橋本環奈、奈緒、吉田羊ら「福岡女優」がテレビで大モテ…出身者・小柳ルミ子が語った納得の理由
「福岡にスカウトに行く芸能事務所は多いですよ。一時、若手人気女優が多数所属していた事務所さんは、スタッフを定期的に1カ月ほど、現地に派遣しているそうです」
都内の某中堅事務所の幹部がこう語るのには理由がある。橋本環奈(25)、今田美桜(27)、奈緒(29)ら、ドラマや映画で主演を張る女優は福岡県出身者が多いのだ。
「かつては“九州のCM女王”といわれた大藤真紀さん(元プロ野球選手・城島健司氏の妻)のように、九州でバリバリ仕事をしていても、あくまでローカルタレント止まりでした」(福岡の芸能事務所関係者)
だが、冒頭のように、今や大手芸能事務所のスカウトが引きも切らずに訪れる状況になっている。なぜ、「福岡出身女優」がテレビで“大モテ”しているのか――。芸能事務所関係者が続ける。
「環奈ちゃんは、福岡の児童劇団出身です。福岡は、劇団の活動が盛んで、入団してレッスンを受け、CMや『博多座』で東京の劇団が公演する際のオーディションを受ける……という流れが確立しているんです。環奈ちゃんもその一人で、けっして地元で知名度が高かったわけではありません。それだけレベルが高く、層が厚いとは言えるでしょうね」
一方、今田と奈緒は、2009年に設立された福岡の事務所・CGE(カバーガールエンターテイメント)に所属し、高校時代から地元局の番組にレギュラー出演。特に今田は、“福岡一かわいい女の子”として抜群の知名度があった。
「CGEは、いま福岡でいちばん勢いがある事務所です。とにかくタレントの露出を増やす方針で、テレビ番組やイベント、ポスターなどを自ら仕掛けて、どんどん場数を踏ませています。美桜ちゃんがあちこちに露出することで、オーディションの応募者はすごく増えたでしょうね。結果的に、美桜ちゃんのポスターを見た東京の事務所に引き抜かれてしまったわけですが、そのときもCGEの人は『番組のレギュラーの枠が残っているから、次は誰にしようかな』と言っていたようです。それほど地元局に力を持ち、人材も豊富だということです」
そんなCGEの大量露出作戦で、東京の芸能界の、福岡のレベルの高さへの注目度が上がった面はあるだろう。
だが、勢いがあるのは新興勢力だけではない。40年近く続くミスコン「いちご姫コンテスト(現・いちごプリンセスコンテスト)」は、数多くのスターを発掘してきた。主催するタウン情報誌「GEKKLE」の総合プロデューサー・大島真由美さんが語る。
「『いちごプリンセスコンテスト』は、黒木瞳さん(63)、松田聖子さん(62)、松雪泰子さん(51)、田中麗奈さん(44)らを輩出している美少女コンテストです。コロナ禍までは久留米や福岡の高校へ、実際にスカウトに行っていました。地元では皆さんが知ってくれている情報誌なので、私たちが行くと『かわいいコ、います!』と学校イチかわいいコを紹介してくれるんです」
芸能界を見渡せば、ほかにも吉田羊(年齢非公表)、吉瀬美智子(49)ら、活躍する福岡出身の女優は枚挙にいとまがない。支持を集める理由をテレビコラムニストの桧山珠美さんに聞くと、ちょうど仕事で福岡に滞在しているタイミングだった。
「福岡にいると、人と人との距離感が近いことを感じますね。橋本環奈さんは、上京して福田雄一組の映画に呼ばれると、すぐに小栗旬さんやムロツヨシさんと打ち解けて、飲み友達になってしまう“近さ”があります。ロンドンでも上演された舞台『千と千尋の神隠し』の密着番組を観ていると、橋本さんは初めてのミュージカルなのに、稽古場に入った瞬間にみんなの中心にいて、Wキャストで主演を務める上白石萌音さんがびっくりしているシーンが印象的でした。彼女には、懐ろに飛び込む天性の力があるんですね」
そんな“距離感の近さ”は、ほかの「福岡女優」にも見て取れるという。
「吉田羊さんも以前、『ぴったんこカン・カン』(TBS系)に一升瓶を持参して登場し、安住紳一郎アナを困惑させていました。でも、その距離感の詰め方が絶妙で、視聴者に嫌な印象を与えませんし、業界関係者にも好かれるんだと思います。やはり仕事は人と人がするもの。どちらの女優を使うか迷ったときは彼女を、ということになりますよね。一時期、蒼井優さん(38)が、“魔性のオンナ”といわれていましたが、パーソナルスペースが狭いから、誤解されやすかったんでしょう」
吉瀬美智子も2023年10月、『人志松本の酒のツマミになる話』(タイトルは当時、フジテレビ系)で出演者に接近し、千鳥の大悟らをメロメロにしていた。
「吉瀬さんは『FLASH』が“ヤンキー”時代の写真を出していましたね(笑)。でも、気が強そうなんだけど、柔らかさがあるんですよね。吉田羊さんの話を聞いていると、ピシッと筋が通っているけれど包容力を感じますし、黒木瞳さんや橋本環奈さんも、負けず嫌いだとよくいわれますが、キツくない。強いだけではないところが、支持されているのだと思います」
2013年当時、橋本環奈はご当地アイドルグループ、Rev. from DVLのいちメンバーにすぎなかった。
だが同年5月、福岡でのイベント中に撮影された写真が「千年に一人の逸材」とネットで話題になり、知名度が急上昇。大ブレイクのきっかけを掴んだ。
同年11月、博多駅でおこなわれたイベントで橋本を目撃し、撮影したカメラマンはこう振り返る。
「彼女のことは知りませんでしたが、透明感が半端ないなと思ったのは覚えています。まだ幼いのに、すごいオーラを感じました。こんな人がスターになるんだろうなと思っていたら、あっという間でしたね」
前出の「GEKKLE」では、提携スタジオで“第2の橋本環奈”を夢見る10代の女のコたちがレッスンに励んでいる。7月某日に覗かせてもらうと、この日はモデルウオーキングと歌とダンスのレッスン。びっちり1時間、約20名の生徒が真剣な眼差しで課題に取り組んでいた。大島さんが解説する
「ウオーキングは基礎から教えているので、足がまっすぐで長いコが多いです。演技のレッスンや美容栄養学やヘアメイク、SNS講座もおこなっています。橋本環奈さん、今田美桜さん以降、福岡からブレイクしているコは出ていません。新しいスターを誕生させたいと思っています」
その成果は着々と表われているようだ。
「ある日、レッスンが終わって帰ろうとした生徒が、ビルの前にいた方に名刺を渡されたんです。その方は、東京の有名な大手芸能事務所のスカウトでした。2019年から10回おこなっている小・中学生対象の『九州キッズモデルオーディション』でも、出場者についてSNSで発信すると、大手事務所のほか、韓国の事務所からお問い合わせがあったこともありました」(同前)
小柳ルミ子(72)も「福岡女優」だ。宝塚音楽学校を首席で卒業後、宝塚歌劇団を経て芸能界入り。50年以上、第一線で活躍する。
「福岡の女性は情に深いんです。(同郷の松田)聖子ちゃんとは40年以上のつき合いで、会うと砕けた会話もしますが、メールでは、皆さんに見てほしいくらい、丁寧で立派な文章を送ってくれます。(黒木)瞳ちゃんは、『ルミ子さんにしか言えない』と、私にだけ泣き言を言ってくれて……。2人には本当に慕ってもらっていて、それが私のモチベーションになっています」
福岡が多くの女優、歌手を輩出している理由は何なのか。
「これは私の分析なんですが、福岡は四季がはっきりしているんです。夏は台風の通り道になり、冬には雪が積もることもあります。そんな厳しい自然を体験すると、喜怒哀楽が豊かになります。心のひだや機微を表現できること、爆発させられることが、歌や芝居、ダンスなどの芸事に繋がっているのだと思います」(小柳、以下同)
毎年5月の「博多どんたく」では、町のいろいろなところに仮設舞台ができる。
「私も、小さいころには浴衣を着て、舞台に飛び入りで上がって歌を歌いました。皆さんに拍手をいただいて、とにかく楽しかった。人前で表現することは恥ずかしいことじゃないんだという子供のころの経験が、将来の夢になることってあると思います」
“福岡人の気質”も芸能界で活躍する秘訣だと話す。
「福岡の女性は天性の明るさがあって情が深く、たくましいと思います。大木は強風が吹けばポキッと折れてしまいますが、しなる木は強いですよね。そんなしなやかさを感じます」
そして小柳は、いま活躍している若手女優に対して、優しくこう語りかけた。
「福岡出身の方が活躍してくれるのを、嬉しい思いで見ています。皆さん、かわいくてきれいだし、キラキラしていますよね。吉田羊さんはまだメディアにあまり出ず、舞台で活躍していたころから注目しています。福岡には、魅力的ですばらしい表現者がもっともっといるはずですよ。今はまだ小さな蕾かもしれないけれど、これからたくさん出てきてほしいなと思いますね」
新たなスターが福岡から誕生するのも、遠くはなさそうだ。
写真・本誌写真部
08/01 21:00
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