イスラエル軍がレバノンとシリア国境を空爆…避難民の主要な脱出経路が遮断、人道支援に影響懸念

 【エルサレム=笹子美奈子】レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラと戦闘を続けるイスラエル軍は4日、レバノンとシリア国境を空爆したと発表した。レバノン国内で増え続ける避難民の主要な国外脱出経路が遮断され、人道支援にも影響が懸念される。

 発表によると、レバノンの首都ベイルートとシリアの首都ダマスカスを結ぶ高速道路が通るマスナアと、ヒズボラがシリア側から武器を輸送する約3・5キロ・メートルの地下トンネルを3日、空爆した。イスラエル軍はヒズボラが後ろ盾のイランからシリア経由で武器を輸送しているとみて、9月26日にも国境を空爆している。

 マスナアには、連日の空爆でレバノンからシリアに逃れる避難民が押し寄せている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、9月21日~10月3日に約23万5000人がレバノンからシリアに逃れた。ベイルートの避難所は満員といい、国内に足止めされる避難民が増えれば、人道状況はさらに悪化する。

 在英のシリア人権監視団によると、マスナアの道路の被害は甚大という。ヒズボラの武器補給路ではないとして同団体は攻撃を非難している。

 空爆と地上戦が続き、双方の死者数は増えている。イスラエル軍は4日、地上戦の開始以降、司令官21人を含むヒズボラのメンバー約250人を殺害し、空爆地点を含め2000か所以上を攻撃したと発表した。イスラエル兵2人の死亡も発表した。イスラエル紙ハアレツによると、2人はイラクからの無人機攻撃で死亡した。

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