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レアすぎる初共演 永山瑛太&絢斗6歳差「芸能界最強兄弟」の“似てるところ”は?――NHKリモートドラマ『Living』

 きょう5月30日と来週6月6日の2夜にわたり、坂元裕二脚本によるリモートドラマ『Living』がNHK総合で放送される。

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次男・永山瑛太&三男・絢斗が初共演

《コロナ禍の今だからこそ、最高のエンターテイメントをお届けしたい―/姉妹・兄弟・夫婦として日常を共にする俳優陣の皆様がご出演。CGも交え、リモートドラマの新しい可能性に挑んだ至極のファンタジー!》と謳った同作は(※1)、各15分の4つのエピソードによるオムニバス仕立て。全編を通して阿部サダヲ扮する作家と、壇蜜が声をあてるCGのドングリが狂言回し的に登場する。第1夜となるきょうの放送では、第1話に広瀬アリス・広瀬すず、第2話に永山瑛太・永山絢斗と、じつの姉妹・兄弟が出演し、さらに第2夜では第3話に中尾明慶仲里依紗、第4話に青木崇高・優香と2組の夫婦が登場する(優香は声のみの出演)。このうち永山兄弟は今回が初共演で、近未来の日本を舞台に“過去にはやった料理”をつくることを生業とする兄弟を演じるという。

1982年12月生まれの永山瑛太。3兄弟の次男 ©文藝春秋

 永山瑛太は1982年12月に次男として生まれ、EITA名義でモデル活動を経て2001年、ドラマ『さよなら、小津先生』(フジテレビ系)で俳優デビューを果たす。まもなくして「瑛太」の芸名で活動するようになったが、今年1月をもって本名に改めた。永山絢斗は6歳下、1989年3月生まれの三男で、2007年に日本テレビの深夜ドラマ『おじいさん先生 熱闘編』でデビューした。なお、2人の長兄である永山竜弥(1979年生まれ)も俳優で、一時休業を経て今年活動を再開している。

 瑛太は、映画『青い春』(2002年)、『サマータイムマシン・ブルース』(主演・2005年)、ドラマ『WATER BOYS』(2003年)、『のだめカンタービレ』(2006年)など、若手俳優が多数出演する作品のなかでまず注目されるようになる。このころ、東京・祐天寺に住んでいた。あまり仕事のなかった当時、森山未來や小栗旬など同年代の俳優たちと酒を飲みながら演技論をぶつけ合うこともしばしばであったという(※2)。2008年にNHKの大河ドラマ『篤姫』で薩摩藩重臣の小松帯刀、フジテレビ系のドラマ『ラスト・フレンズ』で女性から性的虐待を受けるヘアメイクアーティストを演じたあたりから、若手の実力派として認知されていった。

朝ドラの名場面、ふんどしで撮影した絢斗

 弟の絢斗も、2010年に初主演した映画『ソフトボーイ』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、しだいに頭角を現す。2016~17年にはNHKの連続テレビ小説『べっぴんさん』にヒロインの夫役で出演し、広く知られるようになった。『べっぴんさん』のなかでも彼が格別の思い入れがあるというのが、夫が戦後、抑留されていたシベリアから帰国し、妻と再会を果たすシーンだ。このとき、衣装スタッフには、自分の着る軍服を少し破ったりシャツのボタンを壊したりしてほしいと指示したという。さらに、画面には映らないにもかかわらず、ふんどしを締めて撮影にのぞんだ。これについて彼は放送後、《たとえ画面に映らなくても、演じる上での自分自身の気持ちが全然違う。そうやって衣装の力を借りないと演じられないと思うほど、大切にしたいシーンだったんです》と語っている(※3)。

 役になりきる努力は瑛太も変わらない。一昨年の大河ドラマ『西郷どん』では、鈴木亮平演じる西郷隆盛の盟友で、のちには対立することになった大久保利通を演じた。作品によって現場にいるときのスタンスが変わるという彼は、同作では1人でいることが多かったという。当時のインタビューでは次のように明かしていた。

《スタジオを出たところに、前室と呼ばれるスペースがあって、出演者やスタッフの皆さんが集まっていることが多いのですが、僕はほとんどそこにいませんでした。自分の控え室にこもって、出番が来たらスイッチを入れるという日々――。“絶対に一人でいよう”と意識したわけではないのですが、大久保という常に孤独感を抱いている役に向き合っているうちに、自然とそうなっていきました》(※4)

