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池田エライザ「『外人』と足蹴にされて…」学生時代の差別体験を乗り越えた「読書の旅」

 

 あなたの知る「池田エライザ」は、どんな人だろう。女優、2020年にデビューした映画監督、作家、カメラマン……。マルチな才能を発揮する池田本人が、どの肩書きにも染まらない “原点” を語った。

 

「子供のころはバレエを習っていたものの、休みになれば、男の子たちとサッカーおよびソフトボールに明け暮れる “野生児” でした。うちは兄2人、弟1人の4人きょうだい。ゲームはコントローラー4つで、4人対戦ができたんですよ。

 

 

 そのゲームも、なかなか横着なやり方をしていて(笑)。たとえば私が今でも大好きな『ゼルダの伝説』なら、お兄ちゃんに『神殿(ダンジョン)やって! ボス戦だけ私がやるから!!』と頼んだり。そんな環境で育ったので、女の子らしい『お人形遊び』とかは、本当にしていなくて」

 

 池田には、昔から続いている、彼女の “土台” ともいえる習慣がある。

 

「本はずっと、たくさん読んできました。子供のころは、ベッドの枕元に平積みにしていたので、いつも寝ているとき、バンッと顔に落ちてきて(笑)。それは、読書好きだった父の影響ですね。

 

 読書に目覚めたのは、小学校2年生ぐらいからです。はじめは、『かいけつゾロリ』『怪談レストラン』なんかを読んでいきました。ちょうど『ハリー・ポッター』シリーズが流行っていて、そのおかげで私たちは、ちっちゃい子でも分厚い本が読める世代でした。

 

 私は図書委員をやっていたんですが、図書室や図書館はいつも大繁盛。休日は、お母さんに市立図書館に連れて行ってもらったり、公民館の図書館にはしごで行ったりして。今は週に1冊が精一杯ですけど(苦笑)、そのころは、1日2冊は読んでいました」

 

 そうして重ねた読書経験は、子供のころから人並みならぬものだった。

 

「文豪たちの本は、小学生のときにあらかた読みました。『檸檬』(梶井基次郎)とか読んでたらカッコいいかな、って(笑)。

 

 みんなが教科書で『羅生門』(芥川龍之介)を読んでいるときには、『こちとら、もう『芋粥』とか『鼻』とか読んでますけど? 芥川は、明るいほうがおもしろいんだから!』って。小さいころの私には、そんなふうにちょっと見栄っ張りで、はすっぱなところがありましたね。

 

 当時はとくに、『三毛猫ホームズ』シリーズの赤川次郎さんが大好きで。字が大きくて、ふり仮名もあって読みやすかったんですよ。大人になってから、赤川さんの本の帯を書かせていただいたこともあったんですが、本当に嬉しくて、泣いてしまいました」

 

 本を読むことは幼少期の池田にとって、趣味以外の大切な意味があった。

 

「その当時、私のようなハーフの子は少なくて、まだ人種差別的な偏見が根強くありました。小・中学校では、同じ学校に通うコたちから、『おい、外人』と足蹴にされていて……。

 

 でも、そうした “子供からのいじめ” があるなかで、じつは “大人たちからの冷たい視線” も、強烈に感じていたんです。一方で、そんなことに自信をなくしている自分も嫌でした。そういう理不尽な環境から逃避するには、本しかなかった。

 

 本を読んでいる時間って、自分ひとりでタイムスリップしているような感覚になるんです。だから私にとって、読書は『旅』。はたから見たら、ただの “微動だにしない人” なんですけど、『スター・ウォーズ』を読んでいたら、自分の中ではスター・ウォーズの世界のできごとが実際に起こっています。

 

 あと私はミステリーも好きなので、たとえば新幹線に乗っているときは、伊坂幸太郎さんが書かれた “新幹線もの” のミステリーを読みます。読書は、そうやって現実世界をもっと楽しむ “術” でもあるんです。AI系とか、ディストピアもの(破滅的未来を描いたSF)は、いまだに好きですね(笑)」

