テレ東「警察密着」番組打ち切り…関係者が「もうやめたい」と泣き言を言う「大きすぎる負担」とは

画像はイメージです(写真・AC)

 

 5月30日、テレビ東京が『激録・警察密着24時!!』の放送終了を発表した。

 

 同番組は公式サイトで《全国で日々発生する事件・事故・犯罪の瞬間をカメラが捕らえる!正義感あふれる全国の熱血警察官に密着したリアルなドキュメンタリー番組》と謳っており、実際、臨場感あふれる映像で、不定期放送ながら人気があったのだが……。

 

「昨年3月、アニメ『鬼滅の刃』の関連商品で不正競争防止法違反容疑の摘発があり、番組は密着取材をしました。その際、逮捕された4人のうち3人が不起訴になったのですが、番組ではそのことを説明しませんでした。取材した制作会社スタッフは不起訴を知っていたようですが、局側は認識していませんでした。

 

 

 このほか、捜査員の会話や会議の様子が捜査中のものではなく、実際は事後に撮影したものだったこと、『商品を中国に発注した』という内容が事実誤認だったことが判明し、放送終了を決断したとのことです」(芸能担当記者)

 

「警察密着番組」は民放各局で放映しているが、あるディレクターがこう指摘する。

 

「以前は2桁視聴率を取るドル箱コンテンツでしたが、いまは1桁の真ん中くらい。しかも『お荷物的』な面があるんです」

 

 いったい「お荷物」とはどういうことなのか。

 

「『警察密着』は1990年代から2000年ごろにかけて、各局がオンエアを始めました。メインの視聴者は圧倒的に男性で、反響がいいのは風俗店への立ち入りや交通違反の摘発、暴走族などですね。

 

 取材に関しては、局が警視庁や県警に直接申し込みます。警察としては広報効果が見込めるため協力的なのですが、テレビ局の業績が落ち込んでいる昨今では『費用対効果』の問題が大きくなっています」(前出・民放ディレクター、以下同)

 

 取材クルーは警察署に昼夜問わず、ベタ張りをしながら『事件待ち』をする。このときの人件費がバカにならないのだ。

 

「犯罪が増えたといっても、日本の治安はそこまで悪くありません。事件はそうそう起きないんです。そのため、取材日数は長くなる傾向にあります。

 

 地方の警察なんて、それこそ『犬が迷子になった』みたいな話題しかないから大変です。取材が1カ月、2カ月になると、経費がどんどんかかっていきます。

 

 そのため、新人白バイ隊員や親子警察官に密着して『撮れ高』を稼ぐんですが、これだけだと視聴率が稼げません。

 

 結局、事件が多い新宿の歌舞伎町交番などを取材することになりますが、今度はマンネリという問題が生じます。

 

 いずれにせよ負担が大きすぎて、各局、放送終了の潮時を探っているところかもしれません」(同)

 

 SNSには、《白バイの活躍とか格好良いのに》《貴重な警察密着番組が一つ減ってしまった》など残念がる声が多く寄せられていた。

 

 テレビ東京の石川一郎社長は、30日の会見で「もうやめたい。やめます」と泣き言のような発言をしていた。ドキュメンタリー番組には厳しい時代のようだ。

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