ウクライナの発電能力、侵略前の3分の1に…IEA「侵略3年目の冬は最も厳しい試練になる」

 国際エネルギー機関(IEA)は19日、ウクライナのエネルギー事情に関する報告書を発表した。ロシアによるエネルギーインフラ(基盤)への攻撃で、国内の発電能力は侵略前に比べて3分の1程度になったとし、冬に向けてエネルギー確保の対策が急務だと指摘した。

ロシアのウクライナ侵略により、ミサイル攻撃を受けたエネルギー企業「DTEK」の発電所(2024年4月)=AP

 今年春にロシアによる発電所や送電線などへの攻撃が激化し、ウクライナでは今夏に計画停電の実施を迫られ、1日あたり数時間しか電気を使えない地域もあった。ピーク時の国内需要は夏時点で約12ギガ・ワットだったが、冬には暖房需要などで約18・5ギガ・ワットまで拡大する見通し。

 報告書は「ロシアの侵略以降、2度の冬を乗り越えたが、3年目は最も厳しい試練になる」とし、欧州連合(EU)からの送電や天然ガス輸入の拡大、太陽光発電や風力発電の導入加速など10項目の対策を示した。(ロンドン支局 中西梓)

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