ペルーのフジモリ元大統領死去…長女ケイコ氏「父はがんとの長い闘いの末、この世を去った」

 【リオデジャネイロ=大月美佳】南米ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領が11日、死去した。86歳だった。2000年まで約10年間、日系人として初めてペルー大統領を務めた。長女のケイコ氏がX(旧ツイッター)で「父はがんとの長い闘いの末、この世を去った」と明らかにした。

 ケイコ氏によると、フジモリ氏の遺体は12日から14日朝まで、首都リマの国立博物館に安置された後、埋葬される予定だ。

インタビューに答えるフジモリ氏(1999年5月)

 両親が熊本県出身の日系2世のフジモリ氏は、ペルー国立農科大の学長などを経て、1990年の大統領選で初当選。任期中、インフレ(物価上昇)を抑えて経済を立て直し、学校や道路などを整備した。テロ対策にも力を入れ、96~97年の日本大使公邸人質事件では、左翼ゲリラのトゥパク・アマル革命運動(MRTA)に拘束された人質約70人を特殊部隊の突入作戦で解放した。

 一方、反対派を抑え込むための憲法停止や議会閉鎖など強引な政治手法は批判も呼んだ。2000年に3選を果たしたが、側近による野党議員の買収工作が発覚し、 罷免ひめん された。

 滞在先の日本で辞任表明し、日本で事実上の亡命生活に入った。05年、大統領選に再び出馬するため入国したペルーの隣国チリで拘束された。チリで軟禁中に、日本の参院選に出馬して落選した。07年にペルーに身柄を引き渡され、10年には大統領在任中の人権侵害事件で禁錮25年が確定して服役した。恩赦による釈放や再収監を経て、23年12月に約5年ぶりに釈放された。

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