ドイツ地方選でまた極右政党が躍進 首都近郊の州議会選で僅差の第2党 与党は第1党死守

【リバプール(英中部)=黒瀬悦成】ドイツの首都ベルリン近郊のブランデンブルク州で22日、州議会選の投開票が行われた。事前の世論調査で第1党をうかがう勢いだった極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は最終盤で伸び悩み、国政与党で中道左派の社会民主党(SPD)に次いで僅差で第2党にとどまる見通しとなった。

州選管が発表した暫定得票率はSPDが30・9%に対し、AfDは29・2%だった。SPDはドイツが再統一した1990年以降、ブランデンブルク州で維持してきた第1党の座を死守できる見込みだ。

独公共放送のZDFによれば、投票率は2019年の前回州議会選に比べ12ポイント増の73%だった。

独公共放送連盟(ARD)の出口調査分析では、SPDに投票した有権者の大半がAfDの躍進を抑える思惑でSPDを選んだとしている。

州議会選は、来年9月に予定される連邦議会選挙(総選挙)の前哨戦に位置づけられており、ショルツ首相が率いるSPDには一応の安心材料となった。

ただ、政治専門サイトのポリティコ・ヨーロッパによると、国政レベルでのSPDの支持率は14%で、AfD19%、最大野党で中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)32%のいずれをも下回っている。SPDがショルツ氏の下で次期総選挙に臨むかどうかは予断を許さない。

対するAfDは今回の州議会選で得票率を前回選挙比で6ポイント前後伸ばす見込み。今月1日投開票の東部テューリンゲン州議会選でAfDは第1党となったほか、東部ザクセン州議会選でも僅差で第2党を確保するなど躍進傾向が続いている。

AfDは移民排斥を唱えて支持を拡大する一方、親露的な立場で知られる。ロシアに侵略されたウクライナへの軍事支援にも反対しており、このまま勢力を拡大させれば欧州の対ウクライナ支援を揺さぶる恐れも指摘されている。

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