中国にルーツを持つジャーナリストを“妨害”か 中国・オーストラリア両首相の共同会見の場で

オーストラリアを訪れた中国の李強首相の会見に出席した中国にルーツを持つジャーナリストの前に、中国の当局者が立ちふさがる場面があったと報じられました。ジャーナリストは過去に中国で拘束されたことがあります。

きのう、オーストラリアで行われたアルバニージー首相と中国の李強首相の共同会見。

記者席にはオーストラリア人ジャーナリスト、チェン・レイさん(49)の姿がありましたが…しばらくするとカメラとの間に立ちふさがる人物が。彼女のそばで男女2人が不自然に立ち続けます。

中国にルーツを持ち、かつて中国国営中央テレビの国際向け放送でキャスターを務めていたチェンさん。4年前、国家機密を国外に違法に提供したとして拘束されました。

去年、刑期を終え、オーストラリアに戻り、報道の仕事に復帰していますが、オーストラリアメディアは今回の出来事について、中国の当局者がチェンさんの発言を妨害、撮影されないようにしたなどと批判しました。

会見後、テレビに出演したチェンさんは…

オーストラリア人ジャーナリスト チェン・レイさん
「彼ら(中国当局者)はあらゆる手段で私がカメラに映らないように遮り、嫌がらせをしてきました。私に彼らにとって好ましくない言動をさせないようにするためだと思います」

また、中国政府は「自分が何をしているか、どんな意見を持っているか、監視しているだろう」と語りました。

一方、共同会見の後、記者団との単独会見に臨んだアルバニージー首相は今回の件について…

オーストラリア アルバニージー首相
「私はそれを見ていませんでした。(会見中)チェン・レイさんを見て、互いに微笑み合いましたよ」

「気づかなかった」と弁明しました。

冷え込んでいたオーストラリアと中国の関係ですが、アルバニージー政権の誕生以降は改善傾向にあり、今回の会談では経済や気候変動問題などの分野で協力を深めることで一致しました。

ただ、今回の事態を受けたアルバニージー首相の対応には野党などから批判の声があがっています。

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