バイデン大統領、「危険な判例」「法の支配を弱体化」と最高裁判断を批判

【ワシントン=渡辺浩生】米連邦最高裁が1日、共和党のトランプ前大統領が起訴された事件を巡り、大統領在任中の「公的な行動」は刑事責任を問われない「免責特権」が適用されるとの憲法判断を下したことを受け、バイデン大統領は同日、ホワイトハウスで演説し、「大統領の行動に事実上制限がなくなる危険な判例」と批判した。

トランプ氏が2020年大統領選の敗北を覆すため選挙手続きの妨害を共謀したなどとして起訴された事件にからむもので、最高裁の判断は同氏の主張を一部認めた格好。バイデン氏は「米国は1人ひとりが法の下の平等という原則で建国した。大統領といえども法の上には存在しない」と指摘し、判断は「法の支配を弱体化させる」と訴えた。

バイデン氏は、21年1月の議会襲撃事件を巡り「暴徒を送り込んだ男が有罪判決に直面しようとしている」と指摘。「トランプ氏が地上で最高位の公職に就くことが不適切」と国民が判断するため、11月の大統領選前に法廷の判断を知らされるべきだと述べ、最高裁が具体的な免責対象に関する審理を下級審に差し戻したことも批判した。

6月27日のトランプ氏との討論会で高齢不安を露呈したバイデン氏にとっては米国民向けに、トランプ氏の議会襲撃事件の責任を追及する場面となった。

ジャンルで探す