ヘビー級王者でウクライナのウシク選手、ポーランドの空港で一時拘束…「誤解あったがすぐに解決」

 【ベルリン=中西賢司】ボクシングの世界ヘビー級で5月に史上初めて主要4団体の王座統一を果たしたウクライナのオレクサンドル・ウシク選手(37)が17日、ポーランド南部クラクフの空港で一時拘束された。ポーランドメディアが報じた。ウシク選手は釈放後、X(旧ツイッター)に「誤解があったが、すぐに解決した」と投稿した。

ウクライナ国旗

 米スポーツ専門局ESPN(電子版)によると、ウシク選手は12月の次戦の調整のため、スペインに向かう際に拘束された。航空会社の職員から渡航に適さないとして、トレーナーとともに搭乗を拒否され、トラブルになった模様だ。

 ウシク選手はウクライナの国民的英雄で、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の指示でウクライナ当局がポーランド側に釈放を働きかけた。ウシク選手はXでウクライナの外交官の支援に謝意を示しつつ、「身長、体重、リーチ、王座を気にすることなく義務を果たしたポーランド警察に敬意を表したい」とも記した。

 ウシク選手は、ロシアに一方的に併合されたウクライナ南部クリミア出身で、2012年ロンドン五輪ヘビー級金メダリスト。22年、ロシアの侵略に対抗するためウクライナ軍の領土防衛隊に入隊後、政府の出国許可を得てボクシングに復帰。今年5月に世界主要4団体のヘビー級統一王者となり、その後、国際ボクシング連盟(IBF)の王座を返上した。米ボクシング専門誌「ザ・リング」による全階級を通じた格付け「パウンド・フォー・パウンド」で、世界4団体スーパーバンタム級統一王者の井上尚弥選手を2位に抑えて1位につけている。

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