切にしながら、様々な作り手たちがアレンジを加えることで広がっていったのだと思います。

――仰る通り、タカシにしても窪塚洋介さん演じるタカシと原作のタカシはかなり違いますよね。

 ドラマ版はエキセントリックなイメージが強かったですね。

アニメのタカシはスタッフと作り上げる

―その中で内山さんはどのようなキングを演じたいと考えていますか。

 原作の印象からドライで冷たい硬質な雰囲気のタカシを基本線として意識しましたが、収録が始まると、スタッフとの共同作業になります。自分なりのベストを表現しても、「今度はこういう風にやってほしい」と演出を受ければすぐ変えますし、アニメなのでキャラクターデザインに合わせる必要もあります。それらのすり合わせでタカシのキャラクターを作っていますね。

(タカシ――池袋西口最大勢力のカラーギャング、『Gボーイズ』のヘッド。 チームから“キング”と崇拝され、抜群のカリスマ性をまとい、常にクールで敵に対しては冷酷。マコトとは高校からの仲で、池袋で事件が起こるとマコトに頼ることが多い)

――原作小説ではタカシが話すとき、声について「液体窒素のような」や「雪交じりの北風のような」といった比喩が入るのがお約束で、どのようにそのニュアンスを演じられるのかファンも気になるところだと思います。

 これまで原作のある作品のお仕事を色々やってきましたが、小説でもマンガでもゲームでも、読んだ人、見た人、プレイした人、それぞれに無数のイメージがあって、すべての人の要求にこたえるのは難しいですね。演じる上で正解はどこかにあるのかもしれませんが、それもおそらく何パターンかあって、「違う」と否定する方は絶対います。ベストを尽くすという言い方しかできないですが、スタッフとキャストが知恵を集めて、そのときそのときの正解を見つけていくしかできないと思います。

 ただ、今回のアフレコで難しいのが、前までのようにキャストみんなで集まることができないということです。昔からやっている番組であれば、他のキャストがどのように演じているのか大体想像できるのですが、新しく始まる作品だと、他のキャラクターの細かい部分全てまでは把握できないまま自分の収録が終わっていくので、新しい難しさがありましたね。

――そういった収録状況の中、相方であるマコトに対する演技について難しさは感じますか。

 マコトとタカシは大体一緒に収録することができていますが、今回のアニメでは、これまでの二人の経緯を細かく説明するわけではないので、そこが自然になるよう意識しました。

――タカシとマコトの関係はただの親友というのとも違う独特の距離感があると思います。

 緊密に連絡を取りあっているし、前からお互いを知っているが何ともいえない関係ですよね。なれ合いすぎず、付かず離れずというか。タカシとして、どれくらい親愛の情をマコトに見せていいのかというのは悩みどころです。

――マコトに話しかけるときは温度が上がる……。

 でも、そんなに分かりやすく友情に満ち満ちた感じでもないのだろうなと。やっぱり笑顔満開の感じは似つかわしくないので、そのあたりの感情の抑制について気を付けています。

コロナ下の収録の難しさ

――先ほどマコトとタカシは一緒に収録できていると仰ってましたが、熊谷さんとはそういったお話はされますか。

 収録の前後で多少話すことはありますが、時間内に録らないと次の時間帯のグループのキャスト陣も控えていらっしゃるんで、あまりだらだらと会話をする暇がないんですよね。本当に難しい時代だと思います。

――今まではコンビ的なキャラだったら、パターンを試す余地があったということでしょうか。

 以前は、例えばテストで1回演じたあとに待ち時間があったんです。その間に自分の中でテストでの演技を反芻してみたり、場合によっては他のキャストと話しあったりというのもあったのですが、今の収録スタイルだとテストのあと、そんなに時間を置かずに即本番という流れなのであれこれする暇が少ないです。なので、今はパッと正解を出す能力が重要だと考えています。

――台本、もしくは原作を読まれて印象に残ったエピソードがありましたら教えてください。

 動画投稿者のエピソード(『西一番街ブラックバイト』収録の「ユーチューバー@芸術劇場」)が印象に残っています。

 石田(衣良)さんは、新しい物好きな方なんですか?

――常に新しくて面白いことを探してます。

 なるほど、ビビッドに反応されているんですね。そういう時事ネタの取り入れ方が面白かったです。

――ご自身とタカシ、似ている部分はあったりしますか。

 あまり似ていると感じる部分はないですね。僕は人を率いることもしないし、カリスマ性もないので。

今の「池袋ウエストゲートパーク」を楽しんでほしい

――もし内山さんが「池袋ウエストゲートパーク」の世界の池袋にいるとしたら何をしていると思いますか。

 あの世界で、色んな集団の抗争もありつつですよね……。そうすると、池袋にはいたくないですよね(笑)。僕は実家が埼玉県で、大学も近かったので池袋にはシンパシーを感じています。池袋には幅広い年齢層の人が来るし、多種多様なお店や施設があって、外国人の方も多い。本当に様々なものがミックスしていて、独特な街だと思います。

――アニメでも池袋で起こるハードでリアルな社会問題が描かれます。

 そうですね。こういったアニメはもっと増えてもいい気がします。ひとつのジャンルがヒットすると、似たような企画が増えるのはしょうがない事なのですが、色々なジャンル、内容の作品があるという多様性が業界にとって重要だと思います。ただ、そういう風にリアルな現代社会を描こうとする作品が難しいのは企画を立ててから実際に放送・配信されるまでのタイムラグですよね。その点、「池袋ウエストゲートパーク」は先ほどの動画投稿者の話のように、事物を取り入れるスピードが他より早くて、それが功を奏しているのではないでしょうか。

――最後にファンに向けてメッセージをお願いします。

「池袋ウエストゲートパーク」は時代とともに色々なものを取り入れながら、たくさんの魅力的なエピソードを描いてきた作品だと思います。そういう意味では、アニメ版も、今この時代にどんなものを描けるかということをスタッフの方々が一生懸命に工夫してつくった作品になっています。時代設定も現代から始まり、“今の「池袋ウエストゲートパーク」”を意識して作られていますので、その時代性を楽しんでもらえたら嬉しいですし、僕もそんな想いで日々お仕事をしています。

撮影/志水隆

TVアニメ「池袋ウエストゲートパーク」(10月6日放送開始)

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(「文春オンライン」編集部)

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