拮抗するアメリカ大統領選 「無党派層の取り込みが鍵」“激戦州”を制するのは【Nスタ解説】

11月5日に行われるアメリカ大統領選。大統領選の仕組みや、日本への影響について見ていきます。

勝ったほうが選挙人を“総取り” アメリカ大統領選挙の仕組み

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加藤シルビアキャスター:
11月5日にアメリカ大統領選挙の投票日を迎えます。

アメリカ大統領選挙は、選挙人の“争奪戦”とも言われます。選挙人は538人いて、50の州と首都ワシントンの人口に応じて人数が振り分けられます。

例えば、カリフォルニア州の例では、人口に応じた選挙人が54人います。ただ、選挙人は自由に候補者を支持していいわけではありません。

州ごとに投票を行い、勝敗が決定し、勝ったほうが選挙人を“総取り”する仕組みになっています。
※一部の州を除く

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そして、過半数270人を獲得すると、次期大統領に選ばれます。

「無党派層の取り込みが鍵」 勝敗を分ける7つの州

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今回の選挙では、勝敗を分ける7つの激戦州があります。

【勝敗を分ける7つの激戦州】
・ウィスコンシン州 10人
・ミシガン州 15人
・ペンシルベニア州 19人
・ノースカロライナ州 16人
・ジョージア州 16人
・アリゾナ州 11人
・ネバダ州 6人

それぞれ6人から19人の選挙人が振り分けられている州です。

上智大学の前嶋和弘教授は「全ての州でほぼ同点で、全く互角。無党派層の取り込みが鍵になる」と指摘しています。

日比麻音子キャスター:
激戦州以外でも、期日前投票の状況を見ると、ほぼ互角です。この激戦州においても、ほぼ同点。「無党派層の取り込みが鍵」とは、どういうことでしょうか。

上智大学 前嶋和弘 教授:
7つの州以外はほぼ決まっているわけです。中には割れていて決めかねているところもあります。

激戦州は民主党支持者と共和党支持者がバランスよくいるので、そこの中でまだ決めかねている無党派の中の「ちょっと民主党寄り」や「ちょっと共和党寄り」の人たちを、いかに取るかです。

そのために、ポピュリスト的なことで少し脅したり、あるいは選挙の最後には少し誇張したりといったことがありますが、今年は特にそれが見えます。

日比キャスター:
戦いがより激しくなっていますが、ここまでの接戦は過去にあったんでしょうか。

上智大学 前嶋和弘 教授:
ほぼ記憶にないんですよね。世論調査がしっかりしてきたのは1980年代以降です。

あえて言えば2000年のときは、ほぼ同点で、フロリダ州で再集計して537票で決まりました。今年もかなり似たような感じの動きになっていて、最後の最後までわからないです。

「一番最近では200年前に」激戦のすえ…もし同数だったら

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加藤キャスター:
選挙人は538人いますが、これは偶数です。もし、双方が269人ずつ獲得し、半分ずつに割れてしまった場合はどうなるのかについてです。

2025年1月に臨時選挙が行われ、下院議会で大統領を投票で選び、上院議会で副大統領を投票で選ぶという流れになってくるようです。

産婦人科医 宋美玄さん:
1月まで決まらないこともあり得るんですね。最初から奇数にしとけばいいのに、と思います。

こういったケースも過去にはあるんですか?

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上智大学 前嶋和弘 教授:
一番最近では、200年前の1824年にありました。やはり大混乱になります。

大統領は下院議会で決めるんですが、下院は50州あって、1州1票となります。4000万人がいるカリフォルニア州でも1人(1票分)、約50万人がいるワイオミング州でも1人(1票分)ということです。

議席が偶数の州もあるので、同点になったらどうするのか、ルールを決めないといけないと思います。

日比キャスター:
投票が終わった後のアメリカの情勢もかなり心配ですね。

上智大学 前嶋和弘 教授:
期日前投票の一部で「郵便投票」があるんですが、そのボックスが燃えることが起きました。

期日前投票をするところで何かあってはいけないと、銃を抱えている人がいっぱいいて監視している状況です。選挙が終わった後の方が混乱するかと思います。

実際に、過半数270票を取れるかどうかの戦いになってくるでしょう。

ハリス候補が勝ったら…トランプ候補が勝ったら…

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加藤キャスター:
日本への影響についてです。

上智大学の前嶋和弘教授によると、▼民主党のハリス候補が勝ったら、政策などは現状維持になるとみています。
▼共和党のトランプ候補が勝ったら、影響は大きいとみています。

上智大学 前嶋和弘 教授:
2017年から4年間のトランプ政権で言えば、安全保障は取り引き履行、関税を上げていく政策でした。やはり関税を上げることで他の国を抑えていくみたいな、同じようなことをしてくる。

日本としては、もう1回対応しないといけない状況かもしれません。

産婦人科医 宋美玄さん:
日本のこの間の衆議院選挙でも、接戦だったところは1票の力を感じたので、これが民主主義だなと感じました。アメリカの方々にも、ぜひ清き1票を投じてほしいですよね。

上智大学 前嶋和弘 教授:
その「1票」がしっかり確認されて、まともな形で民主主義が守られれば嬉しいと思います。

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<プロフィール>

前嶋和弘さん
上智大学教授 専門は現代アメリカ政治
中でも「メディア」「選挙」「連邦議会」の関係を研究

宋美玄さん
産婦人科医 2児の母
女性の健康などのテーマを発信し、女性の性に関する著書が人気

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