 

 

 

 

 一方で、本がつないだ絆もある。

 

「 “腐れ縁” の親友が、同じくらい本を読んでいて。すごく可愛いコなんですけど、2人で本を読みながら、肩をゴツゴツぶつけ合って登校していました。

 

 でもじつは、彼女が何を読んでいるかは知りませんでした。本に目を落としたまま、顔を上げないで歩いていて、お互いに進んでいる方向が合っているか、たまに確認するという感じで。ときどき、2人とも道を間違えていたりして、気づいたら『ここどこ?』って(笑)。

 

 東京ではそんなふうに “読みながら歩き” なんて、危なくて出来ないですけど、田舎だから誰も通らないですし、たいがい一本道だったので」

 

 池田の読書生活にも、新型コロナによる2度の外出自粛期間で、ある変化が。

 

「ちょっとだけ、社会系の新書を読むようになりました。“住むとこ、東京じゃなくていいんじゃないか” “●個の法則” といった、いわゆる自己啓発本とか、『物事をシンプルに考えよう』という現代哲学みたいなものとか。

 

 そういう “その常識、本当に合ってますか?” という本は、私自身が今よりもっと聞き分けが悪かったので(笑)、読んできませんでした。それを読んでみたら……なんとなく、読んだことがいい作用になった気がします。

 

 著者の方の名言がどんなものだったかは正直、覚えていないんですけど、『やっぱり世のために働くと考えたほうが、ピュアに仕事ができるな』と、より思うようになりました。自分やお金のために働いたって、自分のことが好きじゃなったら、仕事にも意義を見出だせないなって。

 

 そのためにも、つねに人の気持ちの流れを見て、フレッシュに仕事をしていかなきゃいけないなと思いました。だから、決められた “型” だけをやるんじゃなくて、時代を見据えて発信していきたいです」

 

 またひとつ、本から学んだ池田。いま彼女の目には、どのような展望が見えているのか。

 

「『ケトル』(太田出版)でエッセイの連載をさせていただいていましたが、書く仕事は細々とやっていきたいと思っています。でも、正解がないからこそ考えすぎて、大衆に好かれようと振れるほど、私の文章は小難しくなるんですよ。

 

 じつは私、小学校3年生ぐらいから、今も小説を書き溜めているんです。当時は、親友をはじめ何人かだけに読んでもらっていました。そうそう、その中に、いつも魔女のものまねをしている、変わったメガネをかけたコがいて。そのコに、『展開、早くない?』って言われたり(笑)。

 

 文章って、そうやっていろんな評価を受けますよね。『私の日常』も含めて、いろんなことを書いているから、私のことを知らない人の目に触れるのは、まだちょっと怖いなって。今は “見つけた人だけが知っている” くらいが、いちばん心地いいんです」

 

いけだえらいざ
24歳 1996年4月16日生まれ 福岡県出身。2009年「第13回二コラモデルオーディション」でグランプリを獲得し、芸能活動を開始。『nicola』『CanCam』の専属モデルを務める。2011年、映画『高校デビュー』で女優デビュー。2015年の『みんな!エスパーだよ!』でヒロイン役が話題に。2021年春以降は出演映画として、『騙し絵の牙』(3月26日公開)、『映画 賭ケグルイ 絶対絶命ロシアンルーレット』(4月29日公開)、『真夜中乙女戦争』 (2022年冬公開予定)が控えている。2018年から『The Covers』(NHK BSプレミアム)のMCを務め、同番組で不定期に歌も披露。3月28日放送回で同番組を卒業する。現在公開中の映画『夏、至るころ』で監督デビュー

写真・久保貴弘
スタイリスト・大島陸
ヘアメイク・豊田千恵

※池田の映画監督デビュー作『夏、至るころ』が、広島・岡山・沖縄でも公開。詳細は作品ホームページにて
※『The Covers』(NHK BSプレミアム)の池田の最終出演回は、3月28日に放送予定

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