ASEAN各国、アジア版NATOへの根強い警戒…中国との関係考慮「受け入れるのは難しいだろう」

 【ビエンチャン=佐藤友紀、作田総輝】11日に閉幕した東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議で、石破首相は持論とする「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」に触れなかったが、ASEAN各国の警戒感は根強い。

 ASEANは伝統的に中立的な外交を掲げる。中国と経済的なつながりが強い国が多く、多国間の安全保障枠組みの構築には消極的だ。

 インドネシア紙ジャカルタ・ポストは5日、中国がASEAN各国の主要な貿易相手国になっていると言及し、「ASEANが必要としているのは信頼できる貿易・経済パートナーとしての日本だ。地域の緊張を悪化させるだけの軍事同盟国ではない」と報じた。

 国際関係に詳しいベトナムの専門家も「ベトナムは(地続きの大国である)中国を怒らせる選択肢を選ばない。もしアジア版NATOが提案されれば、巧妙に参加を拒否するだろう」との見方を示した。

 タイ政府高官は「石破氏のアイデアは斬新で興味深いが、地域の緊張を高める恐れがある。バランス外交を基本とするASEAN各国が受け入れるのは難しいだろう」と指摘した。

 会議で持論を封印した石破氏に対しては、ASEAN外交筋から「石破氏は終始安定した発言をしていた」「岸田前首相の路線を踏襲する姿勢は変わらないだろう」と評価する声が相次いだ。

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