ダイアモンド・ユカイが見た「フォーク時代」「バンドブーム」

ダイアモンド・ユカイ(左)と森重樹一

【ダイヤモンド・ユカイの昭和ロックを語る時が来た!】懐かしい話だけではなく、音楽に対する的確な分析が読み応え十分の対談企画。「レッド・ウォーリアーズ」のボーカル、ダイアモンド・ユカイ(55)が、ZIGGY・森重樹一(54)とともに昭和の終わりに巻き起こった日本のロックムーブメントをひもとく。当時の2人はバンドブームをどう見ていた?

 F記者:時計の針を1990年前後に戻しまして、当時の「バンドブーム」をどう見ていましたか?

 ユカイ:あのころ、すでにレッズは解散して、ソロになってたんだよな。バンドブームのOBみたいに見られちゃって、近づきにくい感じだったんじゃないかな(笑い)。

 森重:ユカイ君、ソロデビュー早かったもんな。レッドは解散まで早かったもの。

 F記者:レッズは89年10月にラストライブ開催。ZIGGYの「GLORIA」が発売されたのは同年7月。一方、89年2月にオーディション番組「三宅裕司のいかすバンド天国」がスタートし、同年後半あたりからブームになりました。イカ天は見ていましたか?

 森重:家で酒飲みながら見てたよ。

 ユカイ:「ブランキージェットシティ」は良かったね。

 森重:他にもいくつかいいバンドあったね。

 F記者:「たま」のような個性的なバンドも輩出しました。

 ユカイ:「たま」って当時は「なんだこれ」と思ったけど、いま考えるとすごいバンドだよ。あの時はロックの美意識みたいなのが強くて、なかなか理解できなかったけど、いま見ると、あの独特の音楽性はいいね。

 森重:オリジナリティーあったよね。あの時はビックリしたけど。音楽が良ければ、ランニングシャツ着てようが、革ジャン着てようがいいんだよ。自分の好きなやり方でやればさ。

 F記者:80年代半ばから人気バンドが次々登場し、イカ天ブーム、バンドブームときて、ついに90年ごろ強大な存在だった「歌謡曲幕府」が開国した印象です。

 森重:俺たちの前はロックバンドも歌謡曲の音だったけど、ストリートスライダーズやレッドは違ってさ。それ聴いて「やれんじゃん! 俺もロックンロールで歌謡曲のテリトリーに一石投じたい」と思ってやってた。で、できたよね。みんなの力で。

 ユカイ:俺たちの前に一度フォークの人たち、井上陽水さんや泉谷しげるさんらが鋭く切り込んで揺るがしたところはあったけど、歌謡曲幕府は強かったからね。次に切り込みを入れたのがこの時期だった。

 森重:バンドブームになってさ、レコード会社がこぞってバンドの青田買いをしたじゃない。もう乱獲状態。でも何も残ってないんだよ。俺ね、ブームの前にデビューできたのは良かったと思ってる。1年間給料なかったけど。ビジネスになると分かった後は、システムが出来上がっちゃうからね。

 F記者:フォーク歌手は「テレビに出ない」という姿勢の人が多かったですが、お二人は。

 ユカイ:うちらの時はそんなのなかったよ。出なかったフォーク歌手の人も後々出てるね。

 森重:フォークの時代は、オーディエンスが「コマーシャリズムを否定すべき」と妄信していたから、アーティストもテレビを否定したんだろうけど、俺らのころは出ないのがかっこいいとか全くなかったよ。

 ユカイ:フォーク時代と違ったのは、ロック雑誌がいっぱい増えてきてさ。テレビをきっかけに知り、雑誌を読んでさらに知って、人と深く語り合うというスタイルで広まったところもあった。ただ出られる番組はあまりなかったね。「夜のヒットスタジオ」はロック枠ひとつしかなかったし。

 F記者:出演時の思い出などはありますか?

 ユカイ:足を骨折して松葉づえ突いて出たよ。その前の長崎公演でセットから飛び降りたら「ぷち」って音が聞こえて。当時アリス・クーパーが松葉づえ持ってやってたから、これはこれでいいかって。俺は演出じゃなかったけど(笑い)。

 森重:松葉づえ突いてもバンド者(もん)はかっこいいというかさ。俺もグラスを割って腕の神経が切れるくらいのけがをして、白い包帯巻いて代々木第一体育館でライブやったことあるよ。みんなファッションだと思ってたけど(笑い)。

 ユカイ:本当に命懸けてやってた。バカだよね(笑い)。

 森重:バカだよ(笑い)。でもさ、のうのうと30年後生きてることが想像できる人より、明日死ぬんじゃないかなという人がやってるほうが惹かれるじゃない。俺、27歳で死ぬと思ってたよ。

 ユカイ:俺、バンドが解散したの27歳だ(笑い)。

(次回、2人がビジュアル系の原点を考察)

☆もりしげ・じゅいち=1963年8月28日生まれ。東京都出身。84年にZIGGYを結成。88年にリリースした「GLORIA」が大ヒット。昨年、メジャーデビュー30周年を迎えた。今春、ツアー「TEENAGE LUST」を行う。

☆ダイアモンド・ユカイ=1962年3月12日生まれ。東京都出身。86年にレッド・ウォーリアーズでデビュー。89年に解散後、数度再結成。ソロとしてのカバーアルバム「Respect III」、著書「タネナシ。」「育爺。」が発売中。2015年に織田哲郎と結成したバンド「ROLL―B DINOSAUR」のセカンドアルバム「SUE」が発売中。

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