金正恩氏のウラン濃縮施設視察を初公開、核兵器増産能力誇示

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮メディアは13日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が「核兵器研究所」や「兵器級核物質生産基地」を視察したと伝えた。金氏はウラン濃縮施設の制御室を見て回り、戦術核兵器の製造に必要な核物質の生産に総力を集中するよう命じた。

ウラン濃縮施設は、核物質のウランを遠心分離機にかけて核弾頭に使える高濃縮ウランを生産する施設で、北朝鮮が金氏の施設視察を公開するのは初めて。核兵器増の産能力を誇示し、11月に大統領選を迎える米国を牽制(けんせい)する狙いとみられる。

金氏は視察で「見るだけでも力が出る」と満足の意を示し、遠心分離機の増設や新型の導入によって兵器用核物質の生産体制を強化するよう指示した。米国の「核の傘」による日韓への拡大抑止強化を念頭に「米国の核の威嚇が危険限界を超えている」とも主張した。

北朝鮮は北西部の寧辺(ニョンビョン)のほか、平壌近郊の降仙(カンソン)にウラン濃縮施設を持つとされ、金氏は今回、降仙の施設を視察した可能性がある。寧辺の施設については2010年に視察した米ロスアラモス国立研究所のヘッカー元所長に設備を公開した。

北朝鮮メディアは、金氏が新型の「600ミリ放射砲(多連装ロケット砲)車」の性能試験を視察したことも伝えた。北朝鮮は12日朝に平壌付近から日本海に向けて複数発の短距離弾道ミサイル発射しており、この発射視察を指すとみられる。

ジャンルで探す