ヨルダン川西岸でパレスチナ人住宅500軒以上破壊…イスラエル極右政党の意向反映か

 パレスチナ自治区ヨルダン川西岸と東エルサレムで、イスラエルが「無許可建築」としてパレスチナ人の住宅を相次いで破壊している。ガザで昨年10月に戦闘が始まってから加速し、国連によると500軒以上が取り壊された。イスラエルの連立政権に参画し、西岸などの「併合」を主張する極右政党の意向が反映されている。(ヨルダン川西岸ジェリコ 福島利之)

13日、ヨルダン川西岸ジェリコで、イスラエル軍に壊された家を見て回るターマル・バラクさん=福島利之撮影

 西岸ジェリコ東部の住宅街の一角には13日、コンクリートのがれきが積み上がっていた。家の持ち主、建設作業員ターマル・バラクさん(46)は「空爆を受けたガザの家みたいになった」と嘆いた。バラクさんは80万シェケル(約3200万円)を投じ、1年前からプール付きの家を建て始めた。パレスチナ自治政府の「建築許可」は取っていた。

 ところが建築を始めると、イスラエル軍から「無許可の建築だ。すぐに取り壊せ」との通知を受けた。1995年のパレスチナ自治拡大協定に基づき、イスラエルが治安と行政を担う地区だったためだ。区分は複雑で、土地がどの地区に属するか住民には分かりにくい。

 家がほぼ完成した6月、軍は大型重機で家をがれきにした。周囲では50軒が破壊命令を受け、最近2年で7軒が取り壊された。

 ガザ出身のバラクさんは2000年からジェリコに住み、借家が手狭になったため新築した。ガザ中部ディール・アルバラハの実家は3月、空爆を受けて全壊した。バラクさんは「私はどこの家もなくした。イスラエルは家を破壊し、パレスチナ人を追い出すつもりだ」と声を震わせた。

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