イスラエル、ガザ南部で軍事活動停止発表 国際批判受け日中に毎日、物資搬入増目指す

【カイロ=佐藤貴生】イスラム原理主義組織ハマスと戦うイスラエル軍は16日、支援物資の搬入増量のため、パレスチナ自治区ガザ南部の一部で日中の軍事活動を一時停止すると発表した。南部にはエジプトと境界を接する物資供給の拠点ラファがあるが、イスラエル軍が5月初めに攻撃を開始して搬入が滞り、国連などが批判していた。

AP通信によると、軍は現地時間午前8時から午後7時までを「戦術的な一時停止」の時間帯とし、毎日の軍事活動を控える。物資搬入のため、イスラエルが管理するケレムシャローム検問所からガザ南部を経由し、北部に向かう主要道の安全を確保するとした。

一方でイスラエル軍は15日、ラファ西部で兵員装甲輸送車が爆発、兵士8人が死亡したと発表した。軍報道官はハマスの攻撃を受けたとみて原因を調べていると述べた。イスラエルメディアは1月、中部で作戦中の建物が爆発して21人が死亡して以来、最多の犠牲者になったと報じた。戦闘開始以降の軍兵士の死者数は300人を超える。

イスラエル首相府によると、ネタニヤフ首相は死亡した兵士に弔意を表す一方、「勝利以外の選択肢は存在しない」と述べ、ハマス壊滅と人質救出を進めるために戦闘を継続すると強調した。

イスラエル西部テルアビブでは15日、人質の早期救出のためにハマスとの合意を求めるデモが行われ、数万人が参加した。米国などが仲介する停戦交渉の進展は伝えられていない。

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