エルサレムに空襲警報、地下シェルターに住民避難「この戦争はいつ終わるんだ」
【エルサレム=福島利之、笹子美奈子】半年ぶりにイランのミサイル攻撃を受けたイスラエル各地では1日、空襲警報が鳴り響き、多くの人々がシェルターに駆け込んで不安な夜を過ごした。ユダヤ暦の新年が3日に始まる直前の攻撃に、お祝いムードはかき消され、大勢の警察官が配備された街中は緊張感が漂っていた。
1日午後7時半頃、記者(福島)が東エルサレムの自宅で家族と夕食を終えると、「ウー」というけたたましい空襲警報が夜空に響いた。数時間前に米国がイランからの攻撃を警告しており、子供たちには「今晩はすぐに逃げられるように寝る時は服を着て」と伝えた直後だった。慌てて靴を履き、地下のシェルターに駆け込んだ。同じ建物の住民も続々と避難してきた。
攻撃の様子の写真を撮るために建物の屋上に上がると、
ミサイル攻撃は1時間近く続き、空襲警報は断続的に鳴り響いた。自宅は旧市街に近いため、空襲警報の最中もお祈りを呼びかけるイスラム教の「アザーン」が響き、教会から鐘の音が鳴った。
警報が解除された後、西エルサレム中心部に出ると、普段はにぎわう街は閑散とし、目に付くのは警察官ばかりだった。人々の表情は一様にこわばっている。なじみのサンドイッチ店の店主(54)は「防空システムを信頼しているが、この戦争はいつ終わるんだ」とため息をつきながら、店を閉めた。
記者(笹子)が宿泊している西エルサレム中心部のホテルでは、空襲警報が鳴ると宿泊客や近隣の店の従業員、通行人らがシェルターに駆け込んだ。避難者たちは電話で連絡を取り合い、スマートフォンの画面を食い入るように見つめて情報を収集した。
「ドーン」というミサイルを迎撃する音が響くたびにざわついた。ユダヤ暦の新年を親戚と祝うためにオーストラリアから訪問中の女性(52)は「ユダヤ教徒にとって特別な日だというのに」と顔をしかめた。
10/02 10:32
読売新聞