板垣李光人、映画出演で道枝駿佑から受けた“かわいい”エールと「30歳から挑戦したいこと」

板垣李光人 撮影/矢島泰輔

「自分でも呪術を使えたらいいなと思いますよね」

 平安時代に実在した最高の呪術師・安倍晴明(あべのせいめい・山崎賢人)が陰陽師(おんみょうじ)となる前の知られざる学生時代を完全オリジナルストーリーで描く映画『陰陽師0(ゼロ)』。

 この作品で、帝(みかど)と呼ばれる村上天皇を演じているのが板垣李光人。焦がれていた呪術、陰陽師の世界に飛び込んだ。

「野村萬斎さんが安倍晴明を演じられた映画『陰陽師』や、最近だとアニメの『呪術廻戦』を見て呪術というものにすごく興味がありました」

 そう語る板垣に今作では呪術を使えなくて残念ですねと、伝えると、

「たしかに、帝は呪術を使えませんが、帝として陰陽頭役の小林薫さんや陰陽博士役の國村隼さんという先輩方の上に立つということは、なかなか経験できないこと。

 そういった意味で、面白い役でしたね。絶対的な権力者ゆえの孤独を抱えている帝には人間としても魅力を感じました」

「プレーボーイ」の帝に

 多くの女御に囲まれるプレーボーイの帝を演じる板垣の姿は新鮮だ。

「僕も意外でした。現場に行ったときにちょっと笑っちゃいましたもん。こんなに女性がいるんだって(笑)

 映画の冒頭で平安京の説明が入るのですが、そこでも“帝を頂点に”とナレーションが入ったり、僕がいない場所でも“帝”という言葉を聞くことがあると、なんだか気分がよかったです(笑)」

 映画で板垣が演じる帝は、余裕のある表情を浮かべながら、相手の表情や行動をじっくり観察する。

御簾(みす)の内側にいる人なので、その空気感を出せたらいいなと思い、所作やまばたきを0.75倍くらいのイメージでゆっくり動かすようにしました。衣装も重量のある豪華なものだったので、着付けから全部作り込むのに1時間半くらいはかかったと思います。

 その姿で、少し高くなっている御座に座ったら、もう動けない。なので、共演者の方々とお話しする機会がほぼなくて。ひたすらひとりで御座の上にいました」

役者・板垣は0の時代のまま

 これまでの作品を見ていると、共演者と距離を縮めることが得意なイメージだと伝えると、

「ほんとですか!? そんなこともないと思いますけど、いや、どうなんだろう……。今回の映画に出演するという情報が解禁されたタイミングがドラマ『マルス-ゼロの革命-』の撮影中で。

 みっちー(なにわ男子・道枝駿佑)から“〇〇やるんだね”って言われたんです。それが、陰陽師の陰陽を独特な読み方にしていて、師しか合っていなかったので、最初はなんのこっちゃ?とわからなくて。

 一瞬、時が止まりました(笑)。そのときのみっちーの表情がかわいくて。“楽しみにしてる”って言ってくれていたと思います

 今作は、安倍晴明が陰陽師になる前の0の時代を描く作品。俳優・板垣の0の時代について尋ねると「ずっと0のままです」と言う。

 人気、話題作に途切れることなく出演している印象があるが、

「いやいや。やっぱり自分の芝居に対しては常に空腹でないといけないように思うんです。満たされたときに、表現者としては終わってしまう気がして。

 もちろん、満たされる瞬間はありますよ。ただ、映画が顕著ですが、撮影から数年たって作品が完成して、試写で見たときに“今だったらこういう芝居をするのにな”と思う。たぶん、役者人生の中でそういうことをずっと繰り返していくんだと思います

 プライベートで0から1にするべく挑戦してみたいことを聞くと、

洋服は作りたいです。デザイン画だけはあるんですよ。ただ、それを形にすることが難しくて。ファッションの仕事をさせていただくことがあるので、そこで仲良くなったデザイナーさんに相談したらパタンナーさんを見つけるのが大事だと言われて。

 いつまでにというより、30歳くらいから本格的に挑戦したい気持ちがあります」

 板垣が描く夢のひとつは、すでに始まっているようだ。

映画『陰陽師0』4月19日(金)全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画 (c)2024 映画「陰陽師0」製作委員会

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