『最高の離婚』『それでも、生きてゆく』……ヒットメーカー・坂本裕二との縁

 これを読むと、俳優のなかでもいわゆる憑依型なのかと思わせる。あるインタビューで同席した松田龍平からも「憑依型ですか?」と訊かれたが、本人は《そんなことはないよ(笑)》ときっぱり否定している(※5)。ただ、松田と共演した映画『まほろ駅前狂騒曲』(2014年)の衣装合わせの際には、同時期に撮影していたドラマ『最高の離婚』(フジテレビ系、2013年)の役になっていると監督から指摘されたという。本人は《基本的に、日常の中で自分が変わってしまうようなことはないと思っているんだけど》と言うが(※5)、ときには無意識のうちに役をひきずってしまうこともあるのだろう。

 それは作品の力でもあるのかもしれない。『最高の離婚』は、今回の『Living』と同じく坂元裕二の作品だ。瑛太によれば、《坂元さんの書くセリフは、なぜここに句読点があるのか、そんな細部までしっくりくるんですよ》というだけに(※6)、よけい役にハマってしまうのではないか。

 坂元との仕事では『最高の離婚』以前にも、『それでも、生きてゆく』(フジテレビ系、2011年)に主演し、妹を殺された重い過去を背負った青年を演じている。劇中の彼は妹を亡くしたのち母と弟と別れ、一緒に暮らし続けた父親も病死する。じつはこのとき、瑛太自身も現実に父親が急死した直後だった。同じく肉親の突然の死を経験した人物を演じる心中はいかばかりであっただろうか。坂元作品ではその後も、一昨年放送の広瀬すず主演のドラマ『anone』(日本テレビ系)にも謎めいた男の役で登場している。

 絢斗もまた、坂元の脚本によるドラマ『モザイクジャパン』(WOWOW、2014年)で主演を務めている。同作では、絢斗演じる証券マンがリストラされ、地方の小さな町に帰郷するのだが、疲弊した町はアダルト産業に再起を賭けるようになっており、彼も否応なしにその世界に巻き込まれていく。数年後に浮上したAV出演強要問題などを先取りしたような部分もある意欲作であった。

瑛太と絢斗、似ているところはあるか?

 瑛太のこれまでの出演作を振り返ると、『最高の離婚』では妻から離婚を突きつけられる夫、あるいは映画『リングサイド・ストーリー』(2017年)では売れない役者といった具合に、その役柄には卑屈さや愚かさといった、人間の負の側面を強く印象づけるものが少なくない。ただ、『リングサイド・ストーリー』で演じたいかにもダメ男な俳優について、彼自身はけっしてダメだとは思っておらず、むしろ自分より勇気があると肯定してみせた(※6)。別のインタビューでは、《ひとつの役柄に対して、いかに多面性を出せるかということですね、考えているのは。こいつは何なんだろうって観ている人が思うような芝居を、どこかで意識しているのかもしれません》と、役づくりで大切にしていることを語っていた(※2)。

 他方、絢斗はあるインタビューで、俳優業を続けていくために何が必要と思うかと問われ、しばらく考えたあとで、《一つはっきりと思うのは、他の誰かと一緒になりたくないということ。普通なら『ここでこんな表情をしないよね』って皆が思うようなことをあえてやりたい。誰かのモノマネではなく、自分の感性を大事にしたいんです》と答えた(※3)。瑛太も先のインタビューで《どの役柄も一貫性を持っているようで持っていない。でもそれでいいと思うんです。僕が演じていれば、ある意味何をやっても成立するはずだから》と、自負ともとれる発言をしている(※2)。役になりきろうとしながらも、どこかで自分らしさを表現しようという点では、兄弟いずれも共通する。

 絢斗は、緊急事態宣言下にあったこの4月、行定勲監督の呼びかけに応じて、リモートドラマ『きょうのできごと a day in the home』に、柄本佑・高良健吾・浅香航大・アフロ(MOROHA)・有村架純とともに出演している。YouTubeで公開後1カ月で再生が25万回を超えた同作は、学生時代からの仲間らしい男5人がそれぞれ家にいながらネット上に集まってリモート飲みをするうち、意表を突く形で有村演じるヒロインが登場するという短編であった。リモート飲みの最中に音声が途切れてしまったところもそのまま活かすなど、即興性がかえってリアリティを感じさせた。これに対し、同じリモートドラマながら、CGなども使った『Living』はどんなものになるのだろうか。楽しみに待ちたい。

※1 NHK・番組ホームページ(https://www.nhk.jp/p/ts/L155MXM7LN/
※2 『週刊文春』2017年10月19日号
※3 『週刊現代』2017年8月5日号
※4 『ステラ』2018年11月16日号
※5 『AERA』2014年10月27日号
※6 『ダ・ヴィンチ』2017年11月号

(近藤 正高)

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