ジェームズ・キャメロンが「アバター」より前に作りたかった日本漫画原作映画

ロバート・ロドリゲス監督

 これもまたアメリカンドリームと呼ぶべきか。

【写真】目が極端に大きくCG加工されたアリータ

 ロバート・ロドリゲスの監督デビュー作『エル・マリアッチ』の製作費は、治験バイトなどでかき集めた7000ドル(約76万円)だった。だが、それから27年を経て公開される最新作『アリータ:バトル・エンジェル』はジェームズ・キャメロン級の超大作だ。キャメロン級と言うのは文字通りで、もともとキャメロンは、自分で監督するつもりで木城ゆきとの原作漫画『銃夢(ガンム)』の映画化権を買っていた。

「ジム(キャメロン監督)は、『アバター』の前に『アリータ~』を作るつもりだった。でも、『アリータ~』の脚本が完成しないうちに『アバター』の準備ができてしまった。そして『アバター』は映画史上最大のヒットとなり、続編ができることになった」

 しかも、続編は4本。それらを立て続けに撮るとなれば、キャメロンは今後「アバター」だけで手一杯となる。

「僕は彼の大ファンで、20年来の友達。それで、『アリータ~』はどうするつもりなのか聞いてみた。すると彼は、ビジュアルコンセプトや大幅な短縮が必要な脚本を見せてくれて、『満足のいく脚本に仕上げられるなら、君が作ってよ』と言ったんだ。そして僕は『夏休みの宿題にします』と、持ち帰ったのさ」

「宿題」をキャメロンに見せると……

 その宿題は見事、花丸の合格点を得る。180ページから120ページに削ったのに、キャメロンが「どこを削ったかわからない」と言う程だったのだ。脚本を作るにあたっては、キャメロンの求めたことと同様、原作漫画にも忠実であろうと心がけた。

「撮影中、原作漫画のページを開いて、『このショットは、原作そのままだね』と言ったりすることもあったよ。日本のファンのみなさんにも期待していてほしい」

 サイボーグのアリータの目が極端に大きいのも、日本の漫画っぽくするため。アリータは、オーディションで抜擢されたローサ・サラザールの演技にCGを施して作られている。作業を担当したのは、『アバター』も手がけたこの業界でトップ中のトップ、WETAデジタルだ。

「ジムはWETAを雇わせてもらえないならやらないという姿勢だった。他よりギャラが高いのは、飛び抜けて腕がいいから。今作のために新しく開発されたテクノロジーもある。僕が映画化権を買っていたら、間違いなくこんな予算はもらえなかっただろう」

 それでも「今作は、キャメロンの映画で『ターミネーター2』以来最高に無駄のない映画になったと思うよ」とちょっと得意げな表情も見せる。将来、また低予算映画に戻るつもりも十分あるとのこと。良くも悪くも、貧乏性は、一生治らないのかも?

Robert Rodriguez/1968年アメリカ・テキサス州生まれ。低予算映画『エル・マリアッチ』で監督デビュー、その後自らリメイクした『デスペラード』でアクションファンに熱烈な支持を受ける。タランティーノと意気投合、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』を世に送り出した。

INFORMATION

『アリータ:バトル・エンジェル』
2月22日(金)より全国ロードショー
http://www.foxmovies-jp.com/alitabattleangel/

(猿渡 由紀/週刊文春 2019年2月14日号)

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