国境なき医師団、ロシアでの32年間の活動終了…露法務省が外国NGO登録を抹消

 医療・人道援助活動を行う国際民間活動団体(NGO)「国境なき医師団(MSF)」は16日、ロシア国内での活動を終了すると発表した。ロシアのウクライナ侵略などの影響で活動継続が困難になったとみられる。MSFはロシアで32年間、現地の保健当局やNGOと連携しながら結核の治療や予防、ホームレス支援などを行ってきた。

国境なき医師団

 発表によると、露法務省から8月、MSF支部が外国NGOの登録から抹消されたと通知を受けたことを活動終了の理由として挙げている。抹消理由は明らかにされていない。ロシアでは外国のNGOの活動に対する締め付けが年々、強化されている。

 2022年2月のウクライナ侵略開始後も、支援を続け、人道支援の対象者は侵略開始以来、計5万2000人超に上った。ウクライナ軍が越境攻撃をしている露西部クルスク州でも医療・人道支援を計画していたという。

 MSFのロシアの責任者は「支援を必要とする多くの人が取り残される。可能なら再びロシアで活動したい」とコメントしている。

 MSFは、独立・中立・公平な立場で、紛争や自然災害、貧困などの理由から医療を受けられない人々を支援する団体。1971年にフランスで設立された。99年にはノーベル平和賞を受賞している。

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