中国共産党が李尚福前国防相らの党籍剥奪処分を決定 巨額の贈収賄容疑 魏鳳和元国防相も

中国共産党は27日に開いた中央政治局会議で、重大な規律・法律違反が確認されたとして李尚福(り・しょうふく)前国防相と魏鳳和(ぎ・ほうわ)元国防相の党籍を剝奪する処分を決定した。中国国営新華社通信が伝えた。職務を利用して他人に便宜を図った収賄などの疑いがあるという。国防相経験者が一度に2人も処分されるのは極めて異例だ。

中国人民解放軍では戦略ミサイルを運用するロケット軍や装備調達部門を巡る汚職疑惑が伝えられ、消息不明となった李氏と魏氏の疑惑への関与が取り沙汰されていた。

新華社によると、軍の最高指導機関である中央軍事委員会はこれに先立ち、両氏の軍からの除名と、李氏の陸軍上将、魏氏のロケット軍上将の階級取り消しを決めた。

容疑の詳細は不明だが、昨年10月に国防相を解任された李氏は職務を利用して巨額の賄賂を受け取ったほか、不当な利益を得るために贈賄行為も行うなど、装備部門の腐敗を招いたと新華社は伝えた。李氏は過去に中央軍事委員会の装備発展部長を務めていた。

昨年3月に退任した魏氏も巨額の賄賂を受け取っていたという。魏氏は、2015年に創設されたロケット軍の初代司令官を務めていた。

中国軍トップの中央軍事委員会主席を兼ねている習近平国家主席は軍の引き締めを強めている。今月17~19日に陝西省延安で開かれた中央軍事委員会の政治工作会議で、習氏は軍の「反腐敗」を徹底するよう指示した。4月には戦略支援部隊を改編し、新たに「情報支援部隊」を設立したと伝えられた。汚職疑惑に関連した部隊再編の可能性が指摘されていた。

27日の中央政治局会議では第20期中央委員会第3回総会(3中総会)を7月15~18日に北京で開くことを決めた。その前のタイミングで処分を下したとみられる。(中国総局 三塚聖平)

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