「シリーズを重ねるほどひどくなる」『踊る』新作にファン落胆、指摘された“キャスト愛”の欠落

ファンの間ではいかりや長介さん演じる「和久さん」が亡くなり「踊るは終わった」の声も

《シリーズを重ねるほどひどくなる》
《主要キャストの死は望んでいない》

 人気テレビドラマ『踊る大捜査線』シリーズの新作が12年ぶりに公開され、映画を見た人々からは冒頭のようなコメントが相次いでいる。

「柳葉敏郎さんが演じる室井慎次を主役に『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』と前後編に分けて公開されました。人気キャラクターの室井が警視庁を退官し、故郷の秋田へ帰り、ある少女と出会うことから事件が巻き起こるという内容で、11月15日から全国公開された後編の最後には織田裕二さんが出演していることがわかり、話題を集めています」(映画誌ライター、以下同)

「キャストに対して愛がない」

 11月8日から10日の「国内映画ランキング」によると、週末3日間で動員4万9600人、興行収入7100万円を記録し、累計成績は動員107万人、興収14億円を超え、まずまずのヒットと呼べる同作はなぜ、不振といわれているのか。

(以下、ネタバレを含みます。まだ映画を見ていない方はご注意ください)

人気キャラクターの室井慎次を殺してしまったこと。織田裕二さん演じる青島が表の主役とすると室井は裏の主役です。亡くなる設定にすることで本当のファイナル感を演出したいのでしょうけど、シリーズが進めば進むほどキャストに対して愛がないなと感じます」

 2012年に公開された『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』では深津絵里演じる恩田すみれの生死が不明なまま終わり物議を醸したが─。

「劇中で室井の口から、今も生きていて後遺症に苦しんでいると説明がありました。前作ではバスのまま倉庫に突っ込んで横転し、半透明な姿になるなど明らかに亡くなったっぽかったのに生きてたのかい!とツッコミを入れたくなりました。すみれが生きていたのはうれしいサプライズですが、扱いが雑すぎるなと思いましたね」

 批判の矛先は同作のキーマンとなる人物にも。

1998年に公開された劇場版第1作で登場した、小泉今日子さん演じる日向真奈美が物語のカギを握ります。真奈美は『羊たちの沈黙』のレクター博士を安易にパクったようなキャラクターで、この真奈美が獄中出産した娘が登場するのですがその設定も無理やりだし、そもそも彼女は踊るファンから支持されている犯人ではないので……」

 一方で、映画そのものの評価は高い。

「シリーズの新作を期待して見た人たちからしてみれば低評価だと思いますが、一人の男の家族をめぐる話として見ると、とても良作です。室井のセリフ一つひとつに温かみがあり、作品の出来としては良い。前作などは見たことを後悔するレベルといわれるほどハチャメチャで設定もおかしかったですが、今作はそういった矛盾はない

 これから公開されるであろう表の主役、青島の最新作は有終の美を飾ってほしい。

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