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中国公安省が全国民の声紋収集か 人権NGO懸念表明

公安の横暴に人権団体も懸念

 中国公安省が全国民の声紋データを管理する声紋バンクを設置していることが明らかになった。声紋バンクには逮捕歴のある人ばかりでなく、一般の市民のデータも入力されており、警察機構が国民を管理するために個人情報を収集していることに対し、国際的な人権問題NGO(非政府機関)である「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部ニューヨーク、以下HRW)」は強い懸念を示している。

 HRWによると、公安省は2012年から2015年までの間に、音声認識テクノロジーを利用するIT企業大手の「安徽省科大訊飛」社の協力を得て、同社の本社がある安徽省内の7万人の声紋データを採取。公安省が保有しているこの7万人の個人情報をデータベースに入力。同省の犯罪者の個人データと突き合わせて、個人を特定する作業を試験的に進めてきたという。

 2015年以降は少数民族のテロが続発する新疆ウイグル自治区やチベット自治区での声紋データの収集を開始し、すでに保有している市民の個人データに付け加えている。

 すでに、同社は独自の声紋照合プログラムを完成しており、コンピューターシステムで全中国の公安省機関での声紋データ入力が可能な状態となっているという。

 これについて、HRWは今年8月、同社に質問状を送付。公安省との提携関係や、自動音声認識および監視システムの詳細な内容、データ収集された人権保護指針の有無などについて照会したが、現段階において、同社からの返答はない。

 中国国営新華社通信などによると、いわゆる「オレオレ詐欺」などの電話を使用した詐欺事件や違法薬物売買、誘拐、脅迫を含む数々の事件の解決のために、音声パターンを一致させる自動音声認識システムを法医学的に使用。また、これら一連の報道では声紋バンクのデータがテロ対策や「治安維持」の目的にも応用されているという。

 しかし、HRWのソフィー・リチャードソン中国部長は「中国政府はプログラムについてや、誰が対象となりうるのか、どのように情報が使用されるのかを規制する法律についてほとんど透明性がない状態のまま、人びとの音声パターンを数万人という規模で収集している。歯止めなき監視と政府批判者に対する報復行為が続く中国では、当局がいとも簡単にこうしたデータを悪用することができる」と強い懸念を表明している。