米、ウクライナと安保協定 期間10年間、防衛産業支援や情報共有、新たな有事で高官協議

【ファサーノ(イタリア南部)=坂本一之】バイデン米大統領は13日、イタリア南部プーリア州の先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせてウクライナのゼレンスキー大統領と2国間の安全保障協力に関する協定に署名した。米国によるウクライナの防衛産業支援や両国間の情報共有、ウクライナが新たな有事に直面した場合の高官協議などが盛り込まれた。協定の期間は10年間。

G7は昨年7月、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟するまでの安保について、2国間協定で枠組みをつくるとの共同宣言を出した。すでに英独仏などがウクライナと協定を締結している。

バイデン氏は署名後の共同記者会見で「われわれの目標はウクライナの防衛力と抑止力を長期的に強化することだ」と発言。「弾薬や武器の供与、情報共有の拡大、ウクライナ軍への訓練」などを通じ、ウクライナの防衛を長期的に支えていく考えを強調した。「ウクライナの地で戦うために米軍は派遣しない」とも明言した。

ゼレンスキー氏は「歴史的な日だ。両国間で最も強力な協定で、持続可能な平和に向けた合意だ」と高く評価。協定はNATO加盟に向けた橋渡しになるとの認識を示した。

協定は、米国がウクライナによる主権と領土の防衛を支持するとの立場を改めて明記。ウクライナの防衛能力向上を目的とした支援の概略を示している。

米側による訓練や演習の実施、統合的な防空システムの構築支援、ウクライナでの兵器生産の強化に向けた防衛産業分野の協力を行う。ウクライナが目指すNATO加盟を念頭に、ウクライナ軍との相互運用性を高める方針だ。

ウクライナが新たな侵略など脅威に直面した場合には、24時間以内に高官協議を行って必要な支援を把握する。両国の機関が諜報に関する「適切な共有」を進めることや、米側がサイバー安保に協力することも盛り込まれた。

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