台湾の地方選で与党劣勢 選挙権引き下げも投票

【台北=矢板明夫】台北市長など台湾の自治体首長や議員を選出する統一地方選挙が26日に投開票される。2024年1月に予定される総統選の前哨戦と位置づけられている選挙で、与党・民進党の苦戦が伝えられている。

今回の選挙では22県市(1市は12月18日に延期)のトップが決まる。4年前の選挙では年金改革などに不満が高まり、民進党は6県市での勝利にとどまった。今回は北部の桃園や基隆の市長選で民進党が厳しい戦いを強いられている。台北や桃園など主要都市で敗れると、民進党主席を兼務する蔡英文総統の求心力が低下する可能性がある。

中国からの軍事的脅威が高まる中、中国と対峙(たいじ)する姿勢を貫く民進党は「台湾の自由と民主主義を守る」と訴えている。最大野党・中国国民党は「市民の生活を良くしていく」などと強調している。

台湾では統一地方選挙と同じ26日に、「18歳公民権」の是非を問う住民投票も行われる。「18歳公民権」は、各種選挙で投票できる年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げることを意味する。賛成投票を呼びかける団体は「(選挙権年齢を引き下げた)日本を見習え」と訴えているが、ハードルは高い。

19日夕、台北市中心部にある立法院(国会に相当)の前に、大学生や高校生を中心とする約100人の若者が集まった。「18歳公民権運動」を推進する台湾青年民主協会のメンバーらだ。

マイクを握った高雄市の男子高校生、巫愷政さん(17)は「投票権を18歳に引き下げたら、政治家たちはもっと真剣に僕らの話に耳を傾けるはずだ」「投票権を18歳に引き下げることは世の中の流れだ」と訴えた。

集会参加者らは2016年、日本で選挙権の年齢が20歳から18歳に引き下げられたことを知っており、「台湾も日本を見習うべきだ」と口をそろえた。ある女子大学生(19)は「今の選挙では年金や介護など高齢者の話題ばかり。私たちは無視されている」と話した。

今年3月に立法院で可決された憲法改正案の中には「18歳公民権」が含まれている。立法院では与党の民主進歩党のほか、野党の中国国民党、台湾民衆党、時代力量と主要4政党がすべて賛成した。

しかし、憲法改正案を成立させるためには、住民投票で有権者の半分にあたる約960万人の賛成が必要だ。20年1月、蔡英文総統が史上最多の得票で再選されたときに集めた約817万票よりも多い。

有権者の中には「18歳の子供に政治を任せるわけにいかない」と反対する意見もある。若者の間では民進党支持の割合が多いため、「18歳公民権は民進党が選挙を有利に進めるための陰謀だ」と主張する国民党支持者もいるという。

台湾青年民主協会の幹部は「住民投票で960万人の賛同を得ることは極めて難しいが、諦めずに努力し続けたい」と話している。(台北 矢板明夫)

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