米トランプ陣営に120億円 最大支援者の富豪、大統領選でバイデン氏対抗馬に献金連発

米大統領選で共和党の候補指名を確実にしたトランプ前大統領の支援団体に対し、名門財閥の富豪が5000万ドル(約80億円)を献金した。連邦選挙委員会の開示資料で明らかになった。米メディアによると、今回の大統領選で特定候補を支える個人献金としては最高額という。

この富豪はティモシー・メロン氏(81)。メロン財閥出身で現在は西部ワイオミング州に住み、トランプ氏を支える特別政治活動委員会(スーパーPAC)に献金を続けている。

今回の大口寄付が行われたのは5月31日。トランプ氏の「不倫口止め料」を巡る訴訟で、ニューヨーク州地裁の陪審団が有罪評決を出した翌日にあたる。メロン氏のトランプ陣営に対する献金は総額7500万ドル(約119億円)に達した。

メロン一族は、ロックフェラー、モルガンと並ぶ米3大財閥のひとつだ。米誌フォーブスによると、メロン家の推計資産は総額141億ドル(約2兆2420億円)にのぼる。

名門財閥出身、移民対策を重視か

メロン氏は20世紀、共和党政権で恐慌対策を担ったアンドリュー・メロン財務長官(1855~1937年)の孫にあたる。飛行機操縦が趣味で、1991年に名門航空会社パンアメリカン航空(パンナム)が倒産した後、ブランド使用権を取得した。これまで、南部テキサス州のメキシコ国境への壁建設など、移民規制の政策や訴訟に寄付してきたという。近く自伝を出版する予定だ。

連邦選挙委によると、メロン氏は今年4月までに大統領選の無所属候補ロバート・ケネディ・ジュニア氏陣営にも計2500万ドルを寄付した。トランプ陣営への寄付とあわせ、総額1億ドル(約159億円)を大統領選に投じたことになる。

米国では、候補者の選挙運動を行うPACについて、個人献金は年間上限5000ドルと定められている。スーパーPACは表向きは候補者から独立し、献金額の上限がないため、大口献金の受け皿になっている。テレビ広告で他候補を中傷するネガティブキャンペーンなどを担う。(三井美奈)


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