ガザのポリオワクチン接種率90%超…UNRWA清田保健局長「ガザの人々の底力」「奇跡に近い」

 【エルサレム=田尾茂樹】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の清田明宏保健局長は16日、パレスチナ自治区ガザで今月1~13日に実施されたポリオ(小児まひ)のワクチン集団接種が90%超の接種率を達成したとみられると明らかにした。「戦時下の異常な状況でもガザの人々の底力で成果を出せた」と評価した。日本メディアのオンライン取材に答えた。

 ワクチン接種のため、イスラエルとイスラム主義組織ハマスはガザ中部、南部、北部の順に時間や区域を限定し、戦闘を休止した。

 接種を受けたのは10歳未満の55万9161人。対象人数は当初想定した約64万人よりも少ない可能性があり、精査しているという。清田氏は「設定時間外や区域外では戦闘が続く中、ここまでできたのは奇跡に近い」と振り返った。

清田明宏氏

 接種は2回必要で次回は10月半ばの開始を見込む。その時点でも戦闘が続いていれば、1回目と同様に戦闘休止を求め、接種を進める方向だ。実現に向け、イスラエル側と協議するという。清田氏は「このような異常な形での予防接種はやるべきではない」とも強調し、一刻も早い停戦の実現を訴えた。

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