東京国際映画祭、「敵」が最高賞など3冠 19年ぶり邦画グランプリ
第37回東京国際映画祭は6日、閉幕式と授賞式が行われ、コンペティション部門の最高賞・東京グランプリに日本映画「敵」が選ばれた。「敵」は他にも、吉田大八監督が最優秀監督賞に、主演の長塚京三さんが最優秀男優賞に選ばれ、3冠となった。日本映画のグランプリ受賞は2005年の「雪に願うこと」以来、19年ぶり。
「敵」は筒井康隆さんの同名小説が原作。一軒家で淡々と日々を送る元大学教授が、老いの中で次第に意識を混乱させ、「敵」が迫っているという妄想にとらわれていく姿を白黒の映像で描いた。コンペ部門の審査委員長で俳優のトニー・レオンさんは「老いを誠実かつユーモアを込めて描いた」と評した。
受賞を受けて、吉田監督は「規模の小さい作品だが、プロデューサーとやりたいことをやろうと取り組んだ。華々しいことになり、映画はこういうこともあるから楽しい」と喜びをかみしめた。
また、長塚さんは「そろそろ引退かと思っていたが、もうちょっとやってみようかという気になった」と意欲を語った。
他の主な受賞結果は次の通り(敬称略)。
審査委員特別賞=「アディオス・アミーゴ」(イバン・D・ガオナ監督)▽最優秀女優賞=アナマリア・バルトロメイ「トラフィック」▽最優秀芸術貢献賞=「わが友アンドレ」(ドン・ズージェン監督)▽観客賞=「小さな私」(ヤン・リーナー監督)【勝田友巳】
11/06 21:39
毎日新聞