川口春奈『9ボーダー』3姉妹のうち恋愛成就するのは1人だけ? “令和思考” でラブストーリーを見てみたら
3姉妹の恋の行方が気になるヒューマンラブストーリー『9ボーダー』(TBS系)。“平成思考” で考えれば3人に恋愛的ハッピーエンドが訪れるのだろうが、“令和思考” で考えると……?
5月24日(金)に第6話まで放送されている川口春奈の主演作『9ボーダー』は、各年代のラストイヤーである19歳・29歳・39歳の3姉妹が、悩みを抱え焦りながらも、自分の生きる道を探していく物語。
3姉妹にはそれぞれ恋のお相手となるキャラクターが存在している。
39歳の長女・六月(木南晴夏)には、自身の会計事務所で採用した新人公認会計士・朔(井之脇海)。
29歳の次女・七苗(川口)には、記憶喪失で謎が多いバル店員・コウタロウ(松下洸平)。
19歳の3女・八海(畑芽育)には、幼馴染みで七苗に片想いしていた酒屋の息子・陽太(木戸大聖)。
この3組の恋愛は、はたして成就するのかを予想してみた。
■恋愛ドラマにおける “平成思考” と “令和思考”
もし『9ボーダー』が平成の恋愛ドラマ、とりわけ恋愛至上主義全盛だった1990年代の作品ならば、3姉妹がそれぞれ彼氏を作って恋愛的ハッピーエンドを迎えたに違いない。
1990年代の恋愛ドラマは、たとえばフラれた当て馬キャラが、それまでろくにフラグも立てていないのに、最終話であまったキャラといつの間にか恋仲になる展開も多かった。とにかく “誰かと恋することが幸せ” という価値観が強かったように思う。
だから、“平成思考” で考えると、七苗への恋心が実らなかった陽太と八海が、最後は付き合う結末になりそう。同様に、離婚を突きつけられバツイチになった六月も、寄り添ってくれる朔とくっつきそうだ。
だがしかし――今は「価値観の多様性」が声高に叫ばれている令和という時代。
誰もが恋愛すべきという空気感が蔓延していた平成と違い、令和は恋愛をしてもいいし、恋愛したくない人はべつにしなくてもいいという、それぞれの価値観が尊重されている。
そんな令和の恋愛ドラマで、3姉妹全員が旧態依然とした価値観(恋愛至上主義)に固執したハッピーエンドになるとは思えない。
もちろん3姉妹のなかに恋人ができて幸せになるキャラがいてもいいのだが、彼氏は作らずに仕事や趣味や家族といった、恋愛以外の生きがいを見出すハッピーエンドのキャラもいたほうが令和的だろう。
■七苗&コウタロウには “壁” があるからこそ恋愛成就?
仮にすべてがハッピーエンドとした場合、誰が恋愛的ハッピーエンドを迎え、誰が恋愛以外のハッピーエンドを迎えるかが気になるところ。現時点では3組とも恋愛成就しそうな流れになっている。
3姉妹のうち、恋愛的ハッピーエンドを迎える可能性がもっとも高いのは七苗である。主人公だからという理由もあるが、いちばんのポイントはお相手のキャラ。
前述したように、コウタロウは記憶喪失の謎キャラなのだが、現時点で素性などは不明のまま。断片的に過去の情報が提示されているが、不穏な要素が多いのである。
当然、物語終盤に向かってコウタロウの過去や本来の人物像が明かされていくだろうが、「ただの普通の人」ということはまずないだろうから、大きな問題を抱えていることはほぼ確定。
要するに、今後、七苗とコウタロウの前になんらかの “壁” が立ちふさがる展開になるだろう。
けれど、ラブストーリー的に恋人同士が障害を乗り越えて幸せになるのはセオリーなので、むしろ終盤で “壁” が出現しそうなカップルほど、最後は恋愛的ハッピーエンドになる可能性が高い。そもそも、七苗&コウタロウが破局してしまうと、あまりに救いのないラストになってしまいそうで、その線は薄いだろう。
一方、六月&朔、八海&陽太は、多少の問題はあれど、さほど大きな “壁” はなさそうなので、そのまま恋愛的ハッピーエンドを迎えるのは令和的ではない。六月と八海は、それぞれ恋愛以外の生きがいを見つけるのではないか。
よって、3姉妹のうち恋愛的ハッピーエンドを迎えるのは主人公の七苗だけで、六月と八海は恋人を作らないというエンディングを迎える気がする。
――今夜放送の第7話あたりから終盤に向けてのストーリーが展開されていくだろう。3姉妹がそれぞれどんなハッピーエンドを迎えるのか注目したい。
堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
05/31 02:00
Smart FLASH