「音痴な人は家庭環境が悪かった」GACKTの“差別助長”発言に広がる反発 専門家も否定「トレーニングで改善できます」

 

「音痴は直んないですね」

 

7月26日放送の『酒のツマミになる話』(フジテレビ系)でそう語ったのは、歌手のGACKTだ。

 

「番組内で、フリーアナウンサーの平井理央さんが音痴であることを明かしました。娘に童謡の『チューリップ』を歌ってとせがまれ、歌ったところ『ママ、それ何の歌?』と言われてしまい、それ以来、携帯で音源を聞かせるようになったと語っていました。そこで、『音痴って、はたして直るもの?』という悩み相談をしたのです」(芸能記者)

 

 そこで、ゲスト出演していた GACKTが冒頭の発言をしたのだった。さらにGACKTは、

 

「音の感覚って、7つ(7歳)までに教育されたものなんで」

 

 と語り、

 

「すごいキツい言い方をすると、音痴な人は家庭環境が悪かったですね」

 

 と続けたのだ。

 

 

「7つまでに、親がしっかり子どもに音楽を聴かせる環境を整えていれば、音痴じゃなくなるはずなんですよ。7つまでに音楽が聴かせる環境がないなかで、いきなり大人になってから音痴を直すっているのは無理がある」

 

 とも発言したGACKT。これに対して、Xでは猛反発するポストが殺到。

 

《音痴かどうかと育ちって関係あるか?》

 

《じゃあ今歌手としてやってる人たちは、全員もれなく「7歳までにしっかり音楽を聞かせる教育」とやらをしてたとでも?》

 

「あくまでGACKTさんの個人的な意見でしょうが、家庭環境と音痴を結びつけるのは、あまりに強引だという意見が集まりました。差別を助長するおそれもありますし、Xではエミネムなど、貧しい家庭環境から成功したミュージシャンの名前をあげて反論する投稿も見られます」(芸能記者)

 

 実際、音痴になるのは、家庭環境のせいなのか。「『声だけ』で印象は10倍変えられる」の著者であり、1000人以上の“音痴矯正”をおこなってきた、音痴矯正ボイストレーナー・高牧康氏に聞いた。

 

「まず、そもそも音痴とはなにか、という認識には幅が広いので、GACKTさんが言ってらっしゃる音痴と、一般の方が想像する音痴で、差があるかもしれません。音痴の原因はいろいろあると言われていますが、ざっくり分けると、インプットとアウトプットです。

 

  アウトプットとは、音の出し方、歌い方に問題があるケースです。男性の声変わりが終わった第二次性徴期を過ぎた後、大人になってから音痴が発覚することが多いですが、ボイストレーニングをおこない、声が出ない音域をカバーする訓練をおこなえば、直ります」

 

 一方、“インプット”には、幼少期が重要になってくる。

 

「GACKTさんが指している音痴はこちらでしょう。音楽をインプットする場合、7歳ぐらいまでにやっておかないと、大人になってからインプットするうえで、ほかの人よりも遅れを取ることが多い、という指摘だと思います。

 

 たとえば、お父さんとお母さんの音程がものすごく悪かったら、子どもは音痴になりやすいでしょう。しかし保育園、幼稚園で音楽教育がおこなわれていますから、7歳までに両親が発する音楽以外を聞いたことがない人は、ほとんどいないはず。ですから、音痴の原因は『家庭環境が悪いから』というのは間違いですね。ほとんどの音痴は、トレーニングでいくらでも改善できます」(同前)

 

 他人の家庭環境に口を出す前に、自分の音楽を磨いてほしいものだ。